表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私には描けないけど、すごいと思う

作者: 菱屋千里
掲載日:2025/02/25

 絵が描ける人ってすごいなあ、と思います。


「なろう」で作品にイラストがついたり、「イラスト企画」のような、お題に対してめいめいがイラストを描く催しを見ていると、同じ言葉からこんなにも違うイメージが生まれるんだなと感心します。色使いや構図、キャラクターの表情一つとっても、作者の個性が表れていて楽しいです。


 私は絵が描けません。少なくとも今は描けるとは思っていません。


 思い返せば、子供の頃、小学校低学年くらいまでは色々と描いていました。ノートの隅などに自発的に描いていたのですね。子供向けの絵画教室へも行っていました。指導などはほとんどなく、絵の具で汚れてもよい広間で自由に描かせる、という感じでした。そこで描いた絵が何かに入選し、父に連れられ、展示されている自分の絵を見に行ったことがあります。応募すれば展示してくれるようなものだったのでしょうが、父がとても嬉しそうだったことを覚えています。父は若い頃、デザイナーとして絵を描く仕事をしていたので、感慨深いものがあったのでしょう。


 私が絵を描かなくなったのは、小学校の3年か4年くらいからです。頭の中にある線と紙の上に描いた線が違うと、すぐ嫌になってしまうんです。図画工作の授業でも、絵の具を丁寧にはみ出さないように塗ることができませんでした。クラスメイトにできることが自分にはできないという苦手意識も生まれました。そんなこともあり、興味を持つこともなく、絵を描くことなく、大人になりました。


 大人になってからもそれは変わらなかったのですが、仕事で機械の図面をCADで描いていた時期があります。おかげで、3次元の形状を頭の中でわりと回せるようになりました。そのせいか、イラストを見たときには、それが立体として見えるものと、見えないものが明確に分かれます。3次元のモノの一面を切り取るつもりで描いているのか、最初から2次元として描いているのか、という違いなのでしょうか。


 専門的なことはわかりませんが、立体にすると矛盾するような形が魅力的に見えることも多いのは、そこに表現としての余地があるからなのでしょう。現実に存在するものを精緻に描けても、それだけでは写真をトレースするのと同じです。イラスト企画を見ていると、言葉から膨らませたイメージを形にする力、そこに自分なりの解釈や感情を乗せる能力が必要なんだなと感じます。小説と共通点が多いですね。


 そう考えると、絵を「描く」ことはできない人にも、絵を「読む」ことはできるのかもしれません。イラストの中に込められた作者の思いを自分なりに解釈する面白さがあります。例えば、同じキャラクターでも、ある人が描くと優しさが強調されていて、別の人が描くと凛々しさが際立っていたり。色の使い方や線の強弱で、まったく違う印象になるのが面白いですね。これは小説を読むときと同じ感覚なのかなと思います。


 もしかしたら、描けることそのものではなく、作者の思いや世界観を伝えられることが「すごい」と感じるのかもしれません。イラストは人の心を動かすのですね。


 だからやっぱり、絵が描ける人ってすごいなあ、と思うのです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
『絵を読む』という表現、素敵ですね。 私はありがちな感じで、漫画家になりたーいと小学校以来漫画やイラストを描いていましたが、中学でむちゃくちゃ上手な子たちと出逢って挫折し笑、高校生まではそれでもノート…
エッセイ、面白かったです。 興味深い題材を取り上げて頂きありがとうございます。 CADが出来るの羨ましすぎます。 3Dどころか2Dの図面すら描けず、泣き言を言っております。 現在、必要に迫られてJ…
ええ? なんか色々凄い事をサラッと書いていますけど?(笑 入賞したのは、他にない何かがキラリとしたのでしょう。凄い事と思います。 描ける描けない。それは野球で例えるとピッチャーやキャッチャーではない…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ