第4話 会社っていったらあそこしかないよね
「眠い…」
俺は仕事に行くために重いまぶたを開ける。
「香織おはよう」
「おはよう悟君」
「いつも早くに起きてもらっちゃって悪いな」
「そんなことないよ。悟君だって頑張ってるんだから」
「香織!」
俺は香織に抱きつく。
「悟君!?」
「少しだけこのままでいさせてくれない?」
「うん…」
俺は数分香織に抱きついてから朝食を食べて家を出る。
「悟君いってらっしゃい」
「いってきます」
チュッ…
もう結婚してからかなり経つけど毎日キスしてるよな…
俺は職場に着く。
「おはようございます…部長」
俺はアメリカへの転勤からまた日本に戻ってきた部長に挨拶をする。
「悟元気ないんじゃないか?」
「あんたはなんでそんなに元気なんだよ…」
「だって毎日毎日ベッドで…」
「それ以上言わんでいい。それよりもちゃんと料理食えてるか?父さん」
俺の上司は父さんだった。
俺が結婚する辺りに転勤から帰ってきた。
「大丈夫だ。最近は食べて腹を壊す程度だ」
「まだだめか…」
「まあ心配するな。おまえらの母さんはいつかちゃんと料理が作れるようになる」
「それがいつになるかわからないけどな…」
「悟~!」
「哲也」
「相変わらず眠そうだな」
「お前はなんか楽しそうだな」
「だって久しぶりの登場だぜ?」
まあここまでくればわかるだろうが俺が入った会社は村田グループ。
ちゃんと勉強して入社した。
まさか父さんが上司になるとは思ってなかったけどな…
「久しぶりに孫の顔が見たいな~」
「2週間に1度は必ず来てるじゃねえか…」
「ばれた?」
そんなやりとりをしてから仕事にかかる。
仕事はずっとパソコンと向かいっぱなし…
目疲れるし肩凝るし…
仕事って大変だな…
「係長なんか元気ないね~」
係長は俺な。
え?まだ係長なのかって?
しょうがないじゃないか…
「おーい。係長?」
「あっ、ごめんごめん」
話しかけてくるのは4歳年下の後輩の須藤美紀。
よく働くいい子だ。
「ってかお前敬語使えよ」
「係長こそもう27なんだからそんな現代風な言葉づかいやめなよ」
「ほらほら喧嘩しない」
「課長!止めないでください!」
「哲也!こいつにはそろそろ年上の怖さを…」
「恐怖を植え付けてどうする…」
「それもそうか。じゃあちゃんと目上の人には敬語をつかえって徹底的に教える!!」
「敬語つかってないの係長にだけだもん。それに係長だって課長に敬語つかってないじゃないじゃない。それに部長にもつかってない姿見たよ?」
「うっ…!」
「確かにそうだ」
哲也すっごく笑顔…
「さあ係長!これでも敬語つかえって言うの?」
勝ち誇った顔しやがって…
「わかった」
「やった」
「俺が敬語をつかう」
「そんなに私に敬語つかわせたいの!?」
「なんか負けてる気がしてやだ」
「子供かよ…」
「哲也、男には突き通さなきゃいけないことがあるんだ!!」
「優輝君に教えてやれ」
「か…課長…昼飯一緒に食べませんか?」
「悟おもしろっ!」
「ば…ばかにしないでください」
「お前顔真っ赤だぞ!」
「さあ!須藤も俺に敬語を!!」
「か…係長…コーヒー飲みますか?」
須藤が上目遣いで聞いてくる。
まずいかわいい…
「悟浮気はだめだぞ」
「し…しねえよ!!」
「早速係長敬語じゃないし」
「俺には無理」
「じゃあ私も無理ってことで」
そう言って須藤はどこかに行く。
「2人とも…」
後ろからすごいオーラが…
「げっ…姉ちゃん…」
「は…遥さん…」
遥さんもこの村田グループで働いている。
たしか今は専務だったかな?
そんなことより今は…
「どうして仕事してないんだ?」
この危機をどうやって回避するかだ…
「それは…その…」
「えっと…」
「早く仕事しろ!!」
「「はい!!」」
俺たちは仕事を再開する。
「いや~遥さん怖いな~」
昼食。
哲也と愛妻弁当を食べているところだった。
「なあ悟」
「ん?」
「今度旅行に行かないか?」
「お…男2人でか…?」
哲也にそんな趣味があったとは…
俺はあいにく男に興味はないから丁重にお断りを…
「ちげーよ!!家族でだよ!!」
「なんだそれ聞いて安心した」
「お前失礼だな」
「でもなんで急に旅行?」
「ネタになるだろ?」
「なんの?」
「この小せ…」
「言うな」
「まあとにかく行こうぜ」
「香織と相談するよ」
「ああ。そうしてくれ」
そして昼休みが終わりまた俺たちは仕事を再開した。




