第49話 ホテルで女の子と二人っきりっていったら…
「ん?なんで悟ついてきてるんだ?」
俺たちはホテルの部屋に行こうとしていたがなぜか父さんについていったらそんなことを言われた。
「は?」
「香織もよ~どうしてついてきてるの~?」
「えっ?」
「まさか俺たちのの愛の巣を邪魔する気だな~」
父さんが肘でつついてくる。
「もしかして…」
「そうだぞ。悟たちの部屋はあっち」
父さんは部屋を指す。
「父さんたちは心配じゃないのか!?」
「なにが?」
「あの…その…若い男女がその…一晩を…部屋で二人っきり…」
「そんなの俺も母さんも認めてるぞ?な?母さん?」
「ええあなた」
「「は?」」
「あんまり激しすぎて腰を痛めないようにな~」
「やだあなたったらも~」
最悪な両親だ…
「香織…部屋に行こうか…」
「そうだね…」
俺と香織はとりあえず自分たちの部屋にいく。
「なんであの両親はあんなんなんだろうな…」
俺はベッドに腰をおろして愚痴る。
「でも仲良くて安心したよ。もう離婚なんて嫌だから…」
「香織…」
「もう離れる思いはしたくないんだよ」
「だな。俺も姉ちゃんと離れるのが嫌だった。ほとんど姉ちゃんに育てられたようなものだったからかな」
親が離婚して離ればなれになる悲しさをどっちも知っているから自分の本当の気持ちを言えたのかもしれなかった。
「ねぇ…悟君…」
「ん?どうした?」
「さっきお父さんたちが言ってたことなんだけど…私も別にかまわないんだよ?初めてが悟君なら後悔しないもの…」
「えっ…」
香織からその言葉を聞いたときは驚いた。
いつもの香織なら言わない言葉を聞いたからかもしれない…
そしてなぜかその言葉を聞いたときに理沙の顔、奈美さんの顔、姉ちゃんの顔、そして香織の顔が頭に浮かんだ。
「俺は…後悔すると思う…うまく言えないけどこんな形でなんて香織は後から絶対に後悔すると思うんだ…ちゃんと香織が愛してその愛された人もその気持ちに応えられる。そんな人とがいいと思うんだ」
香織にかけたこの言葉は俺としてじゃない…香織の義兄としてだ。
そしてこの言葉をかけているときに俺は自分を疑う。
俺は本当に香織のことが好きなのか?
本当に好きならみんなの顔は浮かんでこなかったのではないだろうか?
わからない…
自分の気持ちがわからない…
俺は香織の方に目をやると香織が泣いていた。
「か…香織?」
「うぇっ…ひっく…悟君はわかってないみたいだから…ひっく…言っておくよ?…ひっく…女の子はね…こうゆうこと言うのは…なかなか勇気がいることなんだよ?…」
「っ…!!」
俺は言葉を失ってしまう。
俺は香織の勇気を踏みにじったのか…?
いや、今回は俺が正しいと思うんだ。
「香織の勇気を踏みにじったことは謝る。でも俺が言ったことは正しいと思うんだ」
香織が俺の顔を見てくる。
「私は…悟君が好きなのに…どうして気がついてくれないの?」
「なっ…」
「私は悟君のそうゆう優しいところが好きなんだよ?」
「俺も香織が好きだ…けどいまの俺の気持ちがわからないんだよ!本当に俺は香織のことが好きなのか?って疑うことが何度もあった!!」
フワッ…
香織が俺を優しく包み込む。
「ごめんね悟君…無理させちゃって…」
「香織…」
「私は絶対に悟君が私を好きになるように頑張るから!!」
「ごめん…」
「なんで謝るの?さあそろそろ寝よ?時差のせいでまったく眠くないけど外は真っ暗だからね」
「そうだな」
香織はベッドに入り眠りにつく。
俺は…結局逃げたのか…
決断を下して周りとのいまの関係が崩れるのが怖くて逃げたんだ。
それを香織のせいみたいにして…
「最低だ俺…」
俺もそのまま眠りについた。