第87話(番外編)村田遥の憂鬱
この話からかなり学園物っぽくなくなります
夏休みのある日…
「さて、と」
遥は家を出ようとする。
「あれ?姉ちゃんどこか行くの?」
哲也が話しかける。
「ちょっと生徒会でな」
「ふーん。大変だね。いってらっしゃい」
「ああ、行ってくる」
遥は家を出る。
正直言うと遥は生徒会の『仕事』で行くわけではなく、歴代生徒会メンバーが集まってふざけようみたいな会に参加するだけだった。
もちろんそれには橘先輩も参加するわけで遥は絶対に行くにきまっていた。
場所はファミレス。
学生だからファミレスなのは当たり前だろう。
遥はバスに乗り、ファミレスにむかう。
自分の家の車でもよかったのだがなんかそんな気分になれなかった。
10分後…
「間に合わない…」
予想外に道が混んでいて時間に間に合いそうになかった。
遥は仕方なく現生徒会メンバーの一人に遅れるとメールを送る。
集合時間の20分後に遥はやっと到着する。
店の前で髪型が乱れていないか、など確認する。
「よし」
遥は店に入る。
見覚えのある顔が集まっている一角を見つけそこに向かう。
「遅れてすいません」
「村田きたー!!!」
誰かが叫ぶ。
「ご無沙汰してます先輩」
先輩達に挨拶をする。
(橘先輩は…っと)
遥は周りを見渡して橘先輩を探す。
(あ…れ…?)
橘先輩の隣に知らない女の人が座っている。
「あっ!俊介!!この子がすごい現生徒会長!?」
隣の知らない人が橘先輩の裾を引っ張る。
俊介とは橘先輩の名前だ。
「おっ!村田~久しぶりだな~」
「はい。…その人は?」
「そうなんだよ~まさかあの俊介が彼女連れてくるなんてな~」
橘先輩の代のときの副会長が言う。
(彼…女…?)
橘先輩が副会長に肩を叩かれながら照れくさそうに笑っている。
「あっ…橘会長にはお世話になりました」
遥は橘先輩の彼女に会釈する。
「俊介が会長だって~」
そんなかんじで笑いが起こる。
遥も笑う。
(何してるんだろ私…)
「…それでさ~」
「「「あははははは!!」」」
遥は周りの話がまったく耳に入っていなかった。
「今日は楽しかったな~」
「じゃあ解散!」
いつの間にか会は終了していた。
遥は家に帰る。
遥はその日泣いた。
遥が泣くことはすごく珍しいことだった。
次の日
遥は部活に行く。
しかし部活に行く前にあるところに寄る。
そして部活。
みんなが予想通りの反応をする。
「せ…先輩!?」
「どうしたんですか部長!?」
「姉ちゃん朝は普通だったのに!?」
「遥なにかあったの!?」
「遥さん…髪型が…!!」
「「「ショートになってる!!」」」
遥は長かったロングの髪をショートにしてきていた。
ショートにした理由は…
(髪の毛を切ると忘れられるって言うから…)
これが遥の夏休みのある日だった。