第3話 自己紹介ってなんか緊張するよね
教室にはすでに結構な人数の生徒がいた。
その中には佐藤香織の姿もあった。
あの黒くて長い髪。
そして小さくて愛らしい顔…
バンッ!!
後ろから急に叩かれる。
「ッ!!なんだよ哲也」
「目を覚ませ悟。そんな目で見てたら友達どころかただの変態のまま終わるぞ?」
「変態…助かった哲也」
「はい。HR始めますよ~」
担任が入ってきたので俺たちは席につく。
「はじめまして。私が新しい担任の長嶺ゆり(29・独身)です」
なんかめんどくさそうな担任だな…
「じゃあまずは自己紹介してもらおうかな。前の君から言ってって」
「田中…
自己紹介ってめんどくさいよな…
なに言おう…
「村田哲也です。特技はとくにありません。よろしく!!」
あいつ適当だな…
などと思ってる俺も名前と特技だけで済ませようとしてるのだが…
「佐藤香織です。特技は料理です。お願いします」
佐藤と特技が一緒だぁ。
そっか料理が得意なのかぁ。
すこしでも佐藤のこと知っただけで俺幸せだなぁ。
…お願いします」
前の人が終わった。
次は俺か。
「竹中悟です。特技は料理です。よろしくおねがッ…!!」
舌噛んだ…
まじカッコ悪…
「よろしくお願いします…」
最悪だ…
佐藤にまで笑われてるよ…
はあ…
「そんな落ち込むなって」
HRが終わると哲也が俺の席にきた。
「第一印象最悪だな…」
「そんなことないって!!ほら始業式始まるから行くぞ!!」
「ああ…」
「いつまでそんな顔してるの!?」
「理沙…」
「シャキッとしなさい!!」
「ああ…」
始業式はこんな感じで聞き流し、哲也と理沙で帰るときはすこしだけ回復していたくらいだった。