第五話 その天使は天より堕ちてきた。
崩壊した異世界に転生した菊池圭太は、崩壊の要因となった人物ペイモンと同居することになった！？犯罪集団クリミナルズに襲われたことで『焔』の能力を開花させた圭太であった。
力を使い、ペイモンを殺したい圭太だったが心境に変化が起きて…！？
ブエルは自分の弱点、炎に気が付き、俺から常に距離をとって戦い続けた。だが、その行動に気がついたペイモンが追い詰めて挟み撃ちにする形でブエルと戦った。ピンチな状況のようにも思えたブエルだったが、口を開いた。
「俺の事を追い詰めたつもりか？ペイモン…とガキ。『復』の真の能力を見せてやろう。」
そう叫ぶように言うと、ブエルはジャンプしてペイモンに殴りかかった。月欠で串刺しにされるも、何事も無かったかのように剣を引き抜き、ペイモンの背後に回った。
「その程度っ…！」
ペイモンが、体ごと月欠をブンッと半回転させ、背後を向いた。だがブエルはそのまた背後で立っていた。
「どうした？ペイモン。」
攻撃しても背後、そのまた背後へと回り続けた。
「ペイモンさん！こいつ絶対におかしいです！どれだけ動きを見ていても気づくと背後にいる、まるでテレポートみたいだ！」
「フッフッフ…この謎が分からないか？」
「いいや、もう分かりました。」
そう言うとペイモンは月欠を強く握った。するとただの白色だった月欠が赤色に輝き始めた。
「『月欠［紅］』」
「月欠」ではなく「月欠」…！？
ペイモンは右足を大きく前に出して剣を構えた。
「学習してなかったか！！そんな攻撃通用しない！！」
余裕のあるブエルを他所にペイモンは先程までのように背後までブンッと振った。だがやはりブエルは背後にいる。
と思ったがブエルはなにかの手に腕を掴まれていた。
「なっ…なんだコイツッ！！まるでゾンビ！！」
そう、剣からゾンビのような、人間の死体が召喚されていたのだ。
ゾンビから急いで離れたブエルだったがフラッと足元がよろつき、倒れた。
「当然か…死んでから放置された遺体なんて血液や体液、菌なんて計り知れない程増殖している…」
「トドメです…」
月欠でトドメを刺そうとした瞬間、ブエルは剣を自ら掴んで言った。
「『復』。」
覚醒していたかのように赤くなっていた剣は元の白い状態に戻った。
そしてブエルは続けて自分を再生させた。
「いよいよ俺を怒らせたな…！」
地面を蹴り宙に浮くと、俺とペイモンを同時に触った。
「『復』。」
復という漢字の意味…『元の状態に戻す。』
「ペイモンさんッ！！まずい！！元の赤子…いや、親の腹の中にまで戻されますよーッ！！」
その瞬間、世界の時間は止まったようだった。
その天使は天より堕ちてきた。
「私は天に上り王座を神の星より高く据え、神々の集う北の果ての山に座し、雲の頂に登っていと高き者のようになろう。」
黒い翼、長髪、天使のような輪、そして美しい体を囲う炎。
雲を破り、全ての“もの”を浄化し、明るく照らした。ペイモンは思わず口を開いた。
「ルシファー様…」
「久しぶりだな、ペイモン。」
その堕天使の名を人はルシファーという。
この作品が面白いと思ったら是非★やブックマーク、コメントなどお願いします。
また、他の連載作品などもお願いします。
