第15話 玉もつけてね!!
悟が仕事に行ったあと香織は家事をする。
「おはよう…母ちゃん」
「ママおはよう…」
夏希達が起きてくる。
「おはよう。二人とも顔洗っておいで」
香織がそう言うと二人は洗面所へ向かう。
「優輝がほしいもの思い出したか聞かなきゃ」
香織は夏希達と朝食を食べる。
「優輝ほしいもの思い出せた?」
優輝は首を横にふる。
「でも…」
「ん?」
「たま(球)もついてた気がする」
(玉?悟君のあれだったら玉もつけなきゃいけないけど…)
「大丈夫玉もつくよ」
「やった」
優輝は喜ぶ。
(悟君も玉だけ残っててもかわいそうだからね…)
朝食を食べ子供達を幼稚園に預けたあと香織は理沙に電話する。
『どうしたの香織?』
「それがね…優輝の誕生日プレゼントが…」
『そういえばもうそんな時期ね~今年はなにあげようかしら?』
「今年はもういいよ。こっち2人もいるのにうちは1人分しかあげてないんだから」
『私があげたいからあげるのよ。香織は気にしなくていいの』
「そう?」
『もちろん。で?優輝君の誕生日プレゼントがどうしたの?』
「優輝が誕生日プレゼントの名前がわからないって言うのよ…」
『それは大変ね…』
「わかるのは太くて、固くて、長いもの…玉つきで」
『香織はなにを想像してるの?』
「えっ!?ええっと…その…男の人についてる『あれ』を…」
『もしそれだったらどうするのよ…』
「どこかに売ってるわけでもないから悟君のを…本当は嫌なんだけど…しょうがないよね?」
『まあそれはないわね』
「?」
『だから男の『あれ』じゃないってこと』
「どうして?」
『だってよく考えなさいよ?優輝は持ってるんだからいらないはずでしょ?だったら太くて、固くて、長いものなんてひとつしかないじゃない』
「??」
『バットよ。バットなら球もつけてほしいって言うのも納得いくでしょ?』
「あっ!」
『そんな下ネタみたいなこと考えないで子供の視点から考えればわかることでしょ…』
「それは…」
『香織も昔はこんな子じゃなかったのに…やっぱり悟のせいかしら?』
「それはないよ!!…って言い切れない…」
『まあわかったんだから野球中継かなにか見せて「優輝がほしいのこれじゃない?」って聞いてみればいいじゃない』
「うん!ありがとう!理沙ちゃん」
「どういたしまして」
そして香織は電話を切る。
バットであってるといいけど…




