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馬丁爵 我が家はお馬さん優先です  作者: 免独斎頼運
第2章 男どもは・・・
41/48

41 姿絵

読んで下さってありがとうございます。

初投稿の時には誰も読んでくれないかもと思っていたので感謝感激です。

1ヶ月連続投稿迄もう少し。読んで下さる方々のお陰で頑張れます。

これからもストレスフリーで楽しんで頂けることを第一に書き書きしていきます。

どうぞ見捨てずに読んであげて下さい。

冬休みになった。

王都は社交シーズン。

私は王都周辺の警備体制を視察している。

セイちゃんを肩に座らせ、トッキ~に乗って草原を走る。

少し寒くはなったが風が心地よい。

丘の上でお弁当を食べて紅葉を見たり木の実を探したり。

うん、視察は大事。

護衛?

トッキ~には追い付けないから王宮の厩舎で待っている。

社交界に出るのは新年の儀と王宮主催のパーティーだけ。

私がいると陛下がサボる。



あっ、盗賊さんだ。

襲われている馬車に猛ダッシュ。

“ストーンバレット” “ストーンバレット”“ストーンバレット”“ストーンバレット”

走りながら盗賊を狙い撃ち。

“ストーンバレット” “ストーンバレット”“ストーンバレット”“ストーンバレット”

盗賊の中に突っ込んで大槍を振り回した。

「無事ですか?」

「将軍閣下のおかげです。感謝いたします。」

「何故将軍と判った?」

素直な疑問。

「王都で売っている姿絵そのもので御座いますから。」

そんなものを売っているのか?

私は知らんぞ。

肖像権はどうなった。

「姿絵があるのか?」

「王国のほとんどの家には姿絵が飾って御座います。」

それってめっちゃ恥ずかしいじゃん。

「・・さようか、盗賊の始末を頼む。」

動揺を悟られないように顔を背け、マーキングしておいた見張りの男を追った。



王都に向かってトッキ~を走らせている。

めっちゃ機嫌が悪い。

片手に持った紐が空に伸びている。

風船を持った少女?

違う、紐の先には重力魔法で浮かせた盗賊18人。

本拠地を襲って捕縛したのは良いが、盗賊が隠れ家にしていた洞窟の壁に私の姿絵が飾ってあった。

理由を問い詰めると、盗賊避けのお守り。

盗賊はお前らじゃ。


大門で盗賊を引き渡して王宮に戻った。

「私の姿絵を知ってる?」

お茶を淹れてくれた侍女に聞いてみた。

「勿論です。衣装やポーズを変えて毎月新しいのが出るのですよ。私はいつも発売当日に並んで買っています。」

並ぶな。

毎月発売ってなんだ?

「姿絵を買ってどうするの?」

「小さな姿絵を胸に入れておくと、・・」

「胸に入れておくと?」

胸が大きくなるとかか?

「盗賊に襲われないそうです。」

今盗賊を襲って来たところじゃ、ボケ!

私は一体何なんだ?

小さな姿絵って大小色々あるのか?

聞くのはやめた。

諦めて溜まっていた書類を広げて現実逃避した。



冬休みが終わって久しぶりの登校。

「ねえ買った?」

「勿論。」

「すっごく素敵よね。」

教室から声が聞こえてくる。

「おはよう。何の話?」

「勿論姿絵の新作。」

嫌な予感しかしない。

「社交シーズンだから絶対ドレスって思っていたのよ。」

「違ったの?」

「それがね、・・」

間を置くな、スッと言え。

「それが?」

「なんと、・・」

だからスッと言え。

「なんと?」

「制服姿でした!」

「はぁ。」

ため息しか出ない。

「さっそく部屋に飾ったわ。」

毎月出る?

「古いのはどうするんだ?」

「何枚かは飾ってあるけど、汚れてきたら台所に張ってる。」

「台所?」

「火事にならないの。」

姿絵に火がついて火事になりやすいぞ。

「うちでは窓に吊るすわ。」

「窓?」

「虫が入ってこないんですって。」

虫除けかい。

「最後は神殿で燃やすのよ。」

「神殿?」

「綺麗に折りたたんで、精霊神殿にある聖なる火で燃やすと病気にならないの。」

なんのこっちゃ。

「精霊神殿なんて王都にあったの?」

「セイさまが王都にお越しになったから信者たちが建てたのよ。知らないの?」

「初めて聞いた。」

「それは精霊様に失礼よ、ねえセイ様。」

セイちゃんが胸を張って頷いている。

学校とは知らないことを学ぶ場所だと実感した。



短い試験休みに溜まっていた仕事を片付けるとすぐに後期の授業。

授業は楽しいし、休暇のようなものなのでのんびりしている。

「アラレは攻撃魔法をいくつ使える?」

魔法学院の教師は王侯貴族の子弟でも敬称を付けないので好きだ。

「受験用に母から教えて貰ったストーンバレットだけです。」

「ファイアーボールも使えないのか?」

「野営の着火用には使えます。」

「ウィンドカッターは?」

「樹木の伐採用と切株の粉砕用?」

「切株の粉砕? 伐採と粉砕をそこの林でやって見せろ。」

魔法実習なので王都郊外、すぐ横には林があった。

“ウィンドカッター”

3本の木が根元から倒れる。

「無詠唱だと!」

教師が叫んでいるが気にしない。

詠唱は恥ずかしいからするな、がミョウコ家の家訓。

4発で少し広い空間が出来た。

教師が口を開けている。


「倒れた木は製材するのですが、今日は面倒なのでこのまま粉砕します。」

粉砕用の“シュレッター”を発動する。

“ウィンドドラム”

地上に半透明の円筒が現われた

直系1.5m、長さ10m。半透明の風の刃が5㎝間隔で並んでいる。

“発進”

円筒が高速で回転を始め地面に沈み込んでいく。

「おおぅ。」

生徒から声が上がる。」

上部が少し見えるまで沈み込むと前進を始める。

グウオ~ン。

大きな音を立てて切株と倒れた木に向かっていく。

グウオ~ン。

倒れた木が円筒に引きずり込まれて粉塵となって飛び散る。

「すげえ!」

生徒が声を上げた

円筒が通り過ぎた所は細かな土。

切株も切り倒した木も石も粉砕されている。

「これがウィンドカッターをアレンジした粉砕魔法です。森の土は腐葉土をたっぷりと含んでいるので平らにすれば畑に出来ます。」

「・・・・。」


「先生?」

「・・お、おう。あれは何枚くらいの風の刃を使っているんだ?」

「200枚です。」

「1枚1枚操作しているのか?」

「はい、いい加減にするととんでもない方向に飛んで行って怪我人が出ますから。」

「お、おう。・・・これは攻撃魔法ではないのか?」

「違います、防御魔法のウィンドバリアを横や縦に固定して高速回転させただけの開墾魔法です。」

「そ、そうか。ウオーターボールは使えないのか?」

「豪馬に水を上げる時に使います。トッキーは桶から飲むよりも浮かんでいるウオーターボールを飲む方が好きですから。」

「雷魔法も使えたな。」

「あれは麻痺魔法ですから攻撃魔法ではありません。」

「・・・・。」

「先生、攻撃魔法とアカネの魔法はどう違うのですか?」

「・・・・。」

「攻撃魔法は人や魔獣を殺す魔法。私の魔法は人や魔獣を生かす魔法。敵の兵を殺さずに生かして捕まえたから畑や家が増えたのよ。」

先生が絶句していたので私が答えてあげた。


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