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プロローグ

(僕はここで死ぬのか)


 深い森の中、地面に一人横たわりながら、僕は空を見つめる。黒曜石のようなつるりとした黒に、大量の星が青白く瞬いていた。人生の最期に見るものとしては、これ以上ないくらいに美しい。十五年というあまりにも短い命だったが、悪くなかったと胸を張って言えそうだった。



 身体中の傷口から血が流れ出るのを感じる。魔獣と戦った時に負った傷だ。自然は厳しい。自分のようなちっぽけな人間が太刀打ちできるものではなかった。身近な人たちを守ろうと誓ったのに、僕はあまりにも弱すぎた。あまりの情けなさに、思わず笑えてくる。


 段々、身体が冷えてきた。今の季節、夜とはいえまだ暖かい。もうそろそろ、ダメなのだろう。一緒に戦った仲間たちは無事だろうか。はぐれてしまって、彼らの安否がわからないことだけが心残りだ。



 いよいよ、意識が浮遊するような感覚がしてくる。僕はそっと瞼を閉じた。すると――。


「大丈夫……?」


 囁くような声が聞こえて、僕は再び目を開けた。途端に、こちらを覗き込んでいる少女の姿が視界に入る。背中まである真っ直ぐな銀髪を風に靡かせ、空色の瞳を輝かせる彼女の姿はどこか神秘的だった。


(天使がお迎えに来たんだな)


 僕がそう思っている傍ら、少女は何やらぶつぶつと呟きながら僕に手をかざしていた。何をしているのだろうか。思わず心の中で首を傾げる。すると突然、不思議な現象が起きた。


 少女の手の周りがぼんやりと光り始めたのだ。光は徐々に強くなり、それに伴って全身の痛みが和らいでいく。僕は何がどうなっているのか、全くわからなかった。



 しばらくして、少女は手を下ろした。彼女は優しい笑みを浮かべる。


「もう大丈夫よ」


 少女は僕の手をそっと握る。彼女の手はじんわりと温かい。



 しばし、僕たちは見つめ合った。夜空から淡い月明かりが降り注ぐ。光に照らされて輝く少女の瞳は、まるで満天の星を閉じ込めたようで美しかった。


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