第八話 奪われた物
崩壊した異世界に転生した菊池圭太は、崩壊の要因となった人物ペイモンと同居することになった!?新たに同居を始めたルシファーの紹介で、ペイモンが恋をしている人物、グレモリーに会うことになったのだった…
圭太がグレモリーの家に訪問しに行ってから数十分後、ペイモンが帰宅した。
「…む、圭太さんはどこでしょうか?」
「あぁ、圭太なら俺が指示してグレモリーの家に行かせた。」
「!?!?!?!?!?」
ペイモンは赤面してから少しして落ち着きを取り戻したようだった。
「なんでわざわざグレモリーなんですか…」
「すまんがその話は中断させていただこうか。」
俺はペイモンの話を無視して話した。
「妖怪ウォッチ2真打、ラスボスにスベテウバウネというキャラクターがいるよな。」
「…はい。」
「あのキャラクターは味方陣営の妖怪のあらゆるものを奪っていくんだ。だがほとんどはバトル中の時間経過で返してもらえる。返して貰えないのは、『妖気ゲージ(技を放つために必要なゲーム)』ともう一つ程ある。何か分かるか?」
「なんでしたかね…」
「それはな『命』だ。」
俺は一度立っているペイモンを近くのソファーに座らせた。
「別に俺も同じ悪魔。殺しが悪だとか善だとか綺麗事を抜かす訳では無い。だがな、国家転覆で失われた命は、“奪われた物”は戻ってこない。」
「…はい。」
「忘れるなよ。」
俺(圭太)がグレモリーさんとの会話を終え、帰ってきた時家の中でルシファーとペイモンが話していた。
「…はい」
「忘…る……」
中で二人の話し声がボソボソと聞こえた。中に入ろうとした途端、外の柵の上に老人がいた。その老人はワニに座り、こちらに話しかけてきた。そう、恐らくペイモン達と同じ悪魔の一人だったのだ。
「あぁ、そこのお前、私はペイモンに用があったのだが場所は分かるか?」
伝えては行けない、そう思う前に「ここです」と間違えて言ってしまった。悪魔と対峙して、緊張していたことも相まって、冷静ではなかった。
「有難い。」
そう言うと、その老人らしき悪魔は、手で地面をつついた。すると突然地面が大きく揺れた。
「まさか…地震!?」
異変に気がついたペイモンとルシファーが扉から飛び出してきた。そして目の前の老人に気がつくと、ルシファーは特大の炎を飛ばそうとした。
だが飛ばそうとしたポーズのまま、ルシファーは停止した。
「我が名は『アガレス』。漢術は『止』。地球というのは常にエネルギーが加わっている。なので地面の動きを止めれば、溜まったエネルギーが爆発して地震が起きるという仕組みだ。」
「圭太さん、下がっていてください。」
「え、」
「こいつはルシファー様と同じ堕天使、それに、悪魔の中でもかなり上位の力を持っています。国家転覆後の地震はこの男のせいなんです!」
冷や汗をかき、呼吸が荒くなりながらもペイモンはそう言った。
この世に人間の思う“神”はいないかもしれない。だが“悪魔”はこうして存在するのだ。
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