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episode45〜宣戦布告のはじまり〜

初連載の二部幕、開始しました!

お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。


初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。

一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。

毎日の更新を心掛けております。



月華蝶ロクサーヌ。


その息子であるという、衝撃的な事実を知ったカヌア達。


当然その本人であるライも、同じ時して知り得た。

よって一部のアンセクト族以外は、信じがたい思いであった。


「サリドナ殿、もう少し聞きたいのだが… ライがその任務を担うことによって、ロクサーヌに代わって、ライによる楽園への道ができる。しかし、ライがその王族である事は、どうやったら女神達にわかるんだ?」


「それは女王と交信した瞬間だ。交信が出来るのは王族のみ。そして、その頭の中の声は女神達にも届いてしまう。そうなると女神達によって無理矢理、役目を負わされる可能性があるからな。彼女達にとって、道は多い方がいい」


「ん? その道は、ライへと移行するわけではないのか?」


「あぁ、もし女王が生き長らえれば、その道は二つとなる。つまり… お二方がその楽園への道になるということじゃ」


二人の会話を聞いていたカヌアは、両手を頭に抱えながら、精一杯の脳内総括を行っていた。


「えーとえーと… て事は、女神達は交信をすることはできないけど、交信の声を聞くことはできる。更には、彼女達はこっちに勝手に来る事はできないってことですよね? それで、その唯一の移動手段が、アンセクト族の王族であるそれを受け継ぐ者… 」


「その通りだ」


カヌアは答え合わせが上手くいき、思わずガッツポーズを天に見せつけた。


しかし、心の中は乱れていた。


(ややややこし過ぎて、やっと付いてけるくらいだぞ!!)


そして、すぐに我に返った。


「ん? て事は、ライも交信したら、その女神達に居場所がわかっちゃうのか!? じゃぁライもこの耳飾りを… 」


「それは意味をなさない」


「え?」


即座にサリドナが否定の意を発した。


「その名の通りこの耳飾りは、あるお方がハルス勢のみに対応できるように、お作りになられた物だからな」


カヌアが首を傾げながら、問いかけた。


「以前もそのような事を仰ってましたよね? この耳飾りを作ったそのお方って、一体誰なんですか?」


しかし、サリドナはその問いには口を噤んだ。


「それは… すまぬが言えない。他言無用にと仰せつかっているからな… 」


「そう… ですか… それは仕方ないです。それ程の忠誠心。そのお方を大変慕っていらしてるんですね」


カヌアのその言葉に、サリドナは鼻の奥に少しばかりの痛みが走った。


「それにしても、彼女達はこっちへ降りてきて、一体何をしようとしているんですかねぇ?」


「それはおそらく… 心の入れ替えだ」


カヌアは、折角整理できてきた脳内が、また乱れ始めた。


(あ、あぁ…もう)


「心の入れ替え?」


ウィルが聞き返す。


「生き物というのは、悪い心と良い心を持ち合わせている。それが ’族’ という種に近い者ほどそれが強い。もちろんほとんどの者は、良い心の方が多い。それを入れ替えようと… つまり白い心を黒い心にしようとしているのだ」


(もうこれ以上は… 頭がぁ… 付いてけないよぉ… 今一番大事なとこなのに… )


カヌアは失いかけたその気に喝を入れた。

その奇行に、近くにいたゾルがビクつく。


(ん? しかし、何故それをサリドナ殿が知っているのだ?)


ウィルは疑問を抱いた。


「それを止めるために産まれたのが、ハルス様じゃ」


(あれ?)


カヌアはその言葉に、今まで絡まっていた何かが解け始めた。


「ハルス様は何らかの方法で、その心を見ることができ… 」


(それって… )


「その心を具現化し… 」


(フラ… )


「そして本来の感情を、読み取ることができるのじゃ」


「フラフィーッ!!」


カヌアが思わず急に叫び出すと、その場にいた全員がカヌアの方に一斉に顔を向けた。


「え… ? フラ、フィーとな?」


困惑したサリドナが、言葉を繰り返す。


流石にフォローに困った従者達が、変な汗を浮かばせ始めた。


(あたぁ… カヌア様… )


(カヌア様… 奇行が増してないか? 流石にビビった… )


そんな中、ウィルだけは冷静に受け止めていた。


(確かに、辻褄が合う。サリドナが言っていることは、現に我々には当てはまっているからな)


カヌアは、動揺を隠せずにありのままを皆に話した。


「あ、ご、ごめんなさいっ! 大切な話の途中で… えと、視えるので… 私達ハルス勢には… 本当に視えるの… で… 」


「… やはり」


(あの方の仰っていたことは、誠だったのじゃ)


サリドナは、驚きながらもその言葉をすぐに受け入れた。


「それはどのようにしてか?」


「三人とも視える形は違うのですが、基本は変わらないんです。その本人の横には小人が居て、言葉は発さないのだけど、素のままの感情を露わにしているんです」


「形が違うとな? 其方のはどのように?」


「白髪のとても可愛いおじいさん… ふふ」


カヌアは何故か照れながら、そう応えた。


「爺さんとな? よぼよぼの?」


「違いますよ! フワフワで白い下着を履いたおじいちゃんです!」


カヌアは何故か少しムキになった。


(え? 下着姿なのか… ? それはもはや、変態ジジイ… )


サリドナは混乱した。


すると、それを聞いていた周りの者達が一斉にソワソワし始め、自身の身体を見回した。


「あっでも、あなた方含め、ほとんどの種族にはそのフラフィーが視えないの。あなた達に出会ってその事実がわかった。アンセクト族のは視えない。視える種族も居るようなんだけど。性質なのか、その違いはわからない。そうよね、嫌よね。自分の本来の心を読まれてるみたいで… だから、他言しないようにしてたの」


「そうか。それは… 良かった… いや、本当… それとだ。その耳飾りを付けていれば、女神達からの攻撃もなく安心かと思うが、念のため其方方がハルスの者だという事は、この地以外でも口にしない方が良い。皆の者もわかったな?」


サリドナの言葉に、周りが一斉に頷く。


ウィルも感謝の意を込めて、頷いた。


「礼を言う。それにしてもその女神達とは、一体何者なんだ? 存在自体がよくわからぬ」


「女体の姿を持つ… 神だ」


(そのままやんけ)


「その力は絶大で、かつ絶対的な存在。この世の種族、生き物、自然、あらゆるものを意のままにする」


(でもそれって… )


「… 神なんかじゃないわよね… そんなの! 百年前の出来事は、おそらくその女神達が起こしたんでしょ!?」


「確かではないが、それを操れるのは女神の力しか考えられない… 」


「何が神よ!? 女神よ!? それによって、種族が滅びゆく羽目になってるなんてっ! おかしい! おかしすぎるよ! 彼女達は命を何だと思ってるの!?」


カヌアの拳に力が目一杯入る。


「カヌア… 其方が憤るのもわかる。では其方の言う神とは?」


サリドナは、その答えのない問題を投げかける。


「それは… 全ての人を守る、加護を… 」


「そう… 全ては神の手の内… 神が全てを決めることができるのじゃ。つまり思うがままだ。其方の言う守る事も… 滅ぼすのも… 命をもだ。誰も逆らえない」


カヌアはその行き場のない感情を、拳を握りしめる事でしか制御できないでいた。


(考えろ… 考えろ… 何か… 何かあるはず… )


ウィルがそんなカヌアの小刻みに震える肩に触れようとした瞬間、ある言葉がカヌアの心を前へと押し出してくれた。


「そんな神…、クソ喰らえだな」


「え… ? アディ?」


「俺も納得いかねぇ… あんな残酷事をしておいて… 神だと? ふざけるな! 違うだろ… 神の姿をした悪魔だ」


ウィルも自身の考えを示そうとしたが、二人の気持ちは更に上へと突き進もうとしていた。


「あぁ、カヌアとアディティアの言うことはわかる… しかしだな、相手の素性がわからないままでは… 」


「誰も逆らえないんなら、私が… 」


「誰も抗えないんなら、俺が… 」


(え… ?)



「「そのはじまりになってやるっ!!」」



カヌアとアディは声を揃えてそう言った。


その目は互いが同じ事を言っているのに気が付きもせず、空を睨みつけていた。


勇往邁進。


まさに今、この言葉が合うのは、ここに居る二人が一番ではないか。


それを受け止めるかのように周りにいる者達は、それぞれに思う。


(ふぅ… いつでも真っ直ぐだな… 本当… しかし… )


(あぁ… カヌア様が二人に見える… )


(何でこう… いつも… まぁ… カヌア様らしいですけど… 周りの身にもなって欲しい)


すると、カヌアはふと思った。


「あれ? ちょっと待って!? 女神がいるって事は、男の神も居るって事なんですよね?」


「はっ! そうじゃ! 一人居た! 女神達よりも力を持つ真の神がっ!」


サリドナは大きく声を張り上げた。


「… 絶対神か?」


アディが反応を示す。


「そうじゃ。その名もゼアリウス」


「ゼアリウス… ? ものすごい力を持ってそうな名前ね」


「全知全能の神と言われているゼアリウスだが、その存在も居場所も何も知られていない未知のお方だ」


「そう… 彼の力を借りれればいいんだけど… 見つけるのは相当困難なのかしら?」


(ゼアリウス神… 確か彼は何かの姿に… )


アディは再び空を睨みつけた。


たった今、得たばかりの膨大な新たな真実をその胸に抱え、その場を後にしたカヌア達。


アンセクト族達はその場に残り、王子であったライとの関係を再確認していた。


カヌアはその姿を見ながら思う。


(ライ… 王族だったなんて、本当驚きだわ。でも彼なら、人の上に立つ素質は元々あるし… それにきっと、皆とはこの先もそのままの関係で、あまり変わらないんじゃないかしら?)





その夜、カヌアはテントの中で床に就く支度をしていた。


そして、横になると今日の出来事を思い返していた。


(ライが王子かぁ他にもいるかもしれない種族を探さないと… それに、絶対神ゼアリウス… なんとしても見つけたいんだけど、でも一体どこに… ゔーん)


カヌアが目を瞑りながら唸っていると、優しい温もりが近づくのを隣に感じた。


ウィルが支度を終え、寝床に入ってきたのだ。


「どうしたカヌア? 今日の事か?」


その温もりが腰へと集中する。


「あ、う、うん… えと、そうなんだけど… 」


カヌアは未だ、久しぶりのその感覚が抜けないでいた。

顔が熱くなるのがわかる。


(っかぁ! 心臓がドコスコ言ってるよぉ)


カヌアがチラリとその愛おしい顔を見る。


「ん?」


「あ、えと、私達のフラフィーにはやはり意味があったんだなと思って」


「あぁ、女神達の思惑に、対抗する為の手段になり得るのかもしれないな」


「何だか… 世界は本当に女神達の手のひらの上なのかしら? … なんか… 悔しい… 」


「… そうだな。しかしだ、この力を与えられたということは、何か術があるという事。この先、それを見つけ出し、俺達のできる事をやっていくしかない。その手段がまだわからず、手探りになると思うがそれでもやるしかない。不安だよな。俺もだ… すごく」


「ウィルも?」


「あぁ当たり前だ。俺は思っている以上に弱い人間だ。それをギリギリで食い止めている。色んな助けがあり、支えがあり、考えを与え、見つけさせてくれる、そういう存在が、周りにはたくさんいる。それに応え切れない事も、もちろんある。しかしやれる限りのことはするつもりだ。カヌアの存在に助けられる事も多くあるんだ… だから、これからも一緒に居てくれないか?」


「ウィル… うん… うんうんうんっ! もちろんだよ! 私はあなたの考え方も、その心の強さも、感じさせないその弱さも全てを信頼している。尊敬している… 全てを愛してるわ」


「カヌアッ… 感極まりない… 」


二人の身体はゆっくりと、そして力強くその存在を確かめ合うように身を寄せた。


その唇はお互いを求め合うように重なり続けた。




最後まで読んで頂きありがとうございます。

またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。

何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。


また、心ばかりの評価などして頂けると、励みになります。何卒よろしくお願いします。


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