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第38話 あなたを守りたくて

俺は家に帰ると香織の部屋に向かう。


部屋にノックもしないで入ると香織はまだふとんをかぶっていた。


「香織」


「なんで悟君がここにいるの?学校は?」


「なんでそうしてるのかはもうわかってる」


「そっか…ばれちゃったんだね」


「ばれたじゃないだろ!?なんで俺に相談してくれないんだよ!?俺だって香織の役にたちたいんだよ!!いつまでそうしてるつもりだよ!!そのままじゃなにも変わらないだろ!?」


俺はふとんを無理やりとる。


香織がびっくりしたようにこっちを振り向く。


香織の目は赤くはれていた。


「っ…」


俺はなんでこんなに強く言ってしまったんだろう…


一番辛いのは香織のはずなのに…


俺はただやつあたりしていただけなのではないだろうか…


そんな考えがうかんでくる。


「だって…」


香織が口をひらく。


「だってしょうがないじゃない!!これ以上悟君と仲良くするなら悟君を傷つけるって言うんだよ!?私がいじめられるのはべつにかまわない!!でも悟君が傷つくのは嫌なの!!」


「香織…」


「だって…だって…悟君が傷ついていくのは嫌だよ…」


俺は香織を抱きしめる。


そうすれば香織がすこしでも楽になると思ったから。


これは竹中悟としてじゃなく香織のお兄ちゃんとして…


「香織…俺は大丈夫だから。香織は自分が傷ついても俺を守ろうとする強い子だぞ?俺はお前の兄貴だ。香織より強いに決まってるじゃん。な?」


俺は香織をあやすように頭をなでる。


「ふ…ふええええええん!!」


香織は安心したのか俺の胸のなかで泣き出した。


俺は香織が泣く姿をはじめて見た。


そこまで香織が追い詰められていたことを実感する。


俺は香織が泣きやむまで香織の頭をなで続けた。


香織はだいぶ経ってから泣き止んだ。


「おちついたか?」


「うん…ありがとう悟君」


「明日も学校休んでいいぞ?」


「えっ…」


「でもちゃんと明後日からは来い。わかったか?」


「どうして明日は休まなきゃいけないの?」


「…」


「悟君?」


「解決してくる」


「?」


「香織がもういじめられないようにしてくる。香織にはその姿見られたく…ないから」


「悟君無理だけは絶対やめてよ!?悟君が傷つくのはだめだからね!?」


「ん、大丈夫」


このとき俺は香織に嘘をついた。


俺は無理をしてでもやらなきゃいけなかったから。


香織が俺の傷つく姿は見たくないといってくれたがそれは逆も言えることだ。


俺だって香織の傷つく姿を見たくない。


それは香織が好きだからじゃない。


絶対に理沙のときでも俺は無理をする。


哲也は…吉田さんがいるから大丈夫だろ。


俺たちはそれからテレビを見たりなどして一日をつぶした。


哲也からメールがきたが『解決』とだけうって返信しておいた。


そして俺が無理する日がきた…



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