episode39〜用法容量〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
そうして、カヌアの元に連れてこられたゾルの祖母。
名はサリドナ。
「あの、サリドナさん。私、この耳飾りをゾルからもらって、詳しい機能を知りたいんです。その、姿をある特定の者から見えなくするっていうのは、本当なのでしょうか?」
「あぁ、これはこれはユマンの娘さん。えぇと… 」
「カヌアです」
「おぉ、カヌア。やっと其方の元に行ったかの。先程、ハルス様の派生者が現れた事を聞いた。行き着く所に収まった… そうかそうか… 」
(あれ? ライはまだ言っていなかったのか?)
「あ、ええと、サリドナさんが作ったという機能を知りたいんです。そして、今すぐにそれを使いたい。その方法を教えて頂けませんか?」
「そうかそう… か… え? えぇえ!? この機能をすぐにと!? やはり、先程の矢の雨は彼女らの… その名を聞きつけ、ついに来たか… 」
(彼女ら… ある特定のものか… やはり、この機能はその女神達から、姿をわからないようにするもの)
アディは真剣にその会話の行方を聞き入れていた。
「姿を見せなくする方法… それは」
「それは?」
「それは… これじゃ」
そう言って、サリドナは自身の懐からキラキラと星のような粒を出した。
(え? 今、どっから出した?)
カヌアはそれを手のひらに受け取ると、眺めながら尋ねる。
「ん? こ、これですか? これは?」
「あぁ、これを口に含めば、一時的にその存在を彼女らに気が付かれずにいられる」
「この… 飴? を?」
コクンと頷くサリドナ。
「あ、でも耳飾りは付けたまま口に含むとか… そういう条件が… ?」
「いんや、耳に付けるも良し。付けないでもイケる。これはまだ使わぬ」
「…っな」
(((耳飾り関係ねぇーーー!!)))
「勘違いをするでない。 ’今は’ 使えぬという事だ」
「今は?」
「それはどういう事だ?」
アディが聞き返す。
「この首飾りは全てで三つある。それを必要な三者が付け合う事で発動する。その付け方も独特であるでな」
(私達三人のことね)
「その付け方とは… ?」
「それは、三者が揃った時にまた説明する」
(ただ… それをしたことによって、存在を消す以外の事も発動するんだがな… それはまた後にでも… )
「サリドナさん、この飴は何個か予備はあるんですか?」
「ある… というかこれは飴でなく木の実だ」
(ん? 木の実? どこかで… )
「月華糖と言ってな、この山の泉の近くにのみ生息する。後でたくさん採るといい。しかし用法容量守るのじゃぞ?」
(薬剤師…? でも… )
「ありがとうございます! 助かります! ヴァスカにも早くこれを届けないと! じゃっ、早速… 」
と言い、カヌアはその月華糖を一つ手に取ると、口に含んだ。
(うんまっ! なんじゃこりゃ!)
カヌアのその表情を見て、アディは思った。
(表情管理ができないタイプか… )
そして、カヌアはその身をゆっくりと陽の当たる場所に現した。
「降っ… てこない! よし! 行ける! ワイム! アディ! 手分けしてヴァスカを探すわよ!」
と言いながら、散らばろうとしたカヌアの腕を、すかさずワイムが掴んだ。
「… っ!? ちょっ、何!? 早くこれを… っ」
「いやいやいや! 言いましたよね? お立場を考えて下さいと! ウィル様にも鬼のように、きつーく言われておりますからっ! いい加減言う事聞いて下さいよ!」
「へ? 何がよ!?」
「手分けはしませんよ! カヌア様は私がお供しますので。アディティア殿だけ他を… 」
しかしカヌアの自我が口走る。
「時間が惜しいのわかるでしょ!? 今にもヴァスカに、矢が降り注いでるかもしれないのよ?」
「ヴァスカさんは、あなた程知能は乏しくありませんよ?」
「あ゛? 喧嘩売ってんの?」
「はい、売ってます。買うにしろ買わないにしろ、これだけは絶対に譲れません!」
「チッ! わかった! 高速で探すわよ」
「… わかって頂けて… 何よりです」
(舌打ちしたけど… )
(こいつも大変だな… )
アディは、そんなワイムを気の毒に思った。
「その喧嘩、絶対買うから後で覚悟しなさいよ」
「え… それって… 」
「ふっ、男に二言はないわよね? ワイム君?」
ワイムはその不気味な笑いに、鳥肌が立って仕方なかった。
(これは… 逆にまずいのでは?)
そして、その目にも止まらぬ瞬足と野生の勘で、カヌア達はヴァスカの居場所をすぐに見つけた。
その身はカヌア達と同じように、大きな岩の下に身を潜めていたのだ。
「ヴァスカッ! ここに居たのね! 無事で良かっ… 」
「カヌア様… ご無事でしたか… 」
そう弱々しい声で反応するヴァスカ。
その身体には何本もの矢が刺さった跡があり、出血が多量である事は容易にわかった。
「って! 良くない! 良くないじゃないっ! やだ! 何本受けたのよ!」
腹部を抑えながらも応えるヴァスカ。
「それより… 明日は満月… しかし、またこの間みたいに… 一日何故かズレる可能性もございます… だから、遠くに離れ… 」
「いやだ! 言ったじゃない! ヴァスカがいないと困るって!」
「ふふ、そんな馬鹿なことを言うのはあなたくらいですよ。しかし、この量だとおそらく… 」
(あぁ… 眠りたい)
瞼の重さに耐えられなくなるヴァスカ。
「え… や、やだ! ヴァスカ!! やだ! やだよ!」
必死にその目を開けようと、顔を叩くカヌア。
(うるさい… )
「起きて! だめよ!? ダメだって! ヴァスカ! ねぇ!」
胸ぐらを両手で揺さぶりながら、泣き喚くカヌア。
(静かに、してくれ… )
心肺蘇生をしようと、胸を強く圧迫し始めるカヌア。
(痛… い、痛… )
「痛いですって!! それにさっきからうるさいですよ! 少し静かにして下さい!」
「カヌア様? 心臓圧迫は、心音がなくなってからするものですよ?」
(そこじゃないっ!!)
ヴァスカはワイムを睨んだ。
「え… ? 死んだんじゃないの? 不死身? … なんだっけ?」
「何年生きながらえてると思ってるんですか!? こんなことじゃ死にませんよ! 少し眠れば… 」
「良がっだぁぁあうわぁぁん! ヴァスカァァアッ!」
泣きじゃくりながら、抱きつくカヌア。
「はぁ… 全く… もういいですから」
「うっぐっ… ズビッ、そ、そうだったわね… ヴァスカは意外とおじいちゃんなんだもん! 労わらないと!」
「どの口が言ってるんですか… とにかく俺は眠って傷を癒します。この量の失血なら、おそらく力が弱まってるので、元の姿になれるほどの力がないかと… しかし、念の為離れといて下さいね」
「嫌です。断固拒否よ!」
「… チッ、ワイム、頼んだ」
「御意。あ、ヴァスかさんこれを… 」
「なんだ? これは?」
「これを口に含めば、一時的にその身を隠せるのだとか。あの矢は、カヌア様とヴァスカさんを狙っているようなので… それでカヌア様も、ここまで矢の襲撃を受けずに来られました」
「これを… わかった。詳細はまた後ほど聞く。とりあえず今は… 」
「御意。カヌア様失礼します」
「あ? あんた達の考える事はわかっ… 」
しかし、カヌアの言葉を遮り、担ぎ上げるワイム。
そのまま遠くの方へと移動した。
(はぁ… ここまでとは… とんだお嬢様だ… 俺がいないと困る… か)
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。
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