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9 家臣が出来ました

気晴らしに屋敷の中を歩いていた。

庭師らしい男達が二人1組になって“もっこ”で土を運んでいる。

あまりにも効率が悪い。

庭の片隅にある鍛冶場に行って鉄にニッケルとクロムを混ぜた新素材を大量に作った。

新素材で輪と桶、違う太さのパイプを何本か作る。

鉄の輪に干しスライムを張り付けた。

後は組み立て。

うん、出来た。

さっそく試運転。

庭師に使って貰う。

「どうだ?」

「凄いです。軽いし動き易いです。」

二人の庭師が代わる代わる俺の作った1輪車を押しながら庭を走っている。

騒いでいたらアオバが出て来た。

「何ですか?」

驚いた目で1輪車を見ている。

「凄いですよ、軽いし動き易いし、1度に沢山の土が運べます。」

「使わない時は壁にこうやって立てかけておけば邪魔にもならないんです。」

庭師がアオバに実演して見せている。

「これはマヤ様が作ったのですか?」

「そうだよ。土運びが大変そうだから。」

「設計図を書いて下さい。登録しないと盗まれます。」

訳が判らないがアオバの言う事はいつも間違い無い。

詳しい設計図を描いて渡した。


広い屋敷は寒い。

石造りなのでなおさらだ。

作りました悪魔の洞窟。

「何をしているの?」

悪魔の洞窟に体を潜らせ、首だけ出している俺をハグちゃんが不思議そうに眺めている。

「ハグちゃんも足を入れてごらん。」

同級生だけに呼び捨てにはし難くてハグちゃんと呼んでいる。

ハグちゃんがマヤの反対側に足を入れる。

「暖かい~。」

ハグちゃんの目が蕩けた。

「でしょ?」

「二人で何をしているのですか?」

アオバがやって来た。

「「暖まっている。」」

「はあ? 二人とも仕事がある筈ですよ。」

「まあ足を入れてごらんよ。」

アオバが横から足を入れる。

顔がにやけた。

「この忙しい時に何をしてる。」

ルタカに怒られた。

「絶対に売れるから。」

アオバに言われてコタツの設計図と同じ回路を使うドライヤーの設計図を描いた。


「メイドの服を揃えようと思っているのですが、何かご希望はありますか?」

「美味しくな~れ?」

「なんですか?」

「ふと思っただけだから気にしない。うん、こんなデザインはどうかな。」

デザイン画は得意。

さらさらっといくつかのデザインを描く。

「凄いです。でもスカートが短すぎませんか?」

しまった。ネットで見たメイドカフェの服そのままだった。

「うん、スカートはもう少し長い方が良いけど、長すぎると動きにくいから程々かな。」

誤魔化した。

細かい物はこんな袋とか、こんなバッグに入れると動きやすいかも。

ウェストポーチや腰に下げる袋を描いてみる。

ガマグチ風の口金のついたバッグや斜め掛けのポーチも描いてみた。

「この口の所はどうなっているのですか?」

成形魔法で口金部分を作ってあげたら驚いていた。



冬休みが終わり、家臣たちは寮へと戻った。

授業が終わった後は二人ずつが交代で屋敷に泊まり込んでくれる。

貴族への挨拶が1段落したので俺は家臣達の実家に挨拶することにした。

4人とも遠慮して不要と言っていたが、これから俺が世話になる家臣達。

家族にもきちんと挨拶しておきたかった。

“挨拶は大事“、父さんに小さいころから言われていた。


ルタカの実家である男爵家は騎士の家柄なので自作の剣を手土産にした。

「わざわざお越しいただき恐縮です。」

「いえ、ルタカにはこれから家中の取り纏めをして頂きます。これからもルタカに良きアドバイスを頂ければ有難いです。」

「父上、これはマヤ様から父上へのご挨拶で御座います。」

ルタカが男爵に剣を差し出した。

男爵が受け取った剣を抜いて丁寧に検分する。

「ほう、・・・。」

じっと見つめている。

「魔法陣を組み込んでおるのか?」

「強化の魔法陣です。多少は折れにくいと思います。」

男爵が立ち上がり、部屋の隅で剣を振っている。

「良いな。使うのが惜しい、家宝にしよう、鍛冶師の名を聞いても良いか?」

「いえ、私が作った物なので気軽にお使い下さい。折れたらまた作ります。」

「なんと、この剣は貴殿が打ったと申すか? 強化魔法も貴殿が?」

「はい。切れ味を重視するとどうしても硬くなって折れやすいのです。強化魔法を使いましたが私自身に戦いの経験がありませんのでどの程度の効果があるかは不明です。使ってみた感想などをお聞かせいただければ幸いです。」

「・・・。ルタカ、良き主に巡り合ったな。忠誠を尽くせよ。」

「はい。」


アオバの家は商家、家具や魔道具を取り扱っているそうだが両親ともに酒が好きと言うことで、馬丁の合間に厩舎で作った自作の酒を持って行った。3年前のものだから程よく熟成している。

「これは旨い。」

「本当に。」

「どこで手に入れたのですか?」

「自家製です。果樹酒を蒸留してみました。」

「蒸留?」

「熱を加えて蒸発するアルコール分を集めると強い酒になります。」

「なんと。」

それから数時間、蒸留酒の製法を説明させられた。

1輪車とドライヤーはもう生産ライン整って販売が開始され、コタツは来年に向かって試作中らしい。

どちらも商業ギルドに登録してあるので生産許諾料が支払われるそうで、蒸留酒の製法も商業ギルドに登録された。

俺には何のことか良く判らない。アオバにお任せだ。


ハグの家は服飾工房。メイド服のデザインが決まったのでメイド服の発注書を手土産にした。1階は店舗、2階と3階はデザイン工房。

俺がデザインしたバッグやドレスを作っているというので見学した。

ウェストポーチは販売初日に完売で今は予約生産。ガマグチも同様らしい。

忙しい所にメイド服の注文書は迷惑だったかと思ったら、新しいデザインは大歓迎と言われた。サンプルを展示して貴族家から注文が入ればデザイン料が貰えるらしい。

「そうなの?」

「勿論よ。ちゃんとマヤの名前で商業ギルドに登録してあるわ。」

だそうです。


ハルナの家は食堂。

昼時は外して行ったが、数人のお客さんがいた。

皆が甘い物好きと言うので王都で人気の店でクッキーの詰め合わせを買って持って行った。

「そこそこのお客さんはいるのだけど、王都は食堂が多いから競争が激しくて結構大変なの。何か良い料理を知らない?」

異世界料理と言えば定番はハンバーグとマヨネーズ。

マヨネーズは食中毒が心配なのでハンバーグを作ってみた。

「美味い。」

一口食べただけでハルナのお父さんが驚いてくれた。

「チーズを乗せたり、ソースを変えたり、煮込んだり色々出来ます。」

詳しいレシピを書いて渡してあげた。


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