第85話 帰ってきた二人
「悟君どうしたの?…ってお母さん!?」
香織がリビングに来ての第一声がこれだった。
「香織これはきっとなにかの間違いだ。捨ててくる」
俺は父さんと母さんをつかんで外に出そうとする。
「や…やめてくれ悟!!父さんたちが悪かった!!」
いきなり父さんが起きた。
「ん?なんだ起きちゃったのか」
「なぜそこで嫌な顔をするんだ…?」
「母さんおかえり」
「ただいま~」
「えっ!?悟父さんには!?」
「…。急にどうして帰ってきたの?母さん」
「夏休みよ~」
「ああ。夏休みか」
「悟ひどい…」
父さんは姉ちゃんが慰めていた。
「でもびっくりしたわよ~帰ってきたら誰もいなくて飢え死にするところだったわ~」
「あんたたちにはコンビニに行くという選択肢はなかったのか…?」
「あっ!」
「だめだ…」
「お母さん!いつまでいれるの!?」
香織が嬉しそうに聞く。
「う~ん…明後日の夜には帰っちゃうかな~」
「それだけしかいれないんだ…残念」
ん?そういえば姉ちゃんと母さん初めて会うんじゃないのかな?
いや、アメリカで会ってるか。
「ところで…悟、夜ご飯はまだかな?」
「いきなりそれかよ…」
「だってお腹すいたんだも~ん」
「父さんは気持ち悪いから夕飯なしな」
「ごめんなさい…」
「まあせっかく帰ってきたんだし頑張ってつくるよ」
「私も手伝うよ」
香織が言う。
「ありがとう。じゃあつくるか」
それから俺たちは夕飯を作り始める。
できた夕飯を父さんたちは「懐かしい味だ」などと言っていた。
ってか懐かしい味って…
アメリカ行ってからまだ2ヶ月くらいしか経ってないし…
最近のホームステイでも3ヶ月は行ってるよ…
「そういえば父さんたちはなんで戻ってこようと思ったの?」
「ん?30話振りに出たかったから」
「ちっ…もう父さんたちの出番はなくてもよかったのに」
「悟がいつの間にか腹黒く…」
「だって父さんたちが出てくると香織と姉ちゃんのセリフが少なくなるんだよ!」
「母さんなんか出てても少ないぞ!!」
「うっ…母さんもしゃべったら?」
「いいの…母さんの出番はなくて…そう!私は陰のヒロイン!!」
「母さんが壊れた…メインヒロインの香織もなんかしゃべって!!」
「え…えっと…もうぐだぐだじゃない?」
「「「…」」」
香織が一番気にしていたことを言う。
「正直これは書き直したほうがいいかな~って思ったんだけど…」
「「「…」」」
「あれ?私言っちゃいけないこと言った?」
「大丈夫だよ。香織は正しいことを言ったんだ…」
「よかった~」
「悟、明日なんか予定あるのか?」
「ん?急にどうしたの父さん。ちなみに明日なら野球の試合だから。おじさんもでるよ」
「徹が?そりゃ見に行かないとな」
父さんが嫌な笑みを浮かべる。
「父さんもかなり黒いよ…」
「まあ~じゃあお弁当作っていかなきゃ」
「母さん…卵焼きも作れないのに無理しなくていいから…」
「はい…」
「じゃあ明日のために早く寝ればいいんじゃないか?」
父さんが提案する。
「まあね。俺も部活の合宿で疲れてるし」
そして俺たちは寝た。
父さんと母さんは姉ちゃんが部屋にいるからリビングで寝てたけど…