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episode46〜いろんな愛〜

初連載の二部幕、開始しました!

お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。


初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。

一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。

毎日の更新を心掛けております。


翌朝、カヌアはある事を思い出し、ヴァスカと共にロキの元へと足を運んでいた。


そこにはフレールと共に、木の実を採っている仲睦まじい姿があった。

その近くには座りながら、二人を見守る兄アディも居た。


カヌアはそのニタニタを隠しきれない表情を向けながら、子犬達へと近づく。


「ロキ、フレールおはよう! 何をしているの?」


「あ! カヌア様おはようございます! 月華の実ですよ! ほら、この間の月華糖」


「あぁ、あれか! 結構実ってるんだねぇ」


そう言いながら、カヌアは一口、その採れたばかりの月華糖を口に運んだ。


その手を軽くパシリと制止するように、ロキが叩く。


「つまみ食いはダメですよ」


「相変わらず手厳しいわね」


(怒った顔も可愛いけど)


「ウィル様達は一緒じゃないんですか?」


「あ、うん。少しアンセクト達と話したいって」


「カヌアはこんな朝早くどうしたの? 昨日の事? 何か聞きに来た?」


そう言うのは、朝からその太陽にも挨拶するかのように、金色の髪を輝かせるフレールであった。


「ま、眩しいっ… 」


「え?」


更には、フレールがあまりにもキラキラの可愛い顔を向けて言うものだから、カヌアはその欲望を直球に投げた。


「二人とも、その前に… 抱きしめていいっ!? んぎゅー」


「ちょっ! きょ、許可取る前に、もう抱きしめてるじゃないですかっ!」


「や、やめてよ! 恥ずかしい! 離しっ… て!」


二人の獲物は、その猛獣の腕を引き剥がそうとしたが、その欲望にまみれた腕力には到底敵わなかった。


「嫌よぉー至福至福ー可愛い過ぎるのが悪いのよーふふふふふ」


「力強いですって! それに、僕達もうそんな子供じゃないんですからっ!」


「ちょっと! お兄ちゃん! 見てないで助けてっ」


(え? あの腕を剥がすのか? それは簡単だが、俺にだって怖いものは… ある)


ヴァスカはそれが怖いので、手を出さないでいた。

しかし、その重い腰は弟達の為を思い、ゆっくりとあげることにした。


腕力だけで無理矢理は引き剥がそうとすると、二人をも被害に遭いそうなので、カヌアの腰に両手を当て、そのまま上方にヒョイっとカヌアの身ごと天高く持ち上げた。


すると、一瞬でその身は二人の子犬達を手放した。

もはや、どちらが狼かわからない。


「おっ、降ろして! アディ!」


「何言ってるんだ? 離せと言われて、離してあげない奴の言う事を聞けるか?」


「チッ! じゃあ自分で降りる」


「え?」


カヌアは両足をアディの首元に回し、そのまま逆さに一回転すると地面へと降り立った。


「… はぁ… 猿かお前は」


「あんたに言われたくないっ! 女子の身体を何だと思ってるのよ!」


(どの口が言ってるんだ… )


「ふぅ… で、何故ロキは… ルー族は、色んな言語も文字もわかるの?」


「何事もなかったかのように、話題に入るのやめろよ」


アディが呆れたように言う。


「え? で、何か心当たりはある? ロキ?」


ロキはその変わりない笑顔に、少し後退りをする。

アディの後ろには、イケナイモノから解放された直後の、怯えるフレールの姿があった。


(無視かよ… こいつのこの悪い癖、どうにかならねぇのか?)


「うーん、何だろ? これかっていう、確実な事はないんですけど、昔ある人に読み聞かせしてもらった気がするんです。それが色んな言葉だったのか、同じ言語だったのかは、分からないんですけど… でも、何だかわかるんですよね… 色んな言葉が… 」


「え? … 本当にそうだとしたら… 何でも知っている能力… ?」


(色々な言葉を知っている… 確かに前から色々と知っていた気がする… ような? 神… カミ)


カヌアが、定まらない目をしながら自身の髪の毛を嗅ぎ始めた。


(あ… 始まった… あの行動… 分かりやすいんだよな)

(カヌア様、また余計なこと考えてるな… )

(絶対違う… 絶対)

(カヌア… コワイ)


「それなら辻褄が合う… だって全知全能… 」


カヌアは心の声が、途中から漏れ出しているのに気が付いていなかった。


「ルー族… オオカミ… 」


(止まった?)

(え… 嘘だろ… )

(ま、まさか… )

(ん? 何だろ?)


「大… 神っ!! なんて事なの!」


(そんなこったろうと思った… )

(くだらない…まぁここは…)

(はぁ… やっぱり)

(ん?)


アディはイタズラに笑うと、その悪い口を開いた。


「あぁ、その通りだ」


(((え?)))


ヴァスカや子犬達が、そんなはずはという様な顔をしながらその行末を見ていた。

しかし、カヌアはその言葉に全力で絶叫した。


「ギャァァァァア! ビンゴッ! 嘘でしょ!? 怖い! 自分がこわいぃぃっ!」


「嘘だ… それはあり得ないに決まっている。ふっ、考えればわかる事だろ?」


「嘘かよっ!」


カヌアは地へと叩き落とされた気分で、この世のモノとは思えない顔をしていた。


「返して… この時間と私の心臓返して… 」


「え? 何か言ったか? カヌア? ふふ」


ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべるアディ。

それに対し、カヌアのその目つきは闇を抱えていた。


そう黒い心そのものである。


「だってあり得ないだろ… ふふ… 」


(馬鹿にしてるのかっ… )


カヌアは睨むのをやめない。


「本当に違うの?」


「あぁ」


(てかダジャレとかビンゴとか… 何語だよ… ふふ… わけわかんねぇ)


「どう考えても違うだろ」


「えぇ! でも本当にそうだとしたらロキは… 」


「お前… 昨日の話、もう忘れたのか?」


「ワスレタ」


カヌアは急に目から正気を抜いた。


(こいつ… たまにもんのすごく殴りたくなるな… )


アディは目を瞑りながらその拳を震わせていた。


(こんなにも感情を乱されるのは初めてだ… )


仕方がないのだ。

何故なら、カヌアの頭の中は、昨日から既に飽和状態極まりなかったのである。

何を聞いたのか耳にすれば思い出すが、会話の中とそれがうまく繋がらない。

これ以上何かを入れればその分、何かが溢れ落ちる。

そんな状態である。


「絶対神である全知全能の神はゼアリウス、彼一人しかいない」


(あれ? 一人しかいないなんて言ってたっけ?)


言っていた。

たった一人の絶対神であると。


「ロキは幼い頃に誰かに教え込まれた、もしくは日々聞いているうちに色んな言語を覚え、それで知っていたのだろう」


(そうなの? でも一体、誰から教わったのかしら?)


「ねぇ? その首飾りは、気付いた時には既に掛かっていたんだっけ? それにはルー族の本来の姿を抑える力があるのよね?」


「はい。気が付いた時には、常に身に付けていました。 それに僕自身も最近になって、その効果を知りましたので… 僕の身体の変化を抑える… その為に与えられたのではないのかと… きっと誰かが… 記憶がはっきりしないのが、残念ですが… 」


ロキは切ない面持ちで、途切れ途切れに言葉を出した。


すると、アディがロキの目の前に片膝をつき、顔を覗かせた。


そしてその胸元の首飾りと、ロキの瞳を交互に見て言った。


「やはり、同じ様な色と輝きだな。とても美しい」


少し照れるようにするロキ。

アディはゆっくりと首飾りを外し、ロキの目の前に示した。


「アディ?」


カヌアは少し動揺した。


「大丈夫だ。今は夜でもなければ、満月でもない。ロキ、これを見てどう思う?」


「え? これを?」


アディは首を傾げながらも、正直に想いを伝えた。


「うーん… 落ち着く… かな?」


「では、これを首に付けたからと言って、何か変わると感じる事があるか?」


「そうですね… 付けると、確かに安心感はありますけど… それよりも、これを見つめている方が何だか懐かしいし… 温かい気持ちになります」


「ふっ… そうか… アンセクト族も、この瞳を昔よく見ていただろう。それはルー族の特徴である、黄色味のある瞳。おそらくだが、この首飾りは首にかける事によってではなく、見る事によって、その変化を落ち着かせるのだろう」


(なるほど… そういう仕組みだったのね… だから、ロキの瞳と似ていたのかぁ)  


カヌアはニコリとしながら、再度ロキのその輝く瞳を見た。


再び照れたように、はにかむロキ。


(可愛い… )


カヌアは見つめるその目を止めない。


すると、ヴァスカが口を開いた。


「ルー族だけが当てはまるわけではないですが、俺も含め各種族には満月のその力により、姿を変異する者達がいます。そして、その中にもその影響により、我を忘れて危うい存在になる者もおります。今の所わかっているの中では、ルー族、ヴァンパイヤ族がそれに当てはまりますね」


「そう… ね。ロキはそれを制御する方法がわかっているから、少しは安心だけど… 」


そう言いながら、カヌアはヴァスカの方をチラリと見た。


(いつか、ヴァスカの心が安心するような方法も、見つかれば良いんだけど… )


「そうですね。ルー族に関しましては、お互いのその瞳を見ると落ち着くのだと、見… 耳にした事があります」


(ん?)


すると、アディが何かを思い出すように口を開いた。


「今思えば… 確かに皆、首に同じ様な飾りを付けていたような… 定かではないが… 」


(そうだったそうだった… アディとフレールは昔、ルー族の… ロキの親御さんにお世話になってたんだったけ? ロキと少しだけ一緒に育ったって… くぅ… なんか泣けてきた)


カヌアは、その目にほんのりと涙を浮かべた。


「推測に過ぎないが… ルー族はいつ何があってもいいように、その瞳と同じ色の鉱石を使って首飾りを作り、生まれた時から各々が付けていたのではないか?」


ヴァスカがそう言うと、その場に居た全員が真剣に耳を傾けた。


「しかし、ある時ロキは家族や仲間と何者かによって割かれてしまった。そして今やルー族は、ロキただ一人となってしまった。仲間の瞳を見て落ち着くこともできない」


ロキが何かを思うように、悲しそうに少し俯いた。


そんなロキの手を、同じくらいの小さな手が優しく覆う。

フレールが、優しく寄り添ってくれていたのだ。


「何の意図があってかは今になっては知る由もないが、その攫った者は何かのきっかけで、満月をロキに見せるといけないと言うことを知り、地下にいさせたんではないか? 満月を見させないために」


(名探偵… ?)


「てことは… その首飾りってやっぱり… 」


カヌアがロキの首元を再度見た。


「あぁ、おそらく… 」


アディも、同じくロキを見ながら言う。


「お父さん… お母さんからの… 最初で最後の贈り物… 」


ロキはその首飾りをまじまじと見ながらそう呟いた。


(大切な贈り物… )


カヌアがロキにかける言葉を選んでいると、側にいたフレールが口を開いた。


「ロキ… 最後だなんて言わないで。覚えてないけど… 僕達は… 幼い頃に一緒に育ったって… それってもう家族ってことでしょ? 少なくとも僕は… 僕達はロキと兄弟だって思ってる。僕達がいるよ? これからたくさんの思い出も作りたいし、贈り物もあげられる。だから、最後だなんて言わないで… ね?」


ロキはその真っ直ぐで温かい言葉に、返事より先に涙が溢れ出ていた。


フレールがロキを抱きしめる。


その上から、更に大きな愛情でアディが二人を包み見込んだ。


「… ゔぅ… ゔっ… ぐ… っぐ… たい… 」


そしてそれ以上に、涙がとめどなく流れている者がここに一人。


カヌアのその様子に驚くヴァスカ。


(え… ? え?)


「えぇと… カヌア様?」


「… いたい」


「ん? なんと?」


「会いたい… お兄ちゃん達、それにお母様やお父様… エミリアやログにも… 皆に… 会いだいぃ… グスッ… ズズ… 」


(ホームシックか? 知らない名も出てきたが… )


カヌアはその顔中に張り付いた液体と共に、ヴァスカの服へと顔を埋めた。


「わっ… あぁカヌア… 様… 」


(気持ちが複雑過ぎる… )


しかしヴァスカは、そんなカヌアの意図を汲み取り、そっとその悲しむ頭に手を触れた。


「… 待ってくれる人達が居るというのは… とても幸せですね。その方々の為にも無事に帰りましょう? ね? その為にはですよ? まず、危ない事をしない、無茶をしない、勝手に行動しない! 心掛けましょう!」


(… なんか、学校の先生みたい)


「それに… カヌア様には、ウィル様が居るではないですか。それに、陰ながら俺達も居ます。自分で言うのも何ですが… 」


「ふふ… 陰ながら… ふふふふ… 私にとって、ヴァスカ達は陰なんかじゃないよ? 大切な仲間だから… いつもありがとうね。感謝してる」


「え? う… えぇと… はい。大変嬉しゅうございます… 」


ヴァスカは突然の真っ直ぐな言葉に、照れざるを得なかった。


(何だ? この… むず痒い感じは… )


「ゔゔんっ… では、あまり無茶はしないように! 勝手な行動も、いいですね?」


「はぁい! 頭に入れておきまぁす」


(絶対秒で抜けるな… )


そうして、話を聞き終わったカヌアとヴァスカがテントにへと戻ると、既にアンセクト族達と話を終えたウィル達が居た。


泣き腫らしたカヌアのその顔を見て、言わずもがなとても驚いたウィル。


「カヌアッ!? 一体どうしたんだ!? どこか痛むのか!? 何があった!?」


「あ… うん… ちょっとね… へへ… 少しだけ寂しくなっちゃって… お家が恋しくね… ふふ」


カヌアは少し恥ずかしそうにそう言うと、ヴァスカが目で合図を送った。


「そうか… 大丈夫だ。必ず無事に帰れると約束する。しかし… もう少しだけ付き合って欲しい。それまで俺が… いや、俺達が居る」


今度はウィルが、その身体を優しく抱き寄せた。


「うん… 無茶はしない… 勝手な事も… 」


カヌアは先程の教えを繰り返していた。


「え? あ、あぁ… 」


(それにしても、この歳でホームシックとか… なんか急に恥ずかしくなってきた… )


カヌアはそう思いながらも、その温もりをいつも以上に大切に抱きしめた。





最後まで読んで頂きありがとうございます。

またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。

何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。


また、心ばかりの評価などして頂けると、励みになります。何卒よろしくお願いします。

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