夏の終わりが近づき
夏の終わりが近づき、秋の気配が漂い始める頃。
俺は家の裏にある荒れた畑を、舟のアームを使って整備した。
八本爪を横一列に並べ、それを鍬のように使って畑を耕し、爪を四本ずつ上下に配置して土を掴み、天地返しを行った。
善いわく、自在に動くアームは、まるで体をくねらせる大蛇のようだという。
畑には大根、蕪、ごぼう、ねぎ、にら、あぶら菜、明日葉、にんにくなど、種まきと植え付けを終えた整然とした畝が並んでいる。
さらに畑を広げるため、奥の森をアームで伐採していると、周囲の木々に隠れるようにして、柿と栗の木が数本見つかった。
これは以前の住人が残したものだろう。
その果樹を残しつつ、シイ、カシ、コナラ、クヌギの木などをアームの爪を高速で回転させて幹に当てたり、穴を開けたりして伐採した。
木の根は掘り起こしたり引き抜いたりして片付けた。
午前中に作業を切り上げ、午後は料理の下ごしらえに取りかかった。
最近では食事のバリエーションも豊かになってきた。
冷蔵庫のおかげで作り置きが可能であり、電子レンジで簡単に温めることもできる。
冷凍庫のおかげでアニサキスの心配がなく、刺身を味わうことができる。
わさびがないのは残念だが仕方がない。
昨夜はアジの刺身を味わったので、今晩はヒラメを捌いて食べようかと考えていたところに、息を切らした善が家にやってきた。
「史郎、父がおまえに大切な話があるらしい。すぐに来てほしいそうだ。家で新右衛門さんと一緒に待っている。」
広間では、二人が厳しい表情で顔を寄せ合い、何かを話し合っていた。
俺と善が座ると、新右衛門さんがおもむろに口を開いた。
「今朝、幕府から地頭の東条様に書状が届きました。史郎殿に関わる件です。そして、史郎殿の取り調べが決定されたとのことです。東条様はこの件について関与を避けたいご様子です。そのため、拙者が史郎殿の身柄を預かる責任者となりました。」
一息に話し終えた新右衛門さんは、茶碗に注がれていた酒をごくりと飲んだ。
そして、さらに話を続けた。
「二十日後、鎌倉からの吟味取り調べの方々を、平野仁右衛門殿の家にお迎えし、そこで調べが行われます。」
その後、彼が取り調べに至るまでの経緯を語り終えると、茶碗の酒を今度はごくりと飲み干した。




