episode8〜ノゥリアの姿〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
ロキを王宮に連れて来たカヌア達。
昨日、王宮地下の閉ざされていた扉を開けた。
その地下通路の中へと、再び入って行く一行。
この通路の件は、あまり公には出来ないため、知る者は限られていた。
今回は、カヌアとウィルはもちろんのこと、その従者である、カブラ、ヴァスカ、ワイムのメンバーである。
それと重要人物であるロキ。
念の為、扉の入り口には二、三人程の従者を見張りに付かせている。
以前と同様に、灯りを持ったワイムが先頭に立っていた。
一番後ろには、同じく灯りを手に持つヴァスカがいた。
そのまま真っ直ぐな道を少しずつ進む。
「トゥバンの遺跡までの地下通路と少し似ていますが、この通路は下り坂になってるようですね。お気を付け下さい」
ワイムがそう言うと、カヌアはあの時のことを思い出していた。
(何だろ… この若干デジャヴ感… あっ!)
「ウィル? 昨日見たような動く光はいないけど、もしかしてこの通路の壁面も、蓄光石で出来ているんじゃない?」
「その可能性はあるな。灯りを消せ」
ウィルのその言葉に従い、従者達は手元の灯りを消した。
しかし、辺りは真っ暗のままであった。
「うーん、そう簡単には繋がらないか… 」
カヌアが唸っていると、ウィルが口を開いた。
「ここの壁は蓄光石ではなさそうだな… しかし、違う何かでこの道を照らして居たと言う事は間違いなさそうだな。昨日のあの動く光の正体がわかれば… あれはまるで生きているようだった」
(生きてる… 石? いや、絶対石じゃないよな。あれはまるで… )
カヌアが何か考えを浮かべようとしたその時、ウィルが促した。
「とりあえず先へ進もう」
その言葉に一行は、先へと歩みを進めた。
通路は、ワイムの言う通り少し坂になっていた。
トゥバンの遺跡へと続く例の道と同様、この道も地下街までは長い道のり…
かと思えば、意外とあっさりと着いた。
そこは以前来た事のある場所であった。
ノゥリアとタラゼドの家である。
王宮の扉から直通していたのだ。
「これで行き来しやすくなったな」
ウィルがそう呟く。
(地下街へ続く近道… こんなすぐ着くなんて… あの苦労は何だったのかしら? 本当に王族の為の道って感じね)
カヌアは過去を思い出していた。
ロキを地下へ連れてくれば、何か思い出すのではないかと思っていた。
そう、それは ‘匂い’ だ。
しかし、その前にロキはこの光景を見たことがあった。
もちろん匂いも感じていたのではないか。
だが、その前に衝撃的な視覚から入る情報の方が、先に彼の脳へと流れ込んだのだ。
それは壁一面の赤い色だった。
以前ウィルが夢で見た赤い壁。
そこから連れ出されたロキの記憶。
脳裏から掬い出されるあの時の記憶。
カヌアはふとロキの顔を見た。
顔色が悪くなっている。
「ロキッ!? ねぇ! 大丈… っ!?」
その声かけと共に、ロキの息は荒いまま倒れ込んだ。
そのままロキを抱えるワイム。
その騒ぎに奥にいたノゥリアとタラゼドが驚き、駆け寄って来た。
「これはっ! カヌア殿!? この少年は一体… !?」
「タラゼドさん! いきなり来てごめんなさいっ! でも、ロキが! ここに来た途端、倒れ込んでしまったんです! すみませんが、どこか横になれる所を… 」
「カヌアさん! こっちへ!」
そう言うのは、ノゥリアであった。
そう、今回の目的である人物の二人目である。
案内されたベッドに、ロキを寝かせて休ませた。
その間ウィルは、ノゥリアとタラゼドにここに来た訳を話した。
ノゥリアは驚きのあまり声が出ず、口を手で覆ったまま、目を見開いていた。
カヌアは今度こそ、タラゼドの心臓が止まったのではないかと心配し、その呼吸を確認しようと目を向けた。
しかし、タラゼドは性格なのか、歳のせいなのかノゥリア程驚いてはいる様には見えなかった。
「タラゼド? 妙に落ち着いているな? 其方、何か知ってるのか?」
ウィルが勘づく様に問いかける。
「いえ… まさか… ノゥリアが他種族の生き残りだとは、初耳にございます。それは、誠の事なのでしょうか?」
「… あぁ。しかし、その姿を確認する術が… タラゼド、以前、其方は申しておったな? この国の… アルデリアの初代女王が前王へと立ち向かう際に、賛同したある種族が居ると…その種族も滅びゆく運命だと…」
「その通りでございます。さすが殿下、よく覚えてらっしゃいましたね。わたくしめが、記憶しておりますその種族とは、この地下街を護る為に、存在しておりました。しかし… 何かが起こり、ここに留まれなくなった… しかしながら、その種族が何だったのかは、存じておりません。御力になれなく、申し訳ございません」
(留まれなくなった? 何があったんだろ? ん? て事は、地下に住んでいた種族は、シレーヌ族ではない? まぁそうか、人魚さんだもんな)
カヌアがそう思っている中、ウィルはタラゼドに言った。
「そうか… 仕方がない。些細な事でも何でもいい。後に何か思い出したら、知らせてくれ」
「御意」
そう言いながら、タラゼドはノゥリアの方に目を向けた。
ノゥリアは言葉も出ず、まだ顔が硬直していた。
無理もない。
今まで人間だと思っていたこの身が、まさか人魚の種族だったなんて思いもしなかったであろう。
そんなノゥリアがやっと口を開けたのは、カヌアが優しくその手を握ったからだった。
少し落ち着いたノゥリア。
「そんな… 私、お魚感全然ないですよ? 地上では目が少し見えにくいだけで… でもそれはずっと地下で暮らしていたせいかとばかり… 」
「そうか… どうやって確かめるか」
「… あれ? そういえばヴァスカは、何故ノゥリアがシレーヌ族の生き残りってわかったの?」
「それは、髪の色です。それと、その視力。視力の方が確信がありませんでしたが… 明るさで色が変わるのはシレーヌ族の特徴です。しかし、まだ実際には確認出来てませんね… 」
(だからそれが何でわかったのかを… 言えない訳があるのか… ?)
何か確かめる術がないかと模索する一行。
すると、カヌアは人魚のその姿を思い浮かべた。
「塩水… 」
「え?」
ノゥリアはカヌアが発したその言葉に、反応を示した。
「ノゥリア、塩水に触れたことは?」
「えぇと、ありますけど… 」
「何も変化は無かった?」
「はい… 何も」
「触れた部分は手とか?」
「そうですね… お料理する時とかに」
「なら、脚にかけてみたら?」
「脚… そうか… 人魚は空想上だと、上半身は人間に近いが、下半身は尾びれのある魚のような姿だもんな?」
カヌアがウィルの言葉に頷く。
「もしかしたら、脚なら塩水に反応するかも」
そうして、ノゥリアは塩水を用意しに奥の部屋へと入って行った。
それを持って皆がいる場所へと戻って来たノゥリア。
ノゥリアは塩水をかけようと脚を捲り上げ…
そうになった。
しかし、カヌアはすかさずそれを止めたのだ。
「あっ! ちょ、ノゥリアッ! ここでないところでやろうか?」
ノゥリアが首を傾げて、不思議に思いながらも、素直に頷いた。
ロキの顔が赤い。
(いくら暗いからといって、男性陣の前で脚をあらわにさせる事は出来ないわ。この子、意外と無知ね)
主人公は成長していた。
以前のカヌアも同じようなもんだったであろう。
カヌアはそう思い、浴室の方へと案内してもらった。
その場にはカヌアとノゥリアしかいない。
「さぁ! やってみよう! 気分が悪くなったりしたらすぐ言うのよ?」
「はい… なんだかドキドキしますね!」
そして、その塩水をノゥリアの脚にゆっくりとかけた。
薄暗くて見えにくいが、それでもわかる。
その脚はみるみるうちに、鱗のような模様がくっきりと浮き出ていた。
(やっぱり… )
カヌアはそう思いながら、ノゥリアの顔を覗く。
彼女の顔は驚いてはいたが、不思議と心地良さそうな顔をしていた。
「何だか… 穏やかな気持ちになります。今すぐにでも泳ぎたいような… なぁんて、ふふふふふ」
ノゥリアのその言葉に、カヌアも笑みを浮かべる。
(良かった…自分が人魚族とわかって、ショックを受けたりしたらどうしようかと思っちゃった)
「ノゥリア… それで、これから大切な話があるの… 」
ノゥリアは何かを悟ったように頷いた。
その脚を拭き取ると、二人はウィル達の元へと戻った。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。
また、心ばかりの評価などして頂けると、励みになります。何卒よろしくお願いします。




