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第75話 野球のルールっていまいちわからないんだけど…

「やる気でない…」


ついに初めての野球の練習試合の日がやってきてしまった。


「悟君行くよっ!」


「へ~い」


俺は香織と理沙に引きずられるようにグラウンドにつれていかれる。


まあ朝早いからそこまで暑くはないんだけど…


「やる気でない…」


俺はその言葉ばかりを口ずさんでしまう。


「おっ!若者たちが来たぞ!」


「「おはようございます!」」


「おはようございます…」


最初の挨拶はなぜか元気一杯の二人。


やる気のない挨拶をしたのはもちろん俺。


「竹中の坊主なんか元気ないな~!!」


「それに比べてお嬢さんたちは元気一杯だぞ?」


「未来にお前の義父おとうさんになる側としては不安だな~」


は?義父?


この声どこかで…


「おじさんか…」


「悟君元気だせ!!」


「まさかこんなところで出番あるなんてな…」


「おじさんもびっくりだ!!とにかくがんばろう!!」


「ですね」


俺は少し準備体操をする。


「あれ?香織たち出ないの?」


「私たちはマネージャーよ」


「理沙がでたら強いだろ」


「わ…私だってか弱い女の子なの…!!」


「ふっ…」


「な…なによ今の『ふっ』って!!」


「ほらか弱い女の子なんだから怒らない怒らない」


「む~」


理沙は怒りながらも黙り込んだ。


「ほら!お前たち始まるぞ!!」


初めての練習試合が開始した。


奈美さんはもちろんマネージャーだった。


「なんで俺が4番…」


「「「若いから」」」


そうみんなに言われて俺は4番バッターになってしまった。


「ストライク!!バッターアウト!!」


そんな声が聞こえたので俺は相手ピッチャーがどんな人か気になり見てみる。


そこにいたのはもちろん…


「遥さんかよ…」


うちのチームの次のバッターがバッターボックスに入る。


「ふっふっふ…蹴散らしてやる」


遥さんが小さな声で悪役のセリフを言っている。


遥さんがソフトボールのピッチングポーズをとる。


そしてボールを投げる。


ゴォォ!!


ある程度想像はしていたがその想像をはるかに上回っていた。


あんなの無理ですね…


ソフトボールの投げ方でなんでプロ野球選手並のボールが投げられるんだよ…


そうこうしているうちにうちのチームは三者三振で終わっていた。


俺は守備につく。


俺が守る場所はファーストだった。


一番打者は哲也だった。


キィン!!


いい音をたて哲也はヒットをかます。


「さすがだな哲也…」


「お前らは…うん…かわいそうだな…」


「その気持ちわかってくれるだけでうれしいよ」


俺は一塁に来た哲也と悲しい会話をしていた。


その後二番打者と三番打者は三振で終わったがついに魔王がでてきてしまう。


ズドン!!


あれ?普通鉄バットでボールを打ったらあんな音はでないはずなのに…


「あら?ボールが割れちゃいました」


怖い…怖いよ…


「哲也、俺さ逃げ出したいんだけど…」


「あれが俺の姉だってこと忘れてないか?」


「あんな清楚な口調なのになんだあの力…」


「ちっ、軟弱なボールめ。力を抑えて力を抑えて…」


遥さんの口の動きでいま言ったことがわかる。


哲也もわかったみたいだ。


「ホームラン間違いなしだな」


「ああ」


カキィン!!


遥さんは俺たちの予想通りホームランを打つ。


その後なんとか俺たちはアウトをとりチェンジとなる。


今の戦況は5-0…


相手ピッチャーはあの遥さん…


勝てる気がしない…


「ほら!!坊主逝って来い!!」


「漢字間違えてるよ!?」


「大丈夫だ。そうならないようになっていう念をこめただけだから」


本当に大丈夫だろうか…


まぁ遥さんがピッチングをミスるわけないしな…


『来たか悟君』


遥さんがアイコンタクトでそう伝えてくる。


「プレイボール!!」


『遥さんは曲がったことが大嫌いですよね?』


『なにが言いたいんだ?』


「プ…プレイボール!!」


『変化球なんてせこい手はつかいませんよね?』


『もちろんだ。変化球なんてつかわなくても勝てるからな』


『余裕ですね』


「プ…プレ…ひっく…」


後ろを向くと審判がキャッチャーに慰められていた。


まあそんなのはどうでもいい…遥さんのボール必ず打ってみせる!!





「ゲームセット!!」


10-0


コールド負け。


遥さんの投げるボールがストレートだってわかっていても打てないものは打てなかった。


しょうがないよね…


これからどうやって勝つんだろう…


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