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第29話 お化け屋敷の中なら合法的に抱きつける

今回はすこし長めです

「あそぶぞー!!」


俺たちは長野につき村田グループの遊園地に来ていた。


「哲也…お前の家やっぱりすごいな…」


遊園地の入り口には『貸切』の看板…


「まあとにかく楽しもうぜ?」


「そうだな」


俺たちはしばらく貸切の遊園地で遊んだ。


「二人ずつでお化け屋敷入ろうぜ!!」


哲也が唐突にそんなことを言いだした。


「なに言ってるんだよ!!」


「(協力してやるんだぞ?感謝しろよ)」


「(俺はお化け屋敷苦手なんだって!!)」


「(え゛…)」


「いいね!!楽しそう!!」


「(どうするんだよ!!乗り気だぞ!?)」


「(ここはとにかく有利にはこぶ!!)悲鳴をあげたら罰ゲームでどう!?」


「なっ…!!」


「受けてたつ!!」


理沙…そこは受けちゃだめだよ…


「じゃあまずはチーム分けを…」


哲也が片手をあげると哲也の執事がやってくる。


「どうぞ…」


哲也が何かを受け取る。


「じゃあこれでくじ引きを…インクのついているほうとついてないほうな」


哲也がさっき執事さんから受け取った赤いインクのついているだろうティッシュを出す。


「じゃあまずは理沙ちゃんどーぞ」


「ええっと…じゃあこれ」


理沙がティッシュを引く。


「わたしインクありだ」


理沙はインクありを引いていた。


「じゃあつぎは香織ちゃん」


香織もティッシュを引く。


「わたしなしだ」


香織はインクなしか…


ここは正直インクなしをひきたい…


でもかっこ悪いところ見せたくないし…


理沙なら俺がお化け屋敷が苦手ってこと知ってるからインクありのほうが…


などと下を向いて考えていると不意に赤いものが見える。


それはティッシュを切ったような…


まさか…!!


そうか…俺にはインクありを選ぶことなんて不可能だったのか…


「どうした?悟。はやく引けよ」


つまりティッシュには最初全部インクがついていて理沙が引いた瞬間にティッシュの赤い部分をちぎったと…


余計なことしてくれるぜ…


「じゃあこれな…」


どっちを引いてもインクなしだってわかっているから簡単に引けた。


そしてもう怖がれなくなった…


「俺インクなし」


「悟君よろしくねっ!!」


「よろしくな香織」


「う~」


理沙がうなっていたがそれは気にしない…


いや…気にするほど余裕がない…


「じゃあまずはインクなしから行ってこいよ。はいこれつけて」


哲也に何かを手渡される。


「マイク?」


「これで声の大きさはかって悲鳴かどうか調べるから。話の内容とかは聞こえないから安心しろ」


これは計測器か…


「じゃあいってらっしゃ~い」


そして俺は振り返る…


いままで見ないようにしていたものを…


日本一怖いお化け屋敷としてテレビにとりあげられたことがあるお化け屋敷を…


「じゃ…じゃあ、い…行こうか香織」


「う…うん」


俺たちはお化け屋敷に入る。


中は病院をイメージしたお化け屋敷となっていた。


『ようこそ…』


この声だけでビクッとなってしまった。


それは香織も同じだった。


「さ…悟君…手つないでもいいかな?」


「も…もちろん…」


正直これはこっちも助かる。


俺たちは先に進む。


香織の手が震えている。


俺はぎゅっとその手を握ってあげる。


香織は驚いたように俺を見ていたが何も言わなかった。


驚かされる度に俺は何度も悲鳴をあげそうになったがなんとかこらえた。


香織は悲鳴は絶対にあげなかった。


歩いていると広いスペースにでる。


「悟君…無理しなくていいんだよ?」


「いきなりどうしたんだ?」


「だって悟君すごく無理してそうなんだもん…」


「なっ…」


「私は悟君のありのままの姿を見たいんだよ?悟君のこともっと知りたいの…」


「香織…俺も香織のこともっと知りたい…」


「それはだめだよ…私、悟君のこと知りたいって言ってるのにだめだなんて…わがままだね」


「どうして?」


「悟君が私のこと知ったらきっと嫌いになっちゃうから…私は独占欲が強くて、わがままで、本当に嫌な女なんだよ?」


「それでもいいんだ!!」


俺はつい怒鳴ってしまう。


「それも含めて香織だろ!?俺は香織のこともっと知りたい!!絶対に嫌いになんかならない!!だからそんなこと言うなよ。な?」


香織は驚いていた。


「俺は必ず香織のことを知ってやる…だからお前こそ無理すんなよ」


香織が急に抱きついてくる。


「えっ…!!香織!?」


「悟君優しすぎるよ…!!なんでそんなに優しくしてくれるの!?せっかく自分を抑えてたのに!!兄妹だからで抑えてたのに!!悟君が優しくしちゃうから私…私!!悟君のことが…!!」


ババババババ!!


なんだこの音…


「アウトでございます」


「執事さん…」


時間的に俺が怒鳴ったときだな。


「ではこれにお乗り下さい。すぐに外に運びます」


執事さんが乗れといったのは大型バイク…


俺たちはそのままバイクで外に出た。


「いや~なかなか耐えたな」


「哲也…」


「じゃあ今度は俺たちの番だな。理沙ちゃん行こー」


「そうね」


それから10分。


哲也たちはいとも簡単にでてきた。


それは哲也が完璧に驚かされるところやルートを覚えていたから。


「さ~て罰ゲームはなににしようかな~」


「哲也…正直王様ゲームのノリだろ?」


「もちろん!!」


そこで哲也が片手をあげる。


そして執事から黒い箱をうけとる。


「な…なんだそれ?」


俺はおそるおそる聞いてみる。


「罰ゲームボックス」


予想通りの返事に一瞬寒気をおぼえる。


「理沙ちゃんひいて」


理沙に罰ゲームボックスをさしだす。


それから理沙は罰ゲームの内容が書かれているであろうボールをとりだす。


「なになに…『観覧車でキスをするまでおりられない』っと」


「「えー!?」」


「よし悟、香織ちゃん行ってこい。早くしないと集合時間間に合わなくなっちまうからな」


俺たちは執事さんに連行され観覧車に放り込まれる。


ガチャ


ロックをかけられる。


これで逃げれなくなった。


観覧車が動き出す。


「さ…悟君本当にするの…?」


「あいつはするまで本当におろさないつもりだ…」


「わ…私たち一応兄妹だよね…?」


「あっ、兄妹で思い出した。お化け屋敷の『私…』のあとってなんて言おうとしてたの?」


「えっ!!その…ひ…秘密!!」


そうこうしているうちに観覧車は最高到達点まであがる。


「わぁ~」


香織が景色を見る。


「きれいだね~悟君…私は悟君がいいならいつでもキスしていいよ?」


「えっ…?」


「キス…しよ?」


香織の顔が夕日に染まっていっそう可愛くなる。


ここは男ならキスをしてあげるべきなんだろうな…


「香織…」


「ファーストキスなんだからね」


香織が目を瞑る。


そして俺はキスをした。


人生で初のキス。


俺は好きな人からファーストキスをもらった。



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