第92話 夏祭りでの告白大作戦 ~涙~
こんな感じの題名だと楽ですね~ww
「すっかり迷子になっちゃったな~」
「そうだね」
哲也と理沙はみんなといつの間にかはぐれてしまっていた。
哲也も迷子の考え方は悟と同じだ。
「本当はみんなを探したいけど…」
「携帯はみんなつながらない、こんな人数のなかから探すのは無理」
理沙は携帯を見ながら言う。
「どうしようか?」
「こうなったら楽しみましょ。楽しんでればいつか会えるでしょ」
「そうだね」
このとき哲也は内心すごく嬉しかった。
だって二人っきりだぜ?
嬉しくないわけねえじゃん。
しかしその反面焦っていた。
ちゃんと理沙のことを楽しませられるかとか会話が続かなくて気まずくなったりしないかなど…
あげるとキリがない。
「り…理沙ちゃんなんか食べる?」
「う~ん…なんかおごってもらうだけってのも失礼だし…」
「気にしなくていいよ」
「う~…じゃあこんどお礼になにかさせて」
「えっ…!?」
なにかって…
あんな事やこんな事とか…
これでも哲也は思春期真っ盛りの健康な男子である。
「じゃあたこ焼きでも食べない?俺が買ってくるよ。理沙ちゃんはあの空いてるスペースにでもいて」
あれ…
なんかデジャヴ…
しかし哲也たちはそんなのは知らない。
哲也はたこ焼きを買いに行く。
「たこ焼き二つ」
「はいよ!!おっ!ホームランをかました女の子の弟君じゃねえか」
「?」
「野球見てたぜ~」
「あっ!」
「しょうがない!お姉さんが頑張ったからその弟君には特別にまけてやろう!2個で500円でいいぞ!」
これは…
運がいいのか?
哲也は金銭感覚がすでに末期だった…
哲也は1000円札を出してお釣りを受け取りたこ焼きを持って理沙のもとに向かう。
「ん?」
なぜか理沙は空いてるスペースに行かず木に隠れていた。
「何やってるんだろう…」
哲也はその木に向かう。
「理沙ちゃ…」
哲也は理沙を呼ぶのを途中でやめる。
理沙はある方向を見ていた。
哲也はその方向を見る。
そこにはキスをしている悟と香織の姿があった。
うまくいったんだな悟…
哲也は安心する。
哲也は理沙のほうを見る。
「っ…」
理沙は目から涙を流していた。
小さいころから好きだった人が他の人と付き合う瞬間を見てしまったから涙を流すのは当たり前だった。
理沙は走り去って行ってしまった。
哲也は声をかけられなかった。
理沙が失恋するのは哲也はわかっていたことだった。
そしてその失恋した後に哲也は理沙に告白しようとする卑怯なやつだった。
しかしいざ理沙が泣いている姿を見ると哲也はなにもできなかった。
いくら金があってもできないことはたくさんある。
哲也が自分が無力ってことを知った瞬間だった。
「くそ…俺はなにやってんだよ…」
哲也は自分を責めていた。
そして哲也は理沙を追って走り出した。
そのころ残り二人は…
「遥!あれも食べようよ!」
「まだ食べるのか?」
遥があきれながら奈美に聞く。
「もちろん!!」
みんながいないことにも気がつかず祭りを楽しんでいた…