episode31〜ある夜のはじまり〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
月華山が開く満月の夜まで、あと半月。
その間、カヌア達は兄弟であるアディとフレールのいる小屋で、お世話になることとなった。
ウィル達がまだ到着していないということもあり、護衛がてら周辺を探索するヴァスカ。
しかし、彼にも彼なりのある事情があった。
そのためにカヌア達からは、そう遠くない場所へと離れるためにも、その行動を選んだのだ。
フレールとロキは歳も近いということもあり、非常に仲睦まじくなっていた。
それを一人の女ハンターが見つめる。
そう… ニタニタとただ見つめていたのだ。
もはや狩ると言うよりは、観察だ。
愛でるように眺めていた。
「カヌア様… そろそろおやめになられたら、いかがですか?」
「え? 何が?」
(自覚がないほど怖いものはない… )
ワイムはこのカヌアという生物に、一生振り回されることとなる。
そんな未来を露知らず、カヌアはアディの方に問いかける。
「そういえば、アディ達はルー族であるロキを探していたのは、本当だったのよね? それは何故?」
「… 恩があるからだ」
「昔、誰かにお世話になったってこと? もしかして、ロキのご両親に… とか?」
「あぁ、俺達は幼少期のほんの少しだけ、一緒に育てられた。俺とフレールは知っての通り、ルー族じゃない。本当の親は、顔も見た事がない。それが親じゃないとわかった時には、ホッとしたがそれも束の間、突然捨てられた。そんな俺達を拾ってくれたのは、ロキの両親とその仲間達であるルー族だった」
(狼に育てられた子… )
「だから、俺達は兄弟みたいなもんだ。あの二人はその時の記憶がないがな。心のどこかに繋がりがあるのかもな」
「そう… なんだ、そんなことが…でも再会できてほんと良かったね!」
「あぁ、本当に。だがある日、人攫いにロキが連れ去られた。気が付いた時には、ロキの姿は何処にもなく、途方に暮れた。フレールも幼かったから、俺一人ではどうしようもなかった…」
「それでずっと探してたんだね」
二人を大切に見つめる兄の目は、家族の愛を示していた。
そうして、日が経ち、月が満ちるまであと一日となった。
しかしその夜、予想外の事件が起こることとなる。
全員が夕飯をとり終わり、各自片付けや寝床などの準備をしている際にそれは起こった。
(ん? 何だ?)
小屋の外から、ガタンと何かが小突くような音がしたのに気がついたカヌア。
「ロキ? どうした? 腹でも痛いのか?」
ワイムのその声に、カヌアも小屋から顔を覗かせ、様子を見た。
ロキが小屋の壁に、頭をごつんと打ちつけたようだった。
「ロキ… 大丈夫?」
カヌアも心配して声をかける。
ロキは小屋の前を通り過ぎると、ふらぁと森の中へと足を進み始めた。
「えっ!? ちょっ、ロキッ!? どこへ行くの!?」
カヌアのその言葉に、全く反応を示さないロキ。
そのまま足を止めずに、暗闇の方へと進んでしまった。
それを追いかけようとしたカヌアを、大きな手が制した。
「カヌア様、俺が行きますので、ここでお待ちを」
「えっ! でもっ… 」
「夜の森は危ない。慣れてる俺でもです。ましてや知らぬ土地。大丈夫です。すぐに戻りますので」
ワイムがそう言うと、ロキを追うように森の中へと入ってしまった。
しかし、しばらく経ってもワイムとロキは中々戻ってこなかった。
どのくらい経ったであろうか…
もうすぐ満たされるのを待つ月が、頭の真上で煌々と光る。
(ロキ… 一体どうしたんだろ… )
カヌアは獣の如く、ウロウロし始めた。
(カヌア様… 心配だと檻の中の獣になる癖… わかりやすいな… それより、俺は今夜ここには居たくなかったのだが… 仕方ない… )
ヴァスカは何かを考えながら、カヌアに提案した。
「心配なのはよくわかります。私が見て参りますので… 」
「私も行くっ!」
「いえ、危険です。カヌア様はここで、アディティア達とお待ちっ… 痛っ… 」
(また爪が食い込んでる… )
「嫌だ! もうあの二人と別れたくないよ! お願い! 私も連れてって!」
「… っ、はぁ… わかりました。絶対に勝手な行動は取らないと、誓って下さいね!」
「うん! 約束する!」
(アレを… 見ないようにすれば大丈夫か… )
ヴァスカのとある心配は、この後、間も無くして現実となってしまうことになる。
そうして、カヌア達もロキ達を探しに、森の中へと足を踏み入れた。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。
また、心ばかりの評価などして頂けると、励みになります。何卒よろしくお願いします。




