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第81話 思いを伝えることは怖いこと。

夜がきた。


俺は香織になんて謝ろうかなんて考えるのはもうやめた。


今日の夜外に連れ出してちゃんと謝ろう。


自分の素直な思いを伝えようとしていた。


夕食が終わり(もちろん夕食は俺が作ったのだが…)みんなで談笑している時に俺は香織に話しかける。


「あのさ、香織ちょっといいかな…」


「?」


香織はなんか不審そうに俺を見ていたがなんとか香織を外に連れ出すのに成功した。


そのころ香織と悟がいなくなった中ではこんな会話がされていた。


「悟君どうしたのかな?私すこし様子見に行こうかな…」


奈美が言う。


「先輩それはだ…


「奈美今はそんなことより私はやりたいことがあるんだ」


理沙が止めようとするが遥の声でさえぎられてしまった。


「やりたいこと?」


「ああ、みんなで花火がしたいと思ってな用意していたんだ」


そういって遥は理沙にウインクする。


まるで『安心しろ』とでもいうように。


「そっか花火か…そうだね!みんなでしよう!」


「悟たちはきっとすぐに帰ってきますよ」


「うん!」


そうして遥たちは花火をしに外に出た。


悟たちは…


「香織実は…」


「なに?」


っ…!!


冷たいまなざし…


俺になんか興味がないようなまなざし…


これだけで俺の心は折れそうになるが俺はなんとか耐える。


「じ…実はな前のことなんだけど…あれは本当に俺が悪かった!!嫉妬してただけなんだ!!」


俺は頭を下げる。


「香織と楽しそうに話してる男の姿を見て嫉妬してただけなんだ!!それから俺なんか変で…!言いたいことがうまく言えなくて…!!思ってることとまったく逆のこと言っちゃって…!!香織が謝るときに話しかけてくれたのも嬉しかったんだよ!!」


「嫉妬…?」


「ああ嫉妬だ!!だって…だって…俺は…!!」


そこで言葉がつまってしまう。


思いを伝えるのがこんなにも怖いものだなんて思ってもなかった。


だって今の関係が崩れてしまうかもしれないから…


だから怖くてこの先のことが言えない…


「お…俺は…」


「悟君?」


香織が心配そうに見てくる。


「俺は…!!香織のことが…!!好…


『どーん!!』


ちょうど俺の告白の部分に重なるように花火の音が聞こえる。


ちょ…このタイミングって…


ベタすぎるでしょう…


しかもこんなに勇気だして言ったのに…


「わぁ~きれいだね!」


「はは…」


「悟君『香織のことが…』の続き聞きたいな」


「えと…それは…あの…」


「う~ん言いにくいなら言わなくていいよ。だって悟君は私に素直に謝ってくれたもの。本当は謝ったらすぐに許すつもりだったんだよ?嫉妬してるなんて関係なかったもの。でも嫉妬してくれたのは嬉しかったな。だって悟君が私に嫉妬するってことは悟君はわたしのこと大事にしてくれてる証拠だもん」


香織は俺のことを笑って許してくれた。


俺の本当の気持ちは伝えられなかったけど香織と仲直りはできた。


「悟君行こっ!」


香織が手を差し出してくる。


俺は素直にその手をとる。


「も~みんな私たちがいないのに花火始めちゃって!」


「そうだな」


俺たちは走って遥さんたちのもとへむかった。



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