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また出会う時

作者: 小池竜太

かつて、その国では戦争があった。多くの勇敢な兵士が居て、よその国と戦った。



 戦争は命がけだ。お互い国の生死が懸かっている。



 その国でとある男がいた。彼は国を守るために戦い、そうして生き残った・・・・




 しかし妻は、別れていた。そのため新しい妻をよその国から娶った。



 あまり意見は合わなかった。なにしろ勝った国とその従属国との間のカップルだ。




 習慣も違えば、文化も話す言葉も違う。それでも歩み寄ろとしていた・・・・



「今日はあんまりあなたに会いたくないの」時々そんなことを言う。そうして家を出ていく。



 後に残った夫はつまらないので、他の女のところに行って遊んでいたりした。



 しかしそれから実に二百年の時が流れた・・・・・



 夫は死んでいた。妻は身分を変えまだ生きていた。




 そうして日本で、二人とも離れて住んでいた。



 もはや会うことなど望めないのだろう。そう妻は思っていた。



 夫の所在は知れない。彼は剣が強かった。それだけでなく非常に強い男だった。



 夫は実は、とあるあまり有名でない詩人になっていた。



 妻は有名人の女になっていた。写真を撮ってモデルまがいのことをしていた。




 ある時、詩人はなぜか、この有名人の悪口を書いた。それに、女は怒った。



 それが小さい騒ぎになった。



 それからさらに六年経った・・・・




 夫はまだあまり有名でない詩人になっていた。妻はあいかわらず有名人だった。


 ある時、二人は、とあるバーであった。それいらい友達のような関係になった。




「何て名前なの?」

「翔子」

「そう僕の名前は式」

「変わった名前だね」

「そっちはきれいな名前だ」



 妻は日本語があまりわからなくて、あまり口を開こうとしなかった。




 ある時、詩人は言った。


「僕は僕の前歴が少しわかるようになりました」

「前歴?」

「そう」

「なにやってたの?」

「フランスの勇士です」

「そう」

 妻は実は何を言っていたのかわからなかった。





 「あなたはまだ生きていたのですね・・・・・」

「ええ」

「長生きするには、心臓の寿命を持たせる運動をしたほうがいいですよ」

「・・・・・・・」


 嘘のような本当のような話は、まだつづいている・・・・・

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