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1話 男…だよね?



できるだけ頑張るので温かい目で見てください。

面白ければ(面白くなくても)レビューや感想などお願いします。





高校2年生の春、俺は告白された。


俺は佐藤悠馬サトウユウマ。両親は共働きで兄弟は妹がいる4人家族だ。

なんて事はないそこら辺にいる高校生のはずだった。

いつも通り8時15分に学校に着いて下駄箱のロッカーを開けた時、目に入ったのは真っ白な綺麗な手紙だった。


「へ?」


脳みその処理が少し遅く感じた。

今目の前にある現実をどうにかして理解する。


俺は冷静…俺はこんな事では喜ばない!多分これはあれだ、ロッカーの番号を間違えただけだ。


ゆっくりとロッカーの扉を閉めると、出席番号15番と書かれていた。


15、つまり俺の番号だ。だがまだ喜べないぞ。

『間違え』というものがある。間違って俺のロッカーに手紙を入れてしまったかもしれない!


手紙を手に取り、眺める。

生まれて初めての出来事で胸が高鳴るのを感じる。試しに匂ってみたが、良い匂いでも臭いわけでもなく紙の匂いがした。


「あ、開けるぞ。」


手紙を開けると、綺麗に畳まれた紙が出てくる。生唾を飲み込むと、焦りながらも破れないようにそっと紙を開く。


『佐藤 悠馬さんへ。放課後体育館裏に来てください。伝えたい事があります。』


そこには自分の名前が書かれた正真正銘、自分宛の手紙だった。

しかし、ラブレターとはまだ言い切れない内容であった。しかも誰からとは書かれていない。

とりあえず気持ちを落ち着けさせ、手紙をカバンに入れると教室にあがった。


「え?手紙?」


「そう!俺の下駄箱にはいってたんだよ。」


今朝の事を友達である神木蓮カミキレンに話した。そしてラブレター(仮)を蓮に見せる。


「多分告白…だろうな。てかこれ誰からか書いてないじゃん!」


手紙をヒラヒラさせて大きな声で言う蓮。


「バカ!大きな声で言うな!もしかしたらこのクラスにいるかもしれないんだぞ!」


「あぁ。それもそうか。それよりさ!誰だと思う?」


ニヤニヤしながら言ってくる。つられて俺もニヤニヤしてクラスの女の子を見る。

学年で一番可愛いと言われてる加藤芽実カトウメイミちゃんとかかな。それとも陰キャにも優しいギャル松田桜マツダサクラさんとか?


「お前なぁ…女の子見てニヤニヤするなよ。」


「う、うるさいな!しょうがないだろ!誰からか分からない分、期待値が高くなるんだから。」


キーンコーンカーンコーン


学校のチャイムが鳴る。

蓮は自分の席に戻っていった。

授業中、先生の話は左から右に流れていった。

普段も勉強は苦手で手一杯だが、今日に限っては完全に集中できなかった。


「大丈夫?全然授業に集中できてなかったみたいだけど?」


昼休憩になった時に隣の席に座っている女の子、山田美桜ヤマダミオが俺を心配する。

俺の席は窓際だった為、授業中に外を眺めながら放課後のことを考えていたのを美桜は見ていたらしい。


「いや、いろいろあってさ。でも大丈夫!」


「本当に?何かあったらさ…私に言ってよ?」


美桜が心配そうに言ってくる。俺は「分かったよ」と言って昼ご飯を食べた。

午後の授業が始まってからはより一層集中力がなくなっていた。

いつもは時計をチラチラ見ても進まないくせに、今日に限っては見るたびに放課後に近づいていった。


そして時間は経ち、放課後が来てしまった。


「悠馬!放課後になったぞ!早く行ってこいよ!」


友人である蓮は俺よりワクワクした様子だった。俺は一日中ラブレターを書いた人のことを考えて疲れた。


「まぁ、そうだな。そろそろ行かないとな。っと、お前は着いてくるなよ?」


「分かってるよ!そこまで俺は野暮じゃない!」


流石の蓮でも線引きはできてるらしい。

俺は席から立ち上がると、ドキドキする心臓を感じながらゆっくりと教室を出ていった。

一階まで降りると、外ではサッカー部や野球部達は部活の練習をしようとしていた。

俺は帰宅部なのでこの後用事はない。バイトはしているが、たまたま今日はシフトが入ってなかった。


靴を履き替え、体育館裏まで歩く。

目的地に近づくにつれ、心拍数は高くなっていく。体育館の入り口を過ぎ、目の前の角を曲がれば体育館裏に出る。

角まで近づき、少し勢いをつけて一歩を踏み出すと、まだ誰もいなかった。


「先に着いちゃったか。」


2〜3分経った頃だろうか、少し遠くの方から男子生徒が来る。かなり身長は低く、髪は長め。顔は知らないがおそらく下級生の子だろう。


あー。まずいな。流石に体育館裏で突っ立てるのは変人だな。


そう思いポケットからスマホを取り出し、何か用事があるように見せかける。どんどん近づいてくる男子生徒を見てみぬふりをしようとしたが、目の前で止まった。


「あ、あの!佐藤先輩…」


「え?あ、はい!」


男!?これはあれだな…噓告ってやつだったかぁ〜。


心の中は『残念』と言う気持ちでいっぱいだった。


どんな可愛い子が来るかと思ったら男が来たんだ。そりゃあショックを受けるよ。

でも、この男子生徒可愛いな。


顔は明らかに女の子の顔で、髪はボブみたいな感じ。身長は低く、まるで女子生徒がズボンを履いてるみたいだ。


「あ、あの…」


「どうした?」


はいはい。噓告でした!ってオチだろ。早く言ってくれ。


『ずっと前から好きでした!付き合ってください!』


「え…?えぇ…」


お、男…だよね?


右手に持っていたスマホはスルリと手から滑り落ち、地面にバタッと落ちていった。



ワクワク

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