第61話 体育祭のキセキ?
ちょっと長いかなぁ…
騎馬戦は男女混合だった。
なぜかというとこの学校の普通の口調はかなり男らしい生徒会長さんがそっちのほうがおもしろいと言って決めたからだった。
女子は諸々の事情でみんなクッションを持ってきていた。
そして俺のペアは哲也と理沙と香織だった。
上には理沙が乗り騎馬をつくる。
そして騎馬戦が始まった。
「ほら悟来たわよ!!」
俺は騎馬の前の部分だったから理沙に頭をつかまれながら指示される。
「わかってるよ!!」
俺は理沙がやろうとしていることを考え動く。
相手の騎馬に俺は向かう。
「哲也!!香織!!せーので膝を伸ばせ!!」
「え!?」
「は!?」
「せーの!!」
俺たちは膝をいっきに伸ばす。
そのタイミングを待っていた理沙が膝のバネを利用して騎馬からジャンプして相手のハチマキを奪う。
俺はすぐに理沙の落下地点を予想して移動する。
そして理沙を受け止める。
「す…すげえ」
周りからそんな声が聞こえる。
「ほら悟行くわよ!!」
「ああ!!」
俺たちはどんどんハチマキを取っていく。
ここまでは順調だった。
しかしC組がついに動きだす。
「あああああ!!」
いきなり悲鳴が聞こえる。
そこには足を抱えて転げ回っている委員長の姿があった。
「委員長!?」
A組のみんなが委員長に駆け寄る。
近くには伊藤沙希の騎馬があった。
伊藤沙希の騎馬が委員長の騎馬を倒した際に委員長は足をひねったのだろうと思っていた。
しかしその後委員長だけではなく合計4人の人が怪我をした。
でもなんとか騎馬戦は一位になった。
「これは狙ってやってるな」
哲也が言う。
「なにが狙いなんだ…」
そのセリフを言った時点で怪我をした人達の共通点が浮かぶ。
「まさかクラス対抗リレーの選手を狙ったのか…?」
クラス対抗リレーでA組がC組に負けるとC組は逆転優勝となる。
「対抗リレー誰が走る!?」
クラスの誰かが言う。
「俺が走るよ」
多分伊藤沙希がこんな勝負をしかけたのは俺が原因だと思うから俺は立候補する。
「悟が走るなら俺も走るよ」
哲也も立候補する。
「あとは女子2人…」
クラス対抗リレーは男女混合だった。
「私も走るわよ」
理沙も立候補する。
「じゃあ私も」
それにつられて香織も立候補する。
「決定だな。クラスで速く走れるのは多分お前らしか残ってないからな。頼むよ」
委員長が座りながら言う。
走る順番は自由に決めてよかった。
俺たちは理沙→哲也→香織→俺の順番にした。
「やるからには絶対に勝つぞ!!」
「「「おー!!」」」
そしてリレーが始まる。
理沙はスタートダッシュをうまくきめてそのままの勢いで一位の状態で哲也にバトンを渡す。
哲也は二位を理沙よりも離して香織にバトンを渡す。
その間に俺はアンカーで走る伊藤沙希に話しかける。
「なにが目的なんだよ」
「私はあなたに迷惑をかけたいだけ。そうね命令はあなたの大切な義妹をクラスでいじめるとかいいわね」
「ふざけるなよ!?お前らには絶対に負けない!!」
「あれを見てもそう言える?」
伊藤沙希が指差した先には香織がバランスを崩して転びそうになっていた。
そして香織は転んでしまう。
その間に他のクラスが香織を抜いていく。
「じゃあお先に」
伊藤沙希がバトンを受け取り走ってゆく。
「香織諦めるな!!」
俺は香織に向かって叫ぶ。
そして香織からバトンを受け取る。
「悟君ごめんね…!!」
香織は泣いていた。
「安心しろ」
俺は一気に加速する。
アンカーは200メートル走ることになっていた。
まずは目の前にいたクラスを抜く。
伊藤沙希は残り100メートル時点にいた。
俺は追い付こうと必死に走る。
残り50メートル時点で伊藤沙希の後ろに追い付く。
(あと少し…!!)
俺はさらに加速する。
伊藤沙希も加速する。
(香織のためにも頑張るんだ!!)
風が後ろから俺を押してくれた気がした。
「おおおおお!!」
俺はゴールテープを切る。
ギリギリだった。
伊藤沙希が驚いていた。
「どうして…」
伊藤沙希は俺が自分よりも早くゴールしたことに納得していなかったようだった。
「悟!!お前すげえな!!」
「うおっ!」
哲也がいきなり後ろから肩に腕をかけてくる。
「悟君…」
香織がこっちにくる。
「香織足は大丈夫か?」
「ごめんね悟君…!!」
香織は頭を下げる。
「なに謝ってるんだよ香織」
「だって…だって…!!」
「勝ったんだからいいだろ」
俺は泣いている香織の頭に手をのせて香織の頭を撫でる。
「さとくん私も~!!」
いきなり姉ちゃんが抱きついてくる。
「なんでだよ!?雰囲気ぶち壊したぞいま!!」
俺は姉ちゃんを引き剥がしながら言う。
「私ちゃんとさとくんの応援したもん!!だから撫でて撫でて~」
「なに言ってるんだよ!!」
そうやって騒いでいると伊藤沙希がやってくる。
「早く命令しなさいよ…」
そんなことを言ってくる。
「どうする?」
「考えてなかったな」
「MVPの竹中にきめてもらえばよくね?」
「そうだな」
クラスメイトがそんなことを言ってくる。
「だってさ悟」
哲也もそれで納得したようだ。
「そうだな…まあ別になにもしなくていいんじゃないか?あっ!やっぱりうちのクラスが片付ける体育祭の用具片しといてくれ。それで終わり!」
「そんなのでいいの?」
伊藤沙希が驚いたように聞いてくる。
「いいよな!?みんな!!」
「ああ!!」
「楽できる!!」
みんなそれでいいみたいだ。
「じゃあよろしくな」
「わかったわ。竹中君はやっぱり優しいね…」
「そんなことないさ」
伊藤沙希は少しだけ笑って自分のクラスに戻っていった。
「打ち上げやろうぜ!!」
「私がおごってあげちゃう!!」
いきなり姉ちゃんがそんなことを言いだす。
「美里先生さすが!!」
「太っ腹!!」
「姉ちゃんうちの家計破壊する気か!?」
もうそんなのはお構い無しにクラスは騒いでいる。
その中から姉ちゃんがでてくる。
「さとくん騒ぐときは騒がなきゃだめだよ?それに私の貯金から出すから安心して」
「姉ちゃん貯金なんてしてたのか…」
「もちろん!今では毎月お父さんから振り込まれるお金の100倍位は貯まってるよ」
「1人暮らししろよ!!」
「ご飯作れないも~ん」
そう言って姉ちゃんはまたクラスの輪に戻っていった。
こんど姉ちゃんに何か買ってもらおうと思った。