episode6〜もう一人の王女〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
翌朝、早々と決意表明をしに、カヌア達は陛下の元へと向かった。
そして、国王陛下は快く、二人の決意を承諾してくれたのだ。
少し心配のフラフィーが、垣間見えたが、それは有り難く心の中で留めておいた。
それから王座の間を後にした三人は、早速地下街への扉を開きに足を運んでいた。
その三つが合わさった鍵を、手に持つウィル。
「開けるぞ?」
カヌアとヴァスカが頷く。
すると、予想通りその鍵で扉が開いたのだ。
「開いたっ!」
カヌアが嬉しそうな声で言う。
ウィルが、その手で扉をゆっくりと開けた。
その瞬間、身体中の肌がざわりとするのがわかった。
目の前の光景は、壁一面に無数の星があると錯覚するほどであった。
カヌア達は一度、それを見たことがある。
サラの家にある小熊の置物の地下から、トゥバンの遺跡へと繋がる地下道で見た光景を、思い出したのだ。
「こ、これは… あの時の… 」
カヌアがそう声を漏らすと、ウィルは神妙な面持ちで口を開いた。
「いや… あの時とは何か…違うっ! これは… 石じゃない! 何だ… ?」
ウィルが息を潜めて、ソレを凝視する。
その石と思われていたモノは、一斉に通路の先の方へと流れるように捌けて行ったのだ。
そう、石が自ら動いたかように。
そして通路は、瞬く間に真っ暗闇へとなった。
「え? ウィル… 今のって? あの地下にあった蓄光石じゃ… ない?」
「あぁ、何だあの違和感は… 全く別の物みたいだったな… 動いていたよな?」
カヌアは頷いた。
(あれはもしかして… しかし確信が持てない… )
そう思うヴァスカは、その考えを飲み込んだ。
「とりあえず今追いかけても、あの素早さじゃ捕まえて確認するのは困難だろう」
ウィルのその言葉に、カヌアは頷いて言う。
「そうね、この地下への扉が、この鍵で開く事が確認出来て良かったわ。てことで、私は今からロキを迎えに行こうと思う。ロキにもこの地下へと来てもらった方がいいと思うから。そしてノゥリアと共に、種族の説明をするわ」
「そうだな。俺も行く」
そうしてカヌア達は、一度王宮内である地上へと戻り、作戦を練ることにした。
その後は、人払いをして部屋にはカヌアとウィル、そしてヴァスカの三人だけとなった。
「ヴァスカ… この間、陛下に言っていたな。俺達の力と問われた時に、お前は ‘真意を見抜く力‘ と… そしてその力が悪用されれば、世界の破滅へと繋がると」
「はい。左様でございますが… 」
「確かにそれは事実だ。実際にフラフィーを介して視えているからな。しかし、それだけではないな? 三者にはそれぞれの役割がある。それが全て揃った時…世界をも揺るがす力になる。俺はハルスで、カヌアはラジェット、そしてお前はスラー… お前には創造する力がある。
文献通りだと確か…
この世界 この三者に有り
この国に不随するモノ すべてはこの三者に有り
その光 放つのも消すのも この三者次第
左目に宿し光 翠緑を示す
その根源はラジェット
回復 完全 修復
右目に宿し光 橙を示す
その根源はスラー
直観 認識 創造
その二つの光はハルスから産まれ ハルスへと戻る
その忠誠は永遠と受け継がれる
分離と調和
静止と循環
完全と回転
月と太陽
知能は戦いのはじまり それは左に宿う
始まりもなければ終わりもない それは右に宿う
とな… まぁ一部抜粋に過ぎないが… 」
(え、文献通り過ぎてコワイ… 何でこんなに記憶力があるんだ? 恐るべし)
カヌアは未来の旦那の脳内が、どうなっているのか身震いした。
「これに関して何か知っているな? 何故… 言わなかった?」
「それは… 」
ヴァスカは少し口を噤む。
(ヴァスカ? なんかあるのか… ?)
しかし、ウィルは続ける。
「レグが襲われた時、カヌアを気絶させたな? その時お前は言った。俺の… ハルスの側にいれば大丈夫だと。それに扉が開いたせいだとも言ったな? あれはどう言う意味だ?」
「はい… 確かに申しました。ウィル様の事はもちろんのこと、カヌア様の事も以前から存じておりました。そして、お二人がその力の眼を持ち合わせている事も… しかし、これが他の者に知られると、悪用される… もしくは… 」
「殺められる可能性があったと?」
「はい。その通りでございます。お二人を危険に晒す訳には行きませんでした。それに、ラジェットであるカヌア様は、ハルスの派生なので、ウィル様のお側に居れば加護が働くのではないかと、そう考えたのです」
(ん? 何だろ… ? 違和感が… 何故、私達が眼の持ち主って知ってたの? どうやって? それに… 私達が出会ったのは幼少期… 何故そんな前から?)
「そうか… では、扉が開いたせいとはどう言う事だ?」
「はい。地下室の扉です」
「あぁ、確か数ヶ月前に起こった地震によって、地下への扉… と言えるのか、その入り口が一度全て開いたと、タラゼドが言ってたな。その事か?」
「タラゼド殿? ですか?」
「地下にある街を治めている長老だ」
「なるほど… そうでしたね。一度お二人は、地下へと赴いておられてましたね」
(俺は二回だがな)
ウィルはそう思いながらも頷く。
「地下への道を一斉に開いたのは、おそらく…白の女神…いや、光の女神と言った方がわかりやすいですかね」
「光の女神……んっ!? それってもしかしてっ… 初代女王プレヌリュヌ様の… !?」
カヌアは驚き声を上げた。
「左様でございます。しかし、プレヌリュヌ女王はご存知の通り、既にこの世には居られません。その力を持っている方がその扉を開… 」
「えっ!? でもそれって、おかしくない!? だってその力を持つのは、代々王族であるルネ家が継がれるものなんじゃ… 」
そう言いながらカヌアは、ウィルの方を見た。
ウィルは少し怪訝な顔をしていた。
「ウィル… ?」
「カヌア… わかっているとは思うが、ルネ家は俺だけではない」
「っ… !! てことは… エウネ様かニーナ様がっ!?」
「エウネ姉さんや、ニーナの可能性ももちろんあるが… もう一人… いる。第二王女のライアだ」
(初登場っ! 第二王女!!)
そう、このアルデリア王国には第一王子であるウィルの上に、二人の王女がいる。
そして、ウィルの妹君に当たるのが、カヌアと仲の良い第三王女ニーナである。
第一王女エウネとは、ウィルとカヌアとの間柄を心配して色々とお節… 仲を取り持ってくれたお方である。
そのエウネ様の下、つまりウィルとの間にもう一人王女がいるのだ。
その名も、ライア・ルネ・アルデリアである。
「そのライア様が、光の女神の名を受け継いでるという事?」
「… わからないが… 可能性はある」
「可能性?」
「あぁ、王女の中では一番可能性が高い。第二王女は幼い頃から他の王族と何か違った。異彩… とでも言うのか… 」
(あれ? 思い出した! もしかして… あの時… ニーナ王女を助けたお茶会の後、お呼ばれした食事会で… 王女様達の並びにいた方? でもそんな風には全然見えなかった… ような… ?)
カヌアが考え事をしながら唸っていると、ウィルが声をかけた。
「カヌア… おそらくまだ会ったことがなかったな? 今度挨拶を… と言いたいところだが、俺も中々会話を交わした事がなくてな。だが、いつか必ず紹介の場を設けるから安心しろ」
「あ、うんっ! ありがとう」
(あの時、ウィルは風邪引いちゃっていなかったから、あれが第二王女だったのか、今度お兄様にでも聞こう)
「光の女神の力をお持ちになられているのが誰なのかは、まだ定かではありませんが、その地下への扉が開いた際に、光の女神の力が本格的に開花しました。更には、お二人の力が民に触れたことにより、一度真の眼へと戻りました」
「民に? … 触れた?」
ウィルが呟くと、続けてカヌアも思い出すように口を開いた。
「真の眼に戻った… ? あっ! あれか! 街の人達が異常な行動をしている時に、意識がぶっ飛んで、謎の言葉を発したと思ったら、皆がその行動を止めたわよね!? その… あ、穴を… ウグッ… 」
カヌアは言葉を止めた。
今は自分の意思だ。
「確かに、あの時か… 自覚はなかったが」
二人は色々と思い出したが、ウィルが話を戻した。
「それよりもヴァスカ、何故もっと早く三者の眼の力の事を申し出なかった?」
「他種族の件をはっきりしてから申し出ようと… しかし思った以上に生存確認に時間を要してしまい… その前にお二人の力が開花し… 特にカヌア様に至っては早い段階で、少し暴走を… 」
(少し… ?)
少しではない。
ヴァスカはウィルの御前なので、言葉を抑えているだけだ。
以前、レグの友達のラクレが暴走した際、そのきっかけの男に怒り、首を刎ねようとしたあの出来事だ。
我を忘れたカヌアを止めたのが、青緑色の大きな帽子を被ったヴァスカであった。
この時はまだ、怪しいアザの男としか認識がなかったのだが。
「そうか… わかった」
そう一言放つと、ウィルはヴァスカの元へと静かに歩み寄った。
「ヴァスカ… やはり… 俺ら以外の第三者には、知られたくない何かがあったから、陛下の御前では言えなかったんだな? 他にもまだ… いや、いい。長年、一人で抱え込んでたんだな… すまなかったな」
「え… ? い、いえ! そんな!」
「いや、これほどの事を内に秘め、更には俺達の援護をしながらだったんだ。苦労をかけた。これからは三人… いや、他の種族達とも力を合わせていけるな」
その重く優しい言葉に、ヴァスカは深く頭を下げる事でしか、感謝の意を表すことが出来なかった。
彼はそれに応える程の言葉が出なかったのだ。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。
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