第80話 合宿とかで仲が悪い人がいると空気が悪いときってあるよね
「合宿だぞ!!」
結局俺は香織とは仲直りできずに部活の合宿を迎えてしまった。
「遥さん質問」
「なんだ悟君」
「合宿ってなにやるんですか?」
「そりゃ…」
遥さんは考え込む。
「合宿は合宿だよ!!」
あっ…無理やり…
「と…とにかく行くぞ!ひとつのヘリじゃ全員乗れなさそうだから女子と男子+荷物にわけよう」
そして俺たちはヘリに乗る。
「またヘリ…しかも今回は二機も…」
そしてヘリが地上を離れる。
「悟」
横にいる哲也から急に呼ばれる。
「なに?」
「香織ちゃんとなにがあった?」
「うっ…」
「ばればれだぞ?香織ちゃんなんかお前のこと避けてるみたいだし」
「よく見てるな…」
「よく見なくたってわかるって。それに今日は理沙ちゃんもなんか機嫌悪いし…」
理沙が機嫌悪いのは俺と香織がまだ仲直りしていないからだろう。
「お前本当にこのままでいいのか?」
「嫌だ…」
「ならちゃんと仲直りしろよ?俺はそこまで深く探ろうとはしないから」
「よし…今回の合宿で俺はちゃんと香織と仲直りする!」
「おう!その意気だ!」
「ありがとな哲也!」
「親友なんだから当たり前だろ?」
そうこうしているうちに合宿場へとたどり着く。
「遥さんここなんですか…?」
「別荘」
合宿場と伝えられていたところは村田家の別荘だった。
別荘って聞いてからみんな唖然としていた。
「ほら海も近いし遊ぶぞ!」
遥さんがそんな提案をする。
「いい提案だね遥」
奈美さんも賛成する。
「あ…あの~」
理沙が申し訳なさそうに手を挙げる。
「どうした?上田」
「じつは水着持ってきてないのですが…」
「そんなことか水着ならあまるほどあるから適当に選んで来い」
「そ…そうですか…」
理沙は残念そうに肩をおとす。
「(理沙)」
俺は小さな声で話しかける。
「(約束も守れない男が何の用?)」
理沙さんかなり怒ってるな…
「(それはいったん置いといてさ、お前泳げるようになったのか?)」
「(泳げてたら水着だって持ってきてるわよ…)」
「(だよな)」
「(それはなんとかするけど早く仲直りしなさいよ?あんたたちが仲悪いと空気が悪いのよ)」
「(今夜謝るよ…)」
「(今夜だぁ?遅い!!)」
「(しょ…しょうがないだろ!!)」
「(チキン)」
「(うっ…)」
「(臆病者)」
「(ぐっ…!)」
「(変態)」
「(それは関係ないだろ!?)」
「(まあ今夜でもなんでもいいからとにかく今日中に仲直りしなさい!わかったわね!?)」
「(はい…)」
それから俺たちは海で遊んだ。
理沙は浜辺で砂遊びをしていたが遥さんに海にいれられおぼれかけていたところを哲也が助けたりしていた。
こんなときでも俺は香織と話さなかった。
そして俺が勇気を出して謝る夜がくる。
いや謝るだけじゃない…
この気持ちを…
香織のことが好きだという気持ちを伝えよう。
そう俺は決心したんだ。