episode32〜月の満ちる時〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
山の中へと消えたロキ達。
その後を、探し回るように追いかけるカヌア。
すぐ側には、ヴァスカがついていた。
二人をしばらく探していると、遠くの方で、何かが吠えるような声が聞こえた。
「この声は… ?」
ヴァスカが声を漏らすと、カヌアがすかさず反応した。
「ロキッ!?」
カヌア達はその声がする方へと走った。
大きな身体の男が何かを抑えつけるように、地面へと腕を伸ばしていた。
地面へと伏せられている方は、爪を引っ掻くようにもがき抵抗しているように見える。
「ワイムッ!?」
そのワイムのの下にいたのは、獣のような呻き声を上げ、もがくロキであった。
しかし、その姿に一同は驚く。
頭部には犬のような耳が生え、口元の牙が際立つように見えていた。
その目は獲物を見るように、瞳孔が開いている。
そう、それはまるで狼のように。
完全体ではないようなので、かろうじてロキだとわかる。
噛まれたのか、引っかかれたのかはわからないが、押さえつけるワイムの腕からは血が滴り落ちている。
「カヌア様っ! 危ないので、下がっていて下さい!」
「ワイム! そこに居るのはロキなの!?」
「はい! 我を失っているようです。空を見上げたかと思えば突然、うっ… 雄叫びを… 」
「そんな… 一体どういうこと… 」
「おかしい… 」
「えっ? ヴァスカ!? 何!? 何か知ってるの!?」
「満月は明日のはずです。なぜ今宵… ?」
「わかんない! わかんないけどっ… 」
(もしかしたら、ずっと本体になっていなかったから、身体の制御がうまく効かなくなっているのか? いや… それにしても何かが… )
すると、少しの自我を保っていたロキが、苦しそうに声を絞り出す。
「… その… 首か… ざりをつ… けて… 」
「ロキッ!? え!? 首飾り?」
ワイムは、ロキを抑えつけながら、辺りを見渡した。
すると数メートル程先に、キラリと光る何かが見えた。
(あれかっ! でも何であんな所に!? ここからでは届かない… )
ワイムがヴァスカの方を見る。
そして…
突然その身体に衝撃が走る。
ドクンッドゥク… ン
(これは… )
「ヴァスカさん! あそこにある首飾りをっ… 」
(ワイムの声が遠く… )
しかしヴァスカは、動こうとしない。
その身体を月の灯りが照らし出したからだ。
「ヴァスカ… ?」
カヌアが様子を伺うように声をかける。
ドックンドゥクンッ…
(まずい… )
「えっ!? ヴァスカさんっ!? 聞い… 」
今度はヴァスカの様子が変であることに、カヌア達は息を潜ませた。
その時、ワイムが気を取られている隙に、ロキがするりとその腕から抜け、何処かへ走り去ってしまった。
ワイムは即座にその光る首飾りを拾い、慌ててロキを追いかけた。
「ワイムッ! 頼んだわよ!」
カヌアがワイムにそう託すと、コクッと頷き再び闇へと消えてしまった。
その間に、今度はヴァスカが胸を抑えながらどこかへ走り去ってしまった。
「え!? ちょっ… 待って!! ヴァスカッ!?」
カヌアはヴァスカを追いかけた。
(二人とも一体どうしたのよ!)
すると遠くに佇むヴァスカの姿が見えた。
天を仰いでいるヴァスカ。
その雲間から見える月は、明日満たされるはずのその球体を既に完成させていた。
そう… 月が満ちたのだ。
「はぁはぁ… っはぁ… やっと追いついた。一体どうした… の? ヴァスカ?」
やはり何だか様子が変だ。
ヴァスカの右眼が煌々とオレンジ色に光っていた。
カヌアはその姿に目を見張った。
「ヴァス… カ?」
そう言いながら近づくカヌア。
すると、突然ヴァスカが襲いかかって来た。
口を大きく開けたと思ったら、カヌアの首元めがけて歯を突き立てたのだ。
「え… ?」
しかし、なぜかそこで止まったままだ。
ヴァスカのその身体は少し震えていた。
まるで自我と欲望の狭間で、耐えているようだった。
そしてカヌアは気が付いた。
(まさか! ヴァスカも狼… っ! ん、いや違う! これはっ… 吸血鬼!?)
一瞬の判断でカヌアは手を出した。
両手でヴァスカの突飛な二本の歯を掴んだのだ。
その瞬間、耐えきれなくなったヴァスカが、ついにカヌアの首元へとかぶりついた。
しかし、すぐにヴァスカが我に返ったかのようにその身を離した。
ヴァスカは、その細い首元を焦るように確認する。
カヌアも自身の首元へと手を当てていた。
(血が出てない?)
「セーッフ! あっぶねぇ! ねぇこれ、噛まれてたら私もなってたわよね? 吸血鬼に! てかあんたやっぱり… 知ってたんでしょ!? まったく! こんな危険な生態を何で黙ってたのよ!?」
ヴァスカはまだ混乱しているようだった。
そのせいで言葉が出ない。
月に一度、訪れるその日は世が明けるまでは、その姿のままであるはずだから。
しかし、今はその姿が元に戻っていたのだ。
「カヌア様… ? これは一体… 」
「こっちが聞きたいわよ! … ほれっ! これじゃない?」
カヌアの手には二本の鋭い牙があった。
先程、掴んだ際に折ったのだ。
脅威の馬鹿力。
(これを… 折ったのか… !? あの一瞬で?)
「カヌア様申し訳ございません! すぐに手当てをっ… 」
「あぁ、大丈夫大丈夫! ちょろっと歯形がついたくらいでしょ? 血も出てないし、平気よ」
(いや… 良くない… まずい… 殺される… )
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。
また、心ばかりの評価などして頂けると、励みになります。何卒よろしくお願いします。




