episode43〜ハルスのイヤーカフ〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
ウィル達の前に現れた、アンセクト族のサリドナ。
「これはこれは… やっとお目にかかれて誠に光栄でございます。貴方様が、光の国の継承者である、ウィルテンダー王太子でございますね?」
サリドナは、アンセクト族特有の美しく舞う挨拶をしながらそう言った。
「そう、畏まらなくともいい。私達、種族間には上下関係はない。普通に話して頂いて構わない。えぇと、其方は… 」
「この方は、アンセクト族のサリドナさんよ。この耳飾りをある方から預かっていたんですって。この時まで私達三人に渡すために… はい、これがウィルのよ」
カヌアがその耳飾りを渡すと、付けるのを一度止めに入るサリドナ。
「カヌア、少し待たれよ。三者が揃った今、この耳飾り… その名も ’ハルスのイヤーカフ’ 。その真の付け方を教えよう」
「ハルスのイヤーカフ… 真の付け方?」
頷くサリドナ。
「そうじゃ… さすれば、この月華糖がなくとも常にその作用が発動する」
「女神達から居場所をわからなくするってことですか?」
「左様… しかし、それをする事によって、もう一つの作用も発動してしまう」
「もう一つの作用とは?」
ウィルが聞き返す。
「… それは、互いの感情が脳へと流れ込んでくる… 感情の共有だ」
「え? 何を考えているか分かってしまうって事ですか?」
「うむ… わしも実際に感じた事がないからの… 詳しくは言えんが、恐らく喜怒哀楽感情が何らかの形で、脳内へと流れ込んで来るということではないだろうか?」
「ライと月華蝶様のような交信という形なのかしら?」
「まぁ、一度試してみると良い。耐えられないのであれば、再度外すことも可能じゃからな」
「そんなに簡単な方法なんですか?」
「あぁ、互いの耳飾りを付け合うだけじゃからな。但し、三者が一度に付け合う事が条件じゃ」
「なるほど… 百聞は一見にしかずね。やってみる?」
(ひゃくぶん?)
ヴァスカは少し首を傾げながらも頷いた。
慎重なウィルは、今一度サリドナに確認した。
「… 危険はないのだな?」
「… 断言はできないが… おそらくは」
「ウィル! 新しく何かをするのに、全く危険が無いなんてつまらないじゃない? それが冒険! それに、これには必ず意味がある。ねぇ? ワクワクしない? ふふ、私は今、とても楽しいわよ?」
「… ふっ、あぁそうだな」
「大丈夫! 私がついてるわ! 二人とも!」
カヌアはそう言いながら、ウィルとヴァスカの手を力強く握った。
その様子を見て各々思う事があった。
(相変わらず力強いな… )
(ヴァスカ… 今だけは許してやろう)
しかしこれも、今後はこの耳飾りの作用によって、互いに分かってしまう事となる。
「カヌアは頼もしい娘だな」
サリドナはそう笑みを浮かべると、表情を改め直した。
「さて、まず誰が誰の耳飾りを付けるのか、決めてもらおう」
(誰が誰の… )
(ヴァスカにカヌアの事を触らせたくはないしな… しかし、俺はカヌアには触れてもらいたい… どちらを優先すべきか… )
暫しの間、沈黙が流れた。
ウィルがこれまで以上に真剣に考えるように、顔を顰めていたからだ。
(ウィル様… 手に取るようにわかります… 貴方様の考えている事が… )
そう思うのは、その行方を見守っていた従者達であった。
「ウィル… ?大丈夫? 体調良くないの? 今日はやめと… 」
「… 決めた… 」
「へ? あ、決めた? そう? どうする?」
「俺が… ヴァスカのを… 付け… る… 」
(ん? 何か煮え切らないわね… )
「そう? それなら、私がウィルに、ヴァスカが私に… それでいいのかしら?」
「… あぁ」
(そんなに難しく考える事だったかしら?)
(カヌア様… ウィル様にとっては、とても大事な決断なのですよ… )
(ウィル様… カヌア様に触れてもらう方をお選びに… )
「では、各々の耳飾りを… 」
サリドナがそう促すと、三人は相手の耳飾りを手にした。
ヴァスカがカヌアの耳飾りを手にした時、ウィルはある事に気が付いた。
「ん? カヌアの飾りだけ少し違くないか?」
「あ、気づいちゃった? へへ、ゾルが私のだけ特別に機能を付け足してくれてるからね! 今度披露してあげるね!」
カヌアは、ウィンクをしてそう応えた。
(か、可愛い… )
もう一度言おう。
その盲目な感情が、数秒後には互いに分かってしまうという事を。
「では、同時に付けるのじゃ」
サリドナの合図によって、互いに耳飾りをつけ始める三人。
その瞬間、あるモノが目の前に現れた。
「か、可愛い!!」
「え? これは… 」
「本当に、姿形が違かったのですね」
三人はそれを目にすると、それぞれの目に映るモノの感想を口にした。
三者間には見える事のなかったフラフィーが、突如目の前に現れたのだ。
しかし、少しおかしい事に気が付く。
一体しか視えないのだ。
カヌアには、黒い翼の生えた小悪魔的男の子が。
ウィルには、白髪に白い下着を身に付けた老人が。
そしてヴァスカには、エルフ族に似た透き通った羽根が生えている女の子が。
彼らにはそれぞれ耳飾りを付けてもらった相手のフラフィーが視えていたのだ。
「可愛いすぎる… 可愛い… 有り余る可愛いさ… 」
カヌアは小さなそのフラフィーを、大変お気に召した。
「ふふ… 」
ウィルは嬉しそうに笑みを浮かべていた。
「これは… 何だか凄いモノを視てしまった気がします… 」
ヴァスカは動揺を隠せないでいた。
(ウィル様のお考えが… いや、感情に過ぎないが、目に視えてしまうとは… )
そしてそんな三人を見ていた他従者二名は、ある事を思っていた。
(何が視えているのだろうか… それにしてもエルフにはいなかったような容姿だな… 何というか… )
そして、カヌアが満足そうに口を開く。
「私達三人でお揃いね、ふふ… ふふふふ」
不気味な笑いを浮かべるカヌアに対し、少し複雑そうな表情をしながら応えるウィル。
「三人で… それにしてもこの耳飾りは一体… 」
カヌアは月華糖と同じ効果がある事をウィルに伝えた。
その真の付け方を今教わった事、カヌアの耳飾りにだけはゾルが改良した他の機能も備わっているという事も伝えた。
少し心配そうな顔を見せたウィルだが、これによってシレーヌ族のピアンの呪いも解除した事などを嬉しそうに話したカヌア。
その表情にウィルの考えは、すぐに変わった。
「そんなものを作れるとは… 凄いな」
「でしょでしょ!? ゾルは本当に天才だよ!」
カヌア達が大きく褒めるものだから、近くで待機していたゾルが出るに出れなくなっていた。
その顔は赤く染まっていた。
カヌアは、ウィルの左耳にある飾りを見て微笑んだ。
「ふふ… 」
「ん?」
「似合うね! ウィルは何でも似合… 」
すると、ウィルのその大きな手が愛おしそうにカヌア頬に滑る。
「ウィル?」
「カヌアも美しい」
見つめるウィル。
そのまま顎に移動した長い指に、顔を上げられた。
(ま、まさか、このまま… )
カヌアが顔を真っ赤にしながら、思わず目を瞑った。
「ゔゔんっ、ウィル様、お話には続きがございます。後ほど、たっぷりと愛でられては?」
カブラが無表情で止めていた。
「め、め、愛でるって… 」
(ギャーーーーみんな見てた!!)
イヤーカフをつけた事によって、ウィルの更に奥の感情を視てしまったヴァスカは、何とも言えない気持ちになった。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。
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