episode7〜小さきお見送り〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
そうして翌日、リヴール家へと赴いたカヌア達。
昨夜のうちに、ロキをある所へと連れ出すことは父や兄達には伝えていた。
リヴール家の人々は、母アメリ以外はこの王宮にて任を得ているので、既に知らせが来ていた。
屋敷に行く途中、ウィルはカヌアに気になっていたことを聞いた。
「カヌア、何故あの二人に教えるのを少し躊躇ったんだ? ロキとノゥリアがその種族の生き残りであることに対して、何か考えることでもあったのか?」
「あ、ううん… ただ単に私の考え過ぎだったみたい。二人がその種族だって聞いたら、本人達に何か重いモノを背負わせてしまうんじゃないかって… そう思ったの。それに私達から離れて行ってしまうって… 違う種族だからって… そんな事ないのに… 心のどこかで少し不安で」
その言葉を聞いて、ウィルは優しくカヌアの手を握った。
「そんな事… 」
「そうっ! そんな事ないのに! それは彼らが決める事だし、だからって今までの関わってきた人達を無下にするような事はしないってヴァスカが! 本当その通りよね? ウィ… ん? ウィル?」
ウィルのその優しく握る手は、妬きの手に変わっていた。
「… ヴァスカが? ヴァスカには? 話してたのか? 先に?」
「ん? あ… ええと、いち他種族の代表として? ちょろぉっと、意見を聞いただけよ? ねっ?」
ウィルはそっぽを向いて、遠くを見つめ始めた。
「ウィル? ウィル? … ウィ! ル!?」
カヌアはその名を呼ぶと共に、ウィルの顔を両手で無理矢理自身の方へと向かせた。
そしてキスしようと唇を持っていき、寸前で止めた。
その状態で言葉を放つカヌア。
「ねぇ… これ以上無視するなら一生このままよ? 一生キスしてやんない。ヤキモチなら大いに歓迎。でも無視されるのはすごく嫌。どうする? このまま無視し続ける? それとも… 」
その瞬間、二人の唇は熱く重なった。
(息が… 出来ないっ)
やっと唇が離れた。
「嫌だ! カヌアと一生出来ないとか耐えられない! … すまない… もうしない、無視はしない」
子犬のように従順に見えるその姿は、カヌアの思いのままだ。
以前のウィルには、到底考えられない姿であろう。
「ふふふ。約束よ? ウィル殿下」
と言って、カヌアはウィルの鼻先を軽く小突いた。
顔を真っ赤にしながら、ウィルの手は優しい手に戻った。
(それにしても、ウィルったらこんなに独占欲強かったっけ?)
そう思いながらいると、遠くの方にリヴール家の屋敷が見えてきた。
屋敷に着くと、既にロキが家の者と共に、玄関の前で待っていた。
「ロキッ! 元気だった!?」
と言いながら、カヌアはロキを抱きしめる。
いつもの挨拶とは違うと思い、ロキは非常に動揺した。
「… ッカ! カヌア様!?」
それを見ていたウィルは冷静に思った。
(今日だけは勘弁してやろう… 今日だけは… )
と言いながらも、その手は二人を引き剥がしていた。
「ウィル殿下、少しの間ですがよろしくお願い致します」
ロキはウィルに挨拶をした。
その言葉の通り、しばらくの間、ロキにも種族探しに協力をしてもらうことになったのだ。
しかし、この事はリヴール家の当主しか知らされていない。
もう少し真実が確実になったところで、情報を公表していくようだ。
カヌアはロキの浮かない表情と、悲しい顔をするそのフラフィーを気にかけた。
「荷物はこれだけ?」
「あ、はい… 」
「あの… ロキ? ロザリーには挨拶して来たのよね?」
「えと… それが… 言ったは言ったのですが、うまく言えなくてですね… 」
「えっ!? ちょっ… なんて言ったの!?」
「少しの間会えなくなるって… 理由はと聞かれて、僕、うまく言えなくて、黙っていたら、ロザリーがその場からいなくなって… 」
(あちゃぁぁぁ… こりゃ… )
「ごめん! 今から私がっ… 」
とカヌアが焦ってロキの腕を取ろうとした時、ウィルが目線を変えて言った。
「その必要はないみたいだぞ? ほら… 」
その先には、とても悲しい表情のロザリーが、近くの木に隠れて立っていた。
彼女を見つけた瞬間、すぐさまロキはその方へと駆け出した。
カヌアも追いかけて行こうとしたが、ウィルがそれを止めた。
(歯がゆい歯がゆい… でも… 確かにここは私の出る幕じゃないわね… さすがウィル… こう言う時はちゃんと大人だわ… )
遠くで二人の様子を見ていたカヌア達。
ロザリーは涙を溢しながら、ロキに抱きついた。
優しく受け止めるロキ。
そしてそれをドキドキしながら、見つめるカヌア。
(キ、キスするのかしら? そんな事したら一発で女は落ちるわ… ここでキスよ! キスッロキ!)
しかし二人は何か話すと笑顔で挨拶し、その場を後にした。
遠くでカヌア達にも手を振るロザリー。
二人はまだ十程の歳。
ちゃんと健全であった。
「まだ早いか… 」
カヌアの漏らした言葉に、ウィルが反応する。
「ん? 何がだ?」
「あ… いえ… 」
(そうだった… 私もこの人とキスしたのだって、つい最近… )
そうして一行は再び王宮へと戻り、地下街へと足を踏み出すのだった。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
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