毒電波!スキル発動!?――俺じゃねぇ、つまり背後にいる――あいつが、あいつが本物のチートスキル持ちだった件について!
【うん、なんか違うね。確かここはエルム・マルビティアプラだよね】
呟いたナナシに、ウホ、っと目を輝かせて振り返るマム!
『よく覚えてるなそんなとってつけたような難解な名前……。
みんなも誰かさんも忘れてたってのに。
うちだって、エルムくらいしか覚えてないのに。
でもどうでもいい。
気にするな問題ない。
あと、あいつの目を見るなよ。
憑りつかれる。
そのまま行くぞ』
なにに?
とはいうまい。
きっとエルムは悪霊っていってたから、
あのおっさんを見た敵兵が、
ヤベー奴だとドン引きして不随してついた仇名とか、二つ名状態で、付いて回ってるのだろう。
警備管理を任されてる番兵守護者キャプテン・ジェネラル。
愛銃で遠方を狙ったまま、
がははと虚空へ笑っている。
――目はこっちを見ていないと、追記――
少しづつ歩きながら、開かれる城門を通過。
ついに国に入場。
でも、国より背後が気になるのはナナシだ。
目を見るな、とはいわれたが。
姿は関係ないだろう、と。
歩きながら後ろを振り返って見れば、
確かに外壁に外壁色の服を完備させた武装すげー、おっさんがいる。
おっさんは時々銃口を覗き込んで、
ダメだよそれ覗いちゃいけないって子供時代にならわなかったアメコウ!――と言いたくなるような事をしては、
銃砲を矯めつ眇めつ覗き込みながら、笑顔になって舐めている。
決して、隊長クラスかなんかに任命されて、
職権に酔いしれ他者を上から目線で管理して守ってやる風をふかすタイプ――ではないようだ。
ただ。愛銃をマイハニーとして扱う。
銃で股間をシゴク。
ただそれだけの――イカれてしまったタフガイ野郎――その悲しみの精霊がそこにいるだけだった。
でもナナシは逆転発想を試みた。
――あのイカレタ射撃手がいたら、
この城塞都市――集落は、永遠に大丈夫な気がするのは気のせいか?
MR・ナナシはそう納得することにし。
通過して視界に広がる光景に初めて彼は、
世界が異世界転生した証拠、を、目の当たり。
――これが現実なんだヒャッホォ。
ここからもしかしたら、
可愛い嫁さんが出来て一緒に異世界スローライフ!
だって今、前世での地球の日本で流行ってるから!
戦後はこれらを背景にした、ディストピア救って、のんびり生活になるのでは!
そんな100%ありえないふざけた幻想にハマっていた。
戦争紛争核の雨終了で世界も終了。
そうさっきから描写してるのに、このアホな世界の真ん中で、夢見心地な気分に浸れる彼はある意味凄い奴だった。
そして二人は、街?
ともいえないバラックな建物が連なる文明崩壊すると、結局コンクリや煉瓦で重ねて創った外壁に塗炭の家が連結して並ぶスタイルになるのかと、少々夢から現実に戻された。
塗炭と布で連ねるルンペンのブースが、煉瓦作り、コンクリつくりの家の前にずらりと横並びで通路を狭くしている光景。
彼ら難民キャンプ状態が背にするは他人の家、
勝手に壁に穴をあけ、
棒を2本少し広めに突き刺して、
そこに布? ビニール?の隣との境を作り、
上に塗炭を敷いて、
もしくは何かの特殊ビニールか、雨に負けない雨避け。
それらがずらっと並んでいる。
家主の許可を取ってるか知らないが。
いい迷惑だと思う。
周囲は雨が降った跡があるが、すぐに道路ど真ん中のへこみ。
たぶん下水の地下通路へ流れ落ちていく創りになっている。
さすが文明崩壊とはいえ、大昔の遺跡ではあるまいが、
下水用の排水は完璧みたいだ。
――ウンコ小便する時は、やはり道の真ん中の下水路へぶっぱするのだろうか?
周囲に見られながら――
お国柄。
と言ってしまえばそれまでだが――
C国の阿保垂れ長し民みてぇで、すげぇな。
ナナシは感心した。
【すげぇよ、マジ異世界来た気分だよ! これが異世界、究極科学まで到達して崩壊した世界――ディストピアの世界なんだな】
と、ナナシ感動。
だが、
『おい、座り込んでる輩と目線合わせるなよ。
金をくれとか餓鬼が来る。
来たら危険と思え。
上から目線の他国人気分で財布なんか出したが最後だ。
後頭部ぶっぱされて、中身どころかてめぇの命までもってかれっぞ』
【安心しろ、俺は異世界人だ。
ここの通貨はまだ見た事すらない!】
『なるほど、なら、安心だ』
マムに言われて、塗炭の下で死んだ魚のような目をした戦争疲れの中東――人間として【難】あって強盗ご〇姦殺人が常識!のやばい【民】族が、
僕らはかわいそうなんだよ?
だから金と女、女児よこせ耕し種付けこなしてから、結婚すっから!
よこせ!
よこせ!
よこせ!
的な眼差しの輩。
そんなのばっかとナナシは気づき、
ダッシュ!
マムが余裕で並走。
とにかく連中と視線を合わせないようダッシュする。
中央通りを走るナナシとマムさん。
眼前に迫ったお城、
守るような第二防壁の岩盤。
岩を積み上げて削ったような人口壁の建造城塞。
ゆるやかに、そのうち激しい急勾配!
坂を駆けて二人はこの国の中心地を目指す。
なんだろう、
気分は12宮を抜ける青銅聖闘死4人組+αな気分だ。
上層まで一気に迷路を走り抜け、
見晴らしのいい丘の上。
今度は頂点を境に急に崖を落下するような急こう配の下り坂。
全体重が膝にかかって体悪くしそうな坂が待ち構えている。
向かう中心地は驚いたことに、
クレーターの中央の集落のようだ。
城塞の中心に城ごと巨大な爆弾でも落とされできたのか、
クレーターがあり、
そこに本当の集落がある――
つまりこの丘の上に鎮座してる周囲の居城という建造物は――
【ハリボテか!】
『当たり前だ。
正確には張りぼての上から幻想城を構築してんだが。
ここは低空戦もある世界。
空の雲の上には破壊ナノマシンがうようよでいけない世界。
こんなところに城をモロだししてたら、対空砲火を徹底しなきゃならんわ。物資切れたら余裕で爆撃されておっちぬぞ』
【なるほど、プリロネRの世界のランドセルお城の存在は嘘っぱちってことか】
『なにそれ?』
【気にするな――前世で見たゲームは最高、アニメは糞、糞の糞監督の糞アニメだ】
『アニメか。しってるぞ、旧文明の人間どもがみてた偶像電脳絵巻だろ』
【言い得て妙だが、そうだ】
『萌え~とか、尊い~とか言ったらしいな。女キャラみるたびに』
【うん、偏見あるけど、まぁ、そんな感じらしい。
昔戦闘ジム時代、アニメ映画なのに気にもしないでホイホイ連れて行く、変なおっさんがいてな、寺前ってんだけど、受ける】
『アニメ好きのおっさんか……人生捨てたな』
【同意!】
んな茶番にもならない会話をしてたら、
城壁ありきの城を突っ切り、
すぐに表れるクレーターをダッシュで、落下!
の、ところで――
『そのまま先行くな、ここに隠し通路がある。
こっちだ、ナナシ。
そのまま行ったら迫撃砲も地上も融解する地雷源・キルゾーンだ』
やばい地帯に頭から突っ込むところでマムに諭され急停止。
幾つか城壁の壁の残骸のようなものが乱雑に、クレーターを一部分ずつ分割されて、設置される。
壊れた遺跡群の様相の中。
城壁の一部、それを適当な感じでマムが触ると、
岩で出来た壁に変化。
もう最終文明未来世界なら、もっと壁もそれっぽいバリーア形式な何かがでてるくる壁もどきなのでは。
ナナシが思い描くディストピアの世界より、
まるで紀元前のような世界の残骸に、
……ここが、未来?
文明の頂点?
のその後?
そこまで考え幻滅してたのだが。
輝く立派な大門が、【何もない空間から】眼前突然に現れたのだ。
*****
もうこれこそ異世界からやってきました、ではなかろうか。
自分よりも異世界転移してきたようで少しプライド傷つけられて腹が立つナナシだが。
見上げれば高さは10Mほど。
光として現れた大門は不思議なざらっとした印象を与える鉱石の産物に変貌している。
この鉱石の扉も、最初の守護神キャプテン・ジェネラル――CGとでもよぶか――が守ってた岩壁も精緻な意匠を凝らしていたが。
この扉も負けていない。
そんな彼の思考などほっといて、
幼女がのっしのっしと歩いていく。
何か思念で内部の城塞守護騎士みたいなのに、【本当に】、【何かを】飛ばしたのだろう。
城門、壁内からの殺気も消えていくのが如実にわかる。
門は開いていく。
――守衛の気配は感じるが、観えない。
そして撃ってこない。
ちなみに連中がどこにいるのかわからない。
本当に壁内なのか?
にしても狭いのでは?
隠れる場所はない。
迷彩系か、
カメレオンよろしく光の屈折で周囲に溶け込んでいるのかもしれない。
【……かつての大都市。その成れの果てか……】
そう、形容するしかなかった。
人の気配のない難民キャンプと、城の瓦礫。
これがカテドラルの本拠地?
建物は乱雑に原型をとどめていても、
この時代の防御機能満載の施設には見えない。
木組みと積石建築。
マムに連れられそこを抜けて街?の中心部へ向かって、
光から現れた門で、射殺されそうな世界を通過。
遅れじと後を追えば。
何かの勇者の銅像?
だろうか。
片足立ちの上段への顎割りか、
踵落としの刹那の一瞬――その直前か?
いずれにしろ片足を天に向ける銅像があった。
白く清潔すぎる室内。
なのに円形エントランス。
真ん中には
周囲を水で満たした噴水池。
真ん中に立つ片脚を上げた短パンのみの石造。
既には荒縄もテーピングもない、拳のみ。
あとは噴水の底を一ミクロンの狂いもなく見せる清潔な水と、揺らぎの一切ない水面は明鏡止水に諭させる状態とはまなにこのこと。
この水はいつ溜まり、
いつ流れていたのか。
水の流入排水の場すらない不思議な、
科学のレベルが前世が違うと、水だけで解る――異世界。
初めてこの世界で見る汚染水ではない本当の水。
なのに激闘の最中を、
リリキャルの言葉が真実なら、
近接格闘はこの時代には滅びている事は間違いない
――近づいてぶちかますより、
撃ち殺す方が早い……からな――
これはいつの、どれくらいの歴史の過去、
埋もれた世界の野蛮な世界を彫り込まれたのか。
そして彼の顔は衝撃的な程、殺気に満ちて何かに挑む顔だ。
この聖櫃のような空間で、
池の真ん中にたつ【彼】は、やはり異質、堂々とした、何故か誰かを思い出させるような郷愁すら覚えさせる――この時代の、【異常者】を示す像だった。
そんな像を見上げる彼に、リリキャルこと、マムは――
『着飾る衣類は極少数。
上半身は袖ごと引き裂いたか、原型は消えた筋肉もろだしの激しい格闘の装束? 下半身は【袴】と呼ばれたり、【戦闘短パン】――そう呼ばれてる』
【……】
『足首まで伸びてた裾を絞めてたせいで足元の【縛り】が下半身の衣類を縛たまま太ももまで引き裂かれてもろだし。
足底が天を破砕するような姿、
天空の放射能マシマシだの超硫酸の強酸性雨の天空に怒りを込めて穿っている……謎の戦闘マシーンと呼ばれた無敗の男、姿を消してしまった存在。
恐らく救世主たるお前が来なければ、この人の再来を皆は祈っていたと思うぜ。もしくはその願いが叶って、お前がこれの再来なのか。
名前も知らない無敗の、この国を守れる存在』
【……】
ナナシには、どう返していいかわからなかった。
だが、これがどういう意味かは分かる。
だから――
【形式的には、これは……徒手空拳の像だ】
『――え? お前これ解るのか!?』
【ああ、おおよそだけど。
この作成者が妄想で創ったのか、大昔にこういう人物がこの世界にいたから創られたのかは不明だが。
でもこれはわかる。
どういうつもりか、彼は元々、【袴】、黒い下半身全部を覆う衣を纏い、靴から伸びた紐で足元の裾を縛っている。
なら黒の袴なら、
上半身は白い戦い装束の柔らかい衣を纏っていた。
その証拠に、この人は着ていない。
何か激戦か戦闘が苛烈さを極め、破れて吹き飛んだ。
それは下半身の袴も同じ。
だけど、その下に、
吐いているのは、俺も習っていた、ムエ・タイだ。
ムエタイの戦闘の短パン。
だが、俺の前世と違うのは拳だ。
彼は素手。
俺たちは拳が壊れないようテーピング、大昔なら荒縄を巻いていたとか……いずれにしろ激戦をこの人はくぐりぬいた……そういう意味。
なら、後世の人へのメッセージは、
苦しいけど、難しい事考えずに、ぶち抜け!
……って、意味じゃないかな、と思う】
マムは少し固まっていたが、
やがて頷く。
『だな、うん。うちもそんな気がする。
そうか、としゅくうけんのぞうか。
なるほど』
しげしげと眺めて何度か頷くマム。
ナナシにしても――
――レーザー兵器の飛び交う世界に、これはただの時代錯誤の銅像――
近接格闘何か無意味だ。
――かつては彼が大昔の勇者か何かで、素手で大魔王でもぶちのめしたのかもしれないが。今は意味の無い物だろう。
何で飾ってあるんだろう。
せっかくの広場だキルゾーンにして罠や迫撃砲でも設置すればいいのに。
そんな現実的思考で思うのだが、
何故かナナシも気になって仕方がない。
どこか、とおい過去、
もしかしたら、前世よりもさらに前世で、出会ってるような。
【……下手したら、その前世のさらに前、輪廻をめぐる中、大昔の前世で、俺はこれと戦ったのか? いや、戦ってた想い出が記憶にあるのか?】
『……え、いま、お前、なんて……?』
【いや、なんでもないさ】
――あるわけない。
こんなイカレタ姿で戦う、日本の柔術の服装にムエタイのパンツ、
しかも素手とか頭イカレテルだろ。
そんな阿呆な奴、
と、結論だしたいのに、だせない。
それほど威圧と威厳ある英雄像だった。
――それに、
何故か見ていると安心感を覚える。
安らぎをくれる。
こんな青緑色に錆びた銅像だというのに。
「なぁ、そろそろいかないか?
ばっちゃんも待って、あの門番CGのせいで時間取っちまった」
そういわれて頷くナナシは、
背後に消えていく像に幾度か振り返りながら、
やがてそれが完全に見えなくなるころ。
気づけば、目的の場所にようやく来ていた。
クレーターの底から開いた扉。
そこから清潔感しかない白い回廊。
英雄の像。
その先には、白いドーム。
そこに展開したのは古びた石柱で創ったような家、いや、屋敷だ。
ここまで来る前に見えていた、CG隊長のいる麓から見えた王城ではない真の姿。
ここがエルムの本殿だろう。
『ついた。ここが司令部、司令官兼任長老こと――ばっちゃの家。いくぞ』
【お、おう】
ついに、自分を女神経由でここに転移させた存在と対面する。
ナナシもごきゅんと一発嚥下しとく。
「ばっちゃーん、うちだ!
連れて来たぞ異世界の勇者様!――らしき全裸のふるちん変態野郎のナナシのビーンズ。
しかも大昔に滅んでざまぁ、な、経済界の経済連が造った国民雑種化国土人追い出し計画でぶっ壊れて、戦争しか頭に無くて、馬鹿の極致が生み出した糞の雨の中!
天の汚物を全身に浴びてる変態!
さらに10歳のあたしに平然と【ミミズ】をブランブランさせて、一切隠さず見せつけながらついてきたど阿呆。ちっさいくせに」
「……」
「ちっさいくせに!
大事な事なので二度言った!
じゃ、入るね」
そう言って本殿の一つ一つが集合し、もはや集落街と化した、遺跡?
そこに自衛隊が適当に持ってきたような天幕がかかり、入り口もそれぞれ覆われている。
その中央脊柱と天幕の中心の家?
置かれているカテドラルの司令室?
玉座の間?
兎に角、中心点に入った。
そこにいるだろう司令官兼任長老ばっちゃさん。
でもテントに案内されたのは、
マムがそこから左折して、玉座の間?の天幕は無視。
横から素通り、並びまくっている天幕群。
腐った苔のような色をした普通のテントに案内された。
てかついて来い、
ってマムに顎で示された。
けど、そんなのナナシにはどうでもよかった。
メスガキは言ってはいけない事を言ってしまったのだ。
――絶対こいつはぶっころそう。
ナナシはただそれだけを想う。
理由?
――俺がズボンの中を見下ろした時、そこにあるのは、いるのは、憎らしいほど可愛いあん畜生だ。
なのに俺の彼を、愛棒を――
今、今、今、いいいいいいいいいいいいい、っまあああああああああああああああああああああああああああああああ!
この小娘があああああああああああ!
罵詈雑言悪口雑言ありとあらゆる罵倒を超える一言!
――ちっさい――
つまりメスガキに馬鹿にされたのだ、
大事な股間君を。
さらに顎で、
妄想耽ってねーで、来い!
だ。
かび臭い防虫剤の臭いを腋から醸し出すメスガキのくせに!
メスガキのくせに!
くそ、なんでだ、マント煽ってるくせに、
翻すと、唯一肉体が見えるのが――腋!
誰だこの衣装デザイナー、神かよ!
ごきゅ。
ちょっと生唾のんでしまう。
――いかんあそこが、
あそこが、
ビックマンに変貌する!
まずい、今代の最後の勇者が、
救世主が、
皆に紹介される一大イベントに、
勃起でこんにちは!
全女子、もしくは亜人だのもんスターだのの雌に、
【うっわぁ】
とか、言われて引かれる!
怒れ!
さっきの悲しみを怒りに変えて!
この無作法者をぶっころす!
腋は見てない。
何もかも赦して、勃起して、しゅき(はーと)
なんて、もろバレされたら永遠に奴隷にされる!
搾取してもらう事だけを願う、メスガキの奴隷にされる!
はああああああああああああああああああああああ!
――怒り頂点なりいぃぃ!(はーと)
おもいだせ、ちっさい、いわれた!二度言われた!
――うん、許しちゃおけない。おし。なんか。怒ってこれた。
――この糞ガキは必ず殺す。
絶対!
思考に回さない、
彼女の第三の性器を思い出さない!
この言葉を体で考え、深く魂に刻んだ。
ナナシ勇者は初めて敵を悟り、
ここから始まる大いなる冒険に胸を膨らませた。
【タイトル・勇者の俺はメスガキの腋マンに勃起しない!】
よし、売れ線のラノベみたいになった。
このタイトルで行こう。
マイタイトル!
けど、
……
そこでナナシは脳内沈黙。
ちょっと考えることもあったからだ。
つまり、
――こいつには、腐るはずだった肺とか、体を、助けてもらってるんだよなぁ。喉は間に合わなかったが、もしかしたら喉だけじゃすまなかったはず。
そう、これが彼を留めた。
……あれさえなければ……と。
まぁ、とりあえず心頭滅却すれば火もまた涼しだ。
そして結論。
許そう。
今は。
そう考えた。
なのにこいつは――
「ばっちゃ、このミミズのビーンズどうしたらいい??」
――また言いやがった、このメスガキ!
命の恩人だが!
俺の可愛い案畜生を、ビーンズといいやがりました!でぇす!
ОK、
次言ったら、
ОK、
上等、
戦争だ!
もう、すぐさま二人だけの戦争だ!
黄金喧嘩闘士のワンパンから――千年戦争――サウザンドウォーズでこんにちわしてやる! みてやがれ糞餓鬼メスガキ美腋ガキ!
僕は負けない!
女の子の腋に!
そんな怒りが、殺意の波動へ変化して目覚めちゃうナナシ。
なのに、
【くぬぅ、なんだ、この映像は!】
脳内に、魅惑的なおねー様が現れる!
『にやぁ……』
【おま、まさか!】
『だまってききな、ビーンズボーイ!
あんたが静かに、私の言う事を聞けば、今日の夜のズリネタに、この映像を脳に刻んでやる!』
【なにいいいいいいい!!!】
ナナシ驚愕、そう、これはリリキャルからの映像メッセージ!
『ほら、これが映像内でみせてやる、数日前の訓練あとの、訓練着!
体操用服!と、私の腋だ!』
【腋!マジもんの腋、えいぞうでみせてくれるのですか!――いやちがう!見せる気か!】
『は、一緒にいて解ってたさ。あんたが、年上か、そして腋フェチだってな!』
【おま!】
『これからも随時見たければ、記憶に刻んでやる。その刻みが、追加される私からのアップデータで、こんな事にも使える。敵と味方、しっかり決めてから、あたいとの関係を蜜月にしておくのを考慮しておくように。あまり管習いことを、皆に行ったら――この映像を暴露して、お前はこの映像の為に狂ってここにきた! そういってやる!』
動揺するナナシ!
即答できないナナシ!
その眼前、
もうテントの中が見えた。
考えてる時間すらない!
中は薄暗い。
だが見える。
煌々と赤色の眼光を眼窩全体から放ち怒り頂点ナナシ。
その瞳が捉えるは中心にある囲炉裏。
老人共らしきフードを被って皆が囲む、大きな囲炉裏。
その一人にナナシは注視を向ける。
脳内に刻まれていく、これを見ながら――隣の糞メスガキ様の将来の魅惑的姿。
――ありえない!
必死に否定する、なのに。
『――ありえない、なんてことはありえない――』
【あああ、なんかかっこいいセリフ!悔しい!、でも!】
『とか言ってる間に重要イベントだ、しっかり張ってこい!』
――くそ、完全に俺のご主人様だと、心が認めたがっている。
――しかもお預け喰らった状態で、俺が合わなければならない重要人物との謁見だ!
ナナシの位置からまさに対面。囲われる囲炉裏の向こう、対面に座るは、なんともインディアンな世界を表現してそうな頭に何かの被り物を駆けてフードを外してる皺くちゃ婆。
だから余計興奮!。
もっかい、
はあああああああああああああああああああああああああ!
――ここで殺しあう。
なんかこいつの死に場所にピッタリ!
そして声が天幕の中に響く。
皺枯れた正面の老婆の声が素っ頓狂に放たれた――
「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅむ!
――な、なんじゃとう!?
なんという覇気!?」
――府、今は集中、全エネルギーを思念に回せ。
ここは魔法と武器の世界と予想!
だから、みなにはこうみえる!
「な、なんという覇気、そして悲哀と慈愛の恩寵の御姿!まさにリユニオンしそうじゃ!」
「ふ、気を付けろ、そこから先は、まだ存在していない……」
「ええええええええええええええええええええ!」
婆絶叫!
双眼かっぴらき!
――あ、まちがえた。
こっちだ。
「な、なんという……オーラ感!
いや、闘気なのかや!
いやいやそれすら飛び越えもう殺気、が、一周して悟っちゃった系ですかや!!
それとも強大なあまねく天空からの使者たるゆえに天の殺意なのか!?」
――だろ?
俺は最初の邪悪な奴じゃない。
まさに神の使いだからね!
威厳見せとかないと。
とか考えている間に!
「到着直後にこの波動!
儂ら女神様になんか粗相したかのぅ、
祖母ちゃん正直オシッコ漏れそう!
怖いのぉ怖いのぉ。
女神さまが寄越された救世主メシア様は……
なんとも妙に殺気に満ち満ちた御仁よ!
お婆ちょっと、いやめっちゃ怖い」
――だろ?
「じゃが、確かにこれなら異世界からきた勇者様!
と呼ぶにふさわしき闘気。
老人も赤子も女も情け容赦なくぶっ殺してくれそうじゃわい。
まばたき、
いや眼力一睨みで、
大陸が一つ大爆破し強大な海溝ができるじゃろう!」
――しってる。きっとできる。はず。
そんなことを聞けば、ますます双眼で睥睨はやめられない。
行くところまで行ってしまえとばかりだ!
睥睨!
単語で難しいの選んだけど。
端的に言えば、睨んだ。
とってもキッツい目で睨んだ。
って事だ。
「おっふぉ、なんという眼力。
婆のアレが、もう――
――濡れる!――
ぐふ」
――あ、やだ、こわい。
乾いて久しく皺皺のアソコを想像しちゃった。
「ふぅ、乾いていたオアシスが、」
――いうな、自分で、お前が、いうな!
想像力が豊富な時代なんだよ今俺は!
「甘露水によって満ち満ちてしまうわいのおおおおおおおおおお!
おっふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
ぐっひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」
「……」
この三点リーダーは居合わせる全員のだ。
そして婆がまだ続けやがる。
――俺は想像完璧にして、うっぷぅ。
――別の意味で、いつものアレで吐く口を、必死に両手で手を抑え我慢。
そして婆が続けた。
今度は真顔で。
「巨漢のグレーターゴッドジャイアントや、
ハイ・エンシェントドラゴンでも、
小癪で小憎たらしく狡賢い、狡猾なハイ・ウーフすら、
計略、
詭計すら、
全て踏み潰して、
無視して、
情け容赦なくワンパンで沈めそうじゃ。
じゃが、なぜこんな殺気持ち?
敵に存在バレそうじゃから気を静めてもらいところなのじゃが」
【……】
「にゃるほど、
受ける。
にゃるほど、
受ける。
まさにあれか!
来るなら来いよ?
ヘドバン一発で沈めてやんよ!
――そういう事ですじゃな。
剣呑剣呑。
あ、まさかリリキャル、
お前、
案内して来た時、
この救世主様――
メシア様にまた粗相をしておらんじゃろうな!
いくら時期メスガキ部隊軍団長候補のジェネラルでも、
発情して道端で無理やり救世主様を逆ご〇姦しおったか!
お手付きしおったか!
このメス情期のビーストめ!
これはさすがに赦されんことじゃぞ!
産まれたら子供は大切に隔離して戦闘のみ脳みそと体に植え付ける超生命体をつくろうな!まぁ、もう人類の次は誰も産めん身体じゃが。
もーひょっひょっひょっひょっひょ」
婆がとんでもない妄想をぶっぱ。
怒りでメスガキも唾の飛沫をぶっぱ。
間に挟まれたナナシは唾だらけ。
でもメスガキ。
ちょっと腋を舐めるつもりで――刹那――頬に着いたリリキャルの唾の飛沫を光速を超える速さで舌で救って、口の中でれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろれろ。
ごっきゅん。
――甘露――
と、思ってたら二人はまだ喧嘩中。
「――してねぇし!
こいつ最初からこんな感じでイミフだったし!
しかも全裸でマントきて、ぽろみえはビーンズだったし!
こんなもん興味すらねぇし!」
……は?
また言った?
え、なに?
殺すよ、マジで。
と、怒りMAXナナシ君。
まぁ、兎にも角にも、クソガキに向けてた殺意を誤解されたらしい。
ありがたやありがたやと、
皆の前で長老婆が拝めば、
周囲の衛兵たちまで膝立ちで、合唱して、
手揉み状態で擦り合わせて拝みモード。
これで土下座でもされたら、モズクの政府から建築費プレゼントキャンペーン300万と同じ連中だ。
あ、黒いのがこっそりやっぱり来るらしいから気を付けてねみんな。
とさり気に異世界へ思いを馳せるナナシは、結局日本人が抜けてない。
椅子羊侵略ゴブリンの侵略無法滞在を見逃す、どっかの婆に支配されたチキン雑魚雑魚ちん世界一の植民地国家を思い出す。
――でも、もう関係ない。
あんな異界、いや異常世界、いるだけ負け犬。
まぁ、ここの連中見たいに崇めるなら~
俺にすがるなら、俺を唯一神とみるなら~
まぁ、許しちゃう。
悪い気はしないから。
てなわけでナナシは溜飲を飲み込んだ。
喉チンコの無い喉仏への通過を。
でもはたから見ると前世の中世茶糞国家約束の痔エロされルの住人みたいで、
――なんか間抜けに見えるのは俺だけですか?
「極限の時代でこれ程の武士は生存していないと思っていたのじゃが……。
女神様は見捨てないでくだされたか。
この地を制覇するならば、これくらいの殺気ユニークスキル持ちが正常。
リリキャル……全て理解したぞ……お勤めご苦労。
もう彼に近づかんでいいぞ、ビーンズにメスガキは興味なかろう。
二度と半径50mは近づかんでいい。
勇者様にはふさわしい嫁候補をたくさん用意してるでの」
――え、なにそれ!
ナナシ速攻反応で両眼をくっわ!
気づいたメスガキだけが、白い目。
――知らんわボケ!
そう視線を返すのはナナシ!
婆は言う。
「お前は謝礼金を受け取ったら、
二度とこの御方の名前も、
姿も、
忘れ去れるのじゃ、よいな!」
「わ、わかってるよ! うちだって、こんなんいらねーし!
おもいだしたくはないわ、
脳みその記憶容量の無駄使いだ!」
――無駄、いらね、……だとぉ。
……この、くそがき、ちょっと腋が魅惑だからって、
くそ、くそ、くそ……
……なのに……俺は腋が忘れられなかった。
それが俺の生命すら左右することになるともしらずに、
罵倒されながら脳は怒りを、
股間は劣情を……
気づかずに勃起ングしまくってることにさえ、もう隠す思考すらもなかったのだった。
……情欲を、もてあます男のご来場より……
あした!たぶん!
なんかもうわけわかめ!




