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3話 下校



頑張ろう

レビュー、感想よろしく




改めて見ると、日向は可愛い顔をしている。髪は少し長めで身長は150後半。緊張している姿はさながら女の子っぽい。制服のお陰で男子だと分かるほどに。


「そ、そういえばさ、なんで俺の事好きになったの?」


「一目惚れ…と言いますか。そんな感じです。えへへへ。」


日向は制服の裾を両手で握りしめながら言った。その姿で照れているのが分かる。


か、可愛いな。

しかし一目惚れね。まぁ校舎の何処かで俺を見て…てことかな。


「悠馬先輩は普段何してるんですか?」


「俺はバイトとかかな。家だったら読書とかしてるぞ。」


日向は覚えるようにバイトと読書を復唱していた。そこからの会話はスラスラと進んでいった。趣味の話や何の教科が苦手だとか。

日向は聞き上手もあるが話すのも上手い。そして時折見せる仕草が女の子っぽくてドキッとする。

口に手を当てて笑う姿や、冗談を言うと「もぉー」と言って優しくタッチするところとか。


「可愛い。」


不意に出た言葉だった。日向は男なのに可愛いって言われたら傷つくと思い、訂正しようと日向の方を見た。

顔が真っ赤だった。


これは怒ってるなー。男に可愛いなんて失言だったな。


俺は急いで謝ろうとしたが、先に日向の口が開く。


「嬉しい。好きな人に言ってもらえて。」


可愛いっ!

日向の顔が女の子寄りってのもあるが、何より恥ずかしがりながらも喜んでいるところが可愛すぎる。


2人は気恥ずかしさに少し沈黙が続いた。辺りは学校を離れて商店街まで来た。ここは悠馬の行きつけの書店やカフェなど様々なお店がある。


「悠馬先輩、お腹空いてないですか?」


育ち盛りの高校生だ。時間も17時前と夕ご飯の前なのでお腹は空いている。


「お腹空いてるかも」


「じゃあ少し寄り道しますね。」


日向に着いていくと商店街の裏の細道を抜け、そこには小さなクレープ屋さんがあった。

細々とやっているような雰囲気が伝わるが、こういうお店は美味しいと決まっている。

値段は500円くらいと良心的だ。


「ボクは決まりました。悠馬先輩は?」


「俺も決まったよ。俺がお金払うから注文しな?」


「え!悪いですよ。ボクが来たいと思って連れて来たんですから!」


申し訳なさそうな顔をしている日向。でもこちらも楽しい会話をさせてもらったお礼をしたい。それに俺だってこういう場面は、男として格好をつけたいものだ。


「じゃあ今度遊んだ時に奢ってもらおうかな。」


「はい!」


満面の笑みでコチラを見てくる日向にまた可愛いと思ってしまう自分がいた。

俺はチョコクレープ、日向はイチゴクレープを頼んだ。

クレープ屋さんの前にある椅子に座って待っていると、店員さんに呼ばれる。


「一番でお待ちの方!」


日向に「俺が取りに行くよ。」と言いクレープを撮りに行く。

店員さんは若い女性の方でニコニコと注文したクレープを渡してくれた。


「仲良いんですね!」


俺と日向を見て言ったのだろう。まぁ、確かに学校帰りの男子2人がクレープ食べにくるなんて仲良いに決まってる。


「ありがとうございます。」


俺はクレープを持って日向の所に戻る。

クレープを渡すと日向はお礼を言い、クレープを一口食べる。


「美味しいですよ!このイチゴクレープ!悠馬先輩も食べてみてください!」


そうして突き出されるイチゴクレープ。だがこれを食べるという事は、必然的に間接キスになる。日向はそれを知っててやっているのか。

俺が戸惑っているのを不思議に思ったのか、日向はクレープを見る。


「あ…。」


日向は何かに気付いたのか、イチゴクレープを見て顔をあかくする。


おっと?これは間接キスになる事を後から気づいたパターンか。

俺は日向のイチゴクレープをパクッと食べる。

日向は「あ…」と言ってより顔が赤くなる。


「美味しい!俺のも食べるか?」


「い…いただきます。」


日向もパクッと俺のチョコレートクレープを食べる。告白といい、間接キスといい積極的なのか恥ずかしがり屋なのか分からないな。


「チョコレートクレープも美味しいですね。」


2人は仲良く喋りながらクレープを食べていた。

時折クレープを交換しながら、その後完食をした。

クレープ屋さんを後にする2人。


「ボク、こっちです。」


そして指差した先は、俺の家とは別方向に指していた。ここでお別れと言うわけだ。

どこか物足りない気もしたが、それほど有意義だったと言う事だろう。


「そっか。ならバイバイかな?あ、そうだ!今週の日曜日とか予定ある?」


もちろん、遊べるか?と言う意味で聞いた。日向はその意図を理解したのか、わざわざ身体をこちらに向けて話を聞く準備をする。


「いえ、ありません!」


「じゃあその日遊ぼう。」


「はい!喜んで!」


日向は満面の笑みでそう答えた。

別れる際、日向は見えなくなるまで手を振ってくれた。よほど遊ぶ予定ができたのが嬉しかったのだろう。

俺は自分の家へ帰った。






まさかこの時この2人を見てた人がいたとは、悠馬はまだ知らなかった。






わくわく

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[一言] クレープなのかパフェなのか。どっち?
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