episode34〜ついに月華山へ〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
勘違いなのか、何かの影響なのか、原因はわからない。
今宵が満月だと知ったカヌア達は、ワイムとロキと逸れたまま、月華山へと入山する事を決意した。
そして今、その山は開き始めようとしていた。
月華山の麓へと着いた一行。
それを目にした時、この世とは思えない程の美しき物を目の当たりにした。
’神秘’
この言葉が、その場にいる誰しもの脳裏に浮かんだであろう。
山だとばかり思っていた、その大きなピンク色の孤は、一枚一枚と大きく開き始めていた。
「これは… 大きな花びら?」
「違う。これは月華蝶の羽根だ」
そう応えるのは、何度もその瞬間に立ち会ったことのあるアディだった。
「え? 羽根? じゃあこれが… これ自体が月華蝶? てことは、月華山自体を覆っていたのが… 」
「あぁ、アンセクトの女王、ロクサーヌそのお方だ」
「そう… なんて… 綺麗なの」
それはまるで大きな花ビラが開くかの如く、ゆっくりと美しい羽根が空を飛ぼうとしているところだった。
月華蝶が目を覚ましたのだ。
それはそれは息を飲むほど美しかった。
「あれ? 何だか、昼間に見た色より… 少し変わってる? 何色と言ったらいいのかしら?」
「普段はローズヴィフですね」
「ローズヴィフ… 」
「はい、鮮やかなピンク色という意味です」
「このローズヴィフは、鱗粉によって色付いています。実際の女王を示すその色はヴァイオレットと言われている」
「言われている? どういうこと?」
「夜だと暗くて確認する術がないからな。しかし、月が満ちるその夜。一番明るい夜。つまり紫夜に溶け込むように、その姿を現す」
「なるほど…ローズヴィフじゃ夜でも目立つもんね」
すると遠くの方で大きな歓声が聞こえた。
カヌア達はその声のする方へと駆け寄る。
「コクシネル達だ!」
「カヌアッ! 見て! 月華蝶のロクサーヌ様だよ! やっと… やっと再びお会いできた!」
「えぇ… とても美しいわね」
「これで中に入れるな… 行くんだろ? 仲間のエルフ達に会いに」
そう言うアディに、強く頷くコクシネル達。
「会えるといいな?」
ニコリと笑うアディ。
「うん! そうだね!」
するとアディは、一歩下がり言う。
「じゃあ俺は役目がひと段落した。ここで… 痛っ」
それ以上の言葉を言わせないために、ライがアディの耳を引っ張った。
「え? ダメだよ! 一緒に行くよ! その子も!」
そう言いながら、ライは弟のフレールも指差す。
「え? いや… 俺達は… 」
すると、それを見ていたコクシネル達が次々とアディとフレールの元へと集まってきた。
あっという間に囲まれてしまった二人。
「折角友達になったんだ!」
「仲間にも会わせたい!」
そう言うコクシネル達に、思わず笑みが溢れる兄弟。
「ふふ… くすぐったいよ」
「おい… やめ… 」
それを見ていたカヌアは二人に言った。
「ここで出会ったのも大切なご縁よ! 無理にとは言わない! でも… 一緒に行こう!!」
(ほぼ強制だよな、これ… カヌア、目がマジだ)
「っはぁ… わかったわかった!」
アディの一言に、更に歓声を上げるコクシネル達。
そしてフレールはあっという間にコクシネル達と打ち解け、とても楽しそうにしていた。
その姿を見ていたアディは、何だか嬉しそうに口元が緩んでいた。
「良い兄弟ね」
カヌアがぽそりと言う。
「… あぁ」
少し照れたようにアディが応えた。
そうして、女王ロクサーヌが飛び立った後の、月華山へと足を踏み入れたカヌア達。
そこでもう一度、カヌアは辺りをキョロキョロと見渡した。
「如何致しました? 何か探し… ウィル様達ですか?」
ヴァスカが聞くと、カヌアは少し不安そうな面持ちで応えた。
「あぁ、うん。でもまだ到着していないみたいね」
(間に合わなかったか… ? それとも違う山道から… ?)
「そうですね… シレーヌ族の方が難航しているのでしょうか?」
(今会ったら確実に殺される… 歯形が消えるまで会えない… この歯形を見たら、ウィル様に抹消される… )
ヴァスカは本気の身震いをした。
それぞれの思いを抱えながら、アンセクト族の仲間であるエルフ達がいるという、月華の泉へと足を進めた。
カヌア達の目的地でもあるその場所は、ウィル達との待ち合わせの場所でもある。
その道中、カヌアはある気になっていた事をライ達に聞いた。
「ねぇライ? ロクサーヌ様とは、お話しできないの?」
「うーん、出来るとは思うけど、かなり寡黙なお方だから… タイミングを見て… かな? 僕もまだ会話した事がないんだ」
(寡黙な方かぁ…)
「そうか…それと、こんなこと聞くのもアレだけど…あの鱗粉は身体に浴びて大丈夫なの?」
「それは大丈夫! アンセクト族には、生命の源を… 他種族には、精神に潤いを与えると言われているんだ……… 多分」
((多分…))
しかしカヌア達は、素直に安心を受け入れた。
(うーん、ここではヴァスカの事、詳しく聞けないわね… いつ聞こう… )
そう思いながらも、その足を進めるカヌア。
しかし、彼女の頭の中は視覚と聴覚による情報過多で、既に飽和状態であった。
(ウィル… 助けて)
助けを求めるのはそこじゃない。
しかし主人公カヌアの脳内は悲鳴をあげていた。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。
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