第53話 いきなりすぎますよ…
GWからはやくも一週間が経っていた。
部活はいつもと変わらない恋愛相談ばかり…
なんで人ってそうゆうの好きなんだろうなぁとも思った。
まあそれは置いといて…
家に帰ると父さんと母さんが正座していました。
「た…ただいま」
「おかえり、悟、香織」
「どうしたの?」
「まあ座りなさい」
俺と香織は顔を見合わせる。
そして父さんに言われたとおり座る。
「お前達に言わなきゃいけないことがある…」
「ふざけたのだったら殴ってもいい?」
「悟これは真剣な話なんだ」
父さんに真正面からそう言われ反省する。
「実はな…」
ごくり…
思わず息をのんでしまう。
「俺と母さんは昨日久しぶりにキスしました!!」
ドコォッ!!
俺はつい殴ってしまう。
「い…いひゃい…」
父さんが頬を押さえながらそう訴える。
「あなた…ちゃんと言わないと」
母さんが注意する。
「そうだな…実は俺と母さんは明日からアメリカに転勤することになった」
「「は?」」
俺はつい母さんの顔を見てしまう。
母さんは無言でうなずく。
「GW中にアメリカに行ったとき正式に決定した」
「母さんと一郎さんはその確認のためにアメリカに行ったのよ」
「お…俺たちはどうなるんだよ?」
「お前たちももう高校生だ。しかも家事は自分たちでちゃんとできる。だからここで二人で暮らしなさい」
「い…いきなりすぎるだろ!」
正直混乱していた。
「お母さん!!」
香織も母さんに詰め寄る。
「なんでちゃんと言ってくれなかったの!?いつアメリカに行っちゃうの!?」
「明日よ…」
「「明日!?」」
「ちゃんと言ってやれなくてすまない…」
「いきなりすぎるよ…」
香織が走ってどこかに行ってしまう。
そりゃそうだろう。
ずっと暮らしていた人と離れるのだから。
急に言われて驚いているのだろう。
俺だって驚いている。
「悟君…香織をおねがいね」
「うん…」
「悟、後で…
「ごめん。心の整理したいから」
俺は自分の部屋に行く。
いずれ父さんと離れるのはわかっていたことだった。
俺が1人暮らしなどすれば離れるのは当たり前だった。
しかし急すぎではないだろうか?
こんなにも早く別れがくるとは思ってもいなかった。
しかも明日って…
もっと早く言ってくれたら心の整理がついていたかもしれない…
笑顔で送りだせたかもしれない…
でも父さんたちは前日に言った。
それはなぜか…
大体想像がつく。
俺が哲也に頼んで転勤をやめさせるから…
それで会社に迷惑をかけてしまうから…
だから父さんたちは今日言ったのだろう。
「はあ…」
俺は急に言われたことにまだついていけていなかった…