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第十七話 【堕】

前書きに書くことがない。

「っ……ぅあ……」


ルシファーが、腹の傷の痛みで苦しそうな呻き声を上げながら倒れた。


「っ……ふふふ…傷なんぞつけられたのは久しいぞ……!!!」


激昂したルシファーが翼に炎を纏わせて、突撃してきた。翼を腕のように身軽に使って、攻撃を繰り出してきた。

月欠で攻撃をギリギリで防ぐ。恐らく月欠に込められた魔力で、身体能力も上がっている。それでも埋められない実力差があった。

左から来た翼を振り払って、ルシファーの腹を狙った。そして、月欠で腹を突き刺そうとすると、ルシファーはグルッと体を回転させて、炎を纏うように、回転し続けた。

すると、炎のコマのようにルシファーが突撃してきて、月欠がギリギリと音を立てた。


「刃が……!!」


まずいと思い、防ぐのをやめて後ろに下がった。危なかった。あのまま月欠で防ぎ続けていたら、月欠は真っ二つに折れていた。

刃こぼれが酷い。このままでは、攻撃が当たっても、傷が全くつかない。

そこに追い討ちをかけるように、ルシファーは「これで終わらせよう」と言って上空に飛び立った。


「ペイモン、バエル……全てを終わらせよう。」


そう言うと、ルシファーは空に向けて右腕をかざした。すると、突然地球全体が揺れたかのように、「ゴオオオオオオオオオオオオオオオ」という轟音を立て始めた。そして次の瞬間空を見上げて気がついた。

大雨が降りそうな程に、空を覆い尽くしていた雲が、今はじわじわとルシファーの上だけに寄ってきている。


「まさか……地球すら操るって言うのか……!?」


こんな時に呑気だが、一つ思い出したことがあった。何故かルシファーは『明星』に含まれるもう一つの能力、『時間停止』を使用しない。

圭太が違和感を感じたことに気がついたのか、ルシファーは眉をピクリと動かした。


「今更何に気付こうともう遅い。」


そう言ったと同時に、雲から何か一本の棒状の物が落ちてきて、決まっていたかのようにルシファーの手元にスッと届いた。


「『黒剣 【堕】』。剣士対決といこうじゃないか。」


そう言うとルシファーはさらに翼を広げた。片方に三枚ずつの黒色の翼が広がって、不気味な圧迫感を増した。そして美しい白色だった長髪は、今では黒色に変色して、短いパーマのような髪型になっている。これが堕天使の姿というようにルシファーはニヤリと笑みを浮かべた。

だが、次の瞬間にはルシファーが黒剣を振りかぶって近づいてきていた。

あまりの速さに、新幹線を連想するほどだった。月欠が自動で動いてくれたかのように、反動的に剣を防いだ。だが、黒剣【堕】は、黒い煙のような物を発生させて、月欠に対抗するような形になった。

一瞬の出来事だった。ルシファーの黒剣の黒い煙が一層増した。瞬間、力も規格外のものになり、月欠は()()()()()()()

「カアアアッン」と音を立てて、折れた部分が飛んだ。


「待っているのは絶望だ……」


ルシファーの低い声が耳を刺すようだった。

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