第七話 ペイモン暗殺計画
崩壊した異世界に転生した菊池圭太は、崩壊の要因となった人物ペイモンと同居することになった!?犯罪集団クリミナルズに襲われたことで『焔』の能力を開花させた圭太であった。
突然敵に襲われた圭太達だったが、途中最凶の堕天使ルシファーが仲間になったのだった…
ルシファーが家に来てから数日、今までとは一風変わって穏やかな日々が続いていた。(と言うか面倒ごとが起こる前にルシファーが始末しているのである。)
ある日、ペイモンが珍しく家を出た。理由を聞くと、国家を機能させてくると言っていた。お前が言うか。
ペイモンが家を出た瞬間に、二階に上がって暗殺計画をたてた。だがどう考えてもペイモンには隙がない。そんなことを考えている俺に一番隙があったようだ。気づくと背後にはルシファーが立っていた。ルシファーの漢術は、なんと一文字では済まず、二文字であった。その名も『明星』。時間停止と炎を操る能力だ。
『時間停止』の能力で背後に立つルシファーは残念そうに言った。
「何をしているかと思えば…はぁこんなことか。つまらんな。」
冷や汗を拭いて聞いた。
「俺を殺すか…?」
「いや、あくまで俺は中立。別に攻めなどしない。」
「ならペイモンさんを殺してくださいよ!国家崩壊の元凶ですよ!」
そういうとルシファーは前のような真顔になって聞いてきた。
「俺に部下を殺せと言ったのか?」
以前の世界の魔術書にはペイモンはルシファーの忠実な部下と書いてあった。そしてそれはこちらの世界でも十分見ていた。
「す…すいません。少しパニックになっていました。」
「良い良い。それくらい誰にでもあることだ。それにペイモンの国家転覆には俺も思うところはあった。とはいえ殺すのは無理、と言うか断る。」
ルシファーはそう言い切ると、一階に降りていこうとした。だが途中で何かを思い出したかのように止まると、こちらを向いて話し始めた。
「あ、そうそう。ペイモンはな、『グレモリー』という悪魔の女が好きらしいぞ。囮に使いたければ使え。」
「…は!?」
その日は夜も眠れなかった。ペイモンさんの好きな人か…明日どんな人か見に行くのもいいかもしれない。布団に入って数時間経ってようやく寝られた。
次の日、いち早く起きた俺はルシファーに居場所を聞いてグレモリーの家に訪問した。実際には家というより、洋館の方が正しいが家ということにしておく。
玄関から入ると、中は何も見えないほどに暗かった。なので手のひらに切り傷をつけて出した炎で、前に進むことにした。
ひとつずつ部屋を順調に見ていくと、二階にある部屋を見つけた。その部屋には大量のノートやスケッチブックが置いてあった。その中身を見ようとした途端、背後で女が立っていた。
「その中身を見た瞬間、あなたは死ぬでしょう。辞めておきなさい。」
急いでスケッチブックを手放して放り投げた。グレモリーと思われる女は意外にも、声が出るほどの美貌であった。
「あなたがグレモリーさんですか…!」
「ええ、そうよ。もしかしてあなたも財宝のありかを聞きに来たのかしら?」
「財宝?」
「その様子だと違いそうね。そう、私は過去、現在、そして未来を知ることが出来る。そして更には他人が望む財宝のありかを知ることが出来る。そう、私の漢術は『知』。」
「申し訳ないんですが、俺は財宝なんて興味が無い。言ってしまえば今の状況からすればあなたが財宝みたいなものだ。」
「あら、ロマンチスト。私を求める理由をお聞かせ願うわ。」
「ペイモンさんを…殺します。」
「…!」
そう、ここからはペイモン暗殺計画が始動していくことになったのだ。
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