第10話(番外編)子供たちのはじめてのおつかい
とある休日。
「だ~れにも内緒でお出掛けしようっ!」
「父ちゃんなにその歌」
「はじめてのおつかいの主題歌だ」
「あのテレビでやってる?」
「ああ。ってことではじめてのおつかいをしよう!!」
「?」
「だから優輝と夏希で香織が頼む物を買ってきてくれ」
「やる!」
「楽しそう…」
「じゃあ買ってきてほしいものは…お豆腐屋さんで油揚げとお肉屋さんで豚肉200グラム買ってきてもらおうかな」
「よし!2人とも頑張れ!!」
「おう!」
「うん…!」
2人は元気良く家を飛び出す。
「心配だな…」
「悟君心配性だもんね」
「子供達がかわいくてしょうがないだけだ」
「私は?」
「もちろんかわいいよ」
「うれしいっ」
香織が飛び付いてくる。
「さて、追いかけよう」
俺はまず窓から外を見てみると夏希達はまだ家の前にいた。
「なにやってるんだ?お!動いた。けど豆腐屋とは逆方向だぞ…」
俺と香織は尾行を開始する。
家を出た子供達は話し合っていた。
「優輝君…お豆腐屋さんはこっちだよ…?」
「姉ちゃん考えてみろよ。わざわざお肉屋さんとお豆腐屋さんに行くなんて疲れないか?」
「?」
「近くにデパートあるんだからそっちで買おうぜ」
「優輝君頭いい…」
「もっと誉めていいんだぜ」
子供達は歩きだす。
「優輝君…」
「どうした?」
「手つなご…」
「いいよ」
2人は手をつないで歩く。
「(なんていい光景だろう)」
「(悟君そんなに近づいたらバレちゃうよっ)」
大人2人は尾行を続ける。
「ついた…」
「早く入ろうぜ」
子供達2人はデパートに入る。
「(デパートか…あいつら考えたな…)」
「(デパートに来るなんて予想外だったよ…)」
大人達もデパートに入る。
「(こんな広いデパートで2人はちゃんと買い物ができるのか!?次話につづ…)」
「(続かないよ)」
「(マジで?)」
「(マジで)」
大人達はそんなやりとりをする。
一方子供達は…
「なに買うんだっけ?」
「たしか…油揚げと…豚の血…?」
「豚の血か…どこに売ってるんだろうな…」
「まず…油揚げ買いに行こ…?」
2人は油揚げが売っている場所に行き油揚げを手に入れる。
「次は豚の血か…すこし探してみよう」
2人は豚の血を探す。
偶然お菓子売り場に到着。
「(2人はこの誘惑にたえられるのか!?次話につづ…)」
「(続かないよ)」
「(マジで?)」
「(マジで)」
「(せっかくの初めてのおつかいを一話で終わらしていいのか!?)」
「(せっかくだから文字数の最長を目指したいらしいよ)」
「(できるのか?)」
「(多分無理だね。理沙ちゃんの番外編長かったし)」
「(あいつらかわいそう…)」
「(我慢我慢)」
「(うん…)」
香織は悟を慰めた。
子供達は…
「お菓子が…」
「優輝君…」
「姉ちゃん…少し買ってもバレないかな?」
「優輝君テレビを思い出して…お菓子を買った子供達は怒られてる…」
「っ…!!姉ちゃんさすが!!」
「もっとほめてもいいんだよ…」
「さてと、早くトマトジュース買って帰ろうぜ」
「そうだね…」
子供達はトマトジュースを手に取ってレジに行こうとする。
「(なんであいつらトマトジュースなんか持ってるんだ?)」
「(きっと豚肉から豚の血になって赤いものって覚えてたらトマトジュースになっちゃったんじゃないかな?)」
「(かわいいやつらめ)」
「(悟君って親バカだよね)」
「(そうか?)」
「(うん)」
子供達は…
「優輝君…」
「ん?」
「お肉屋さんに行くはずだったからトマトジュースはまちがってない…?」
「あっ!」
「本当に買うものは…」
「豚肉だ!!」
「そうだ…!」
2人はすぐにトマトジュースを戻し豚肉を買いに行く。
このデパートは自分が指定したグラムで買えるようになっている肉屋なので200グラムくださいと言えばもらえる。
「えっと…豚肉ください」
優輝が注文する。
「何グラムだい?」
店のおっちゃんが聞いてくる。
「姉ちゃん、何グラムだっけ?」
「えっと…」
「ん?」
おっちゃんがこちらを見ている大人2人を見つける。
その大人の男の方が指で『200』と伝えようとしている。
おっちゃんはすぐに目の前の子供達の親だとわかった。
「もしかして200グラムじゃないか?」
「「あっ」」
「はい。200グラムな」
「ありがとう!」
「ありがとうございます…」
2人は肉のコーナーから立ち去りレジに向かう。
「850円になります」
「姉ちゃん金持ってる?」
「持ってないよ…」
「(お金渡すの忘れちゃった…)」
「(なっ…!)」
「(どうしようか?)」
「(俺が行こう)」
悟はレジに向かいそっと夏希の肩をたたく。
「あっ…パパ…」
「私はパパなんかじゃないぞ?君たちの味方だ。ほらお金」
「ありがとうございます…」
悟はすぐにその場から立ち去る。
「(バレなかったかな?)」
「(いや、バレバレでしょ…)」
香織酷い…
「(まあこれで無事に買い物は終了だな)」
「(帰るまでが買い物なんだよ?)」
「(遠足みたいなこと言ってるな…)」
2人は子供達の尾行を続ける。
「(なあ香織…)」
「(どうしたの?)」
「(今曲がったところ違くね?)」
「(あっ…)」
「(まあどうなるか気になるしなにもしないでおこう)」
「姉ちゃん…ここどこだろう…」
「私も聞きたいよ…」
「俺たちもう帰れないのかな…」
「きっと…そんなことないよ…」
「だって…だってぇ…」
「優輝君…泣いちゃだめだよ…」
「姉ちゃんだって泣いてるじゃん!」
「そ…そんなこと…」
「うわああああ!!」
「わああああん!!」
2人は泣き出してしまう。
「ひっく…もう母ちゃんにも会えないのかな?」
「パパにも…会えなくなっちゃうの…?」
「(香織…泣き出しちゃったぞ…)」
「(そろそろ出ようか)」
2人は子供達を抱き上げる。
「ふぇ?ひっく…母ちゃん…」
「パパぁ…」
「よく頑張ったな2人とも」
「次はちゃんと帰れるようにしようね」
「「うん…!」」
そして俺たちは家に帰った。
「結局一番長い話になったのか?」
「うーん…どうだろうね…」
「まあ今も一番長くするために文字数稼いでるんだけどな」
「言っちゃだめだよ」
「風呂入ってくる」
「優輝私も入る!」
「げっ…!来るな母ちゃん!」
「優輝はママが嫌い?」
「嫌いじゃないけど一緒に入るのは嫌だ!!」
「うっ…」
香織が泣きそうになる。
「優輝、香織を泣かせたら怒るぞ?」
「入ります」
「やった!」
香織と優輝は風呂に入る。
「夏希は一緒に入らなくてもいいのか?」
「私は…パパと入る…」
「そっか」
俺は夏希を膝に乗せる。
はあ…いつか夏希も「お父さん嫌い!」とか「近寄らないでよ!」とか言うんだろうな…
パパ悲しい…
「パパ悲しそう…」
「大丈夫だよ。もうみんなで一緒に風呂入るか?」
「うん…!」
俺たちはみんなで風呂に入った。
香織の顔は真っ赤だったけどな…
いつも見られてるから恥ずかしがる理由なんてないはずなんだけどな…
まあこんな感じに子供達のはじめてのおつかいは終わった。
あと3文字で一番長かったのに…




