episode30〜可愛し生きもの〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
そうしてコクシネル達と、一旦別れたカヌア達。
カヌア達はロキ達のいるという、月華山の近くへと向かう。
(月華山の中じゃなくて麓だったのか… すぐに会える場所にいて良かった)
月華山周辺には、見たこともない様々な種類の花々が生えていた。
アルデリアでいう森が、木でできているなら、この辺の森は花だ。
大小様々な花。そして、多彩な花々が咲き誇っていた。
「綺麗… 」
カヌアは思わず言葉を漏らした。
アディについて行くと、先の方に小さな草木で作られた小屋のような場所が見えた。
中に入ると、アディと同じような面を被ってる者が、驚いたようにこちらを見ていた。
顔は見えなかったが、アディより少し小さい。
(ロキと同じくらいかな?)
そして何より、髪の色は違かった。
アディの銀髪とは違い、その髪は金色に美しく輝いていた。
面を被ったその少年は嬉しそうに、声を発した。
「兄さん… っ!? 戻ったんだね!」
「あぁ、フレール、遅くなってしまってすまない。変わりないか?」
コクンと頷く金髪の少年。
名はフレール。
しかし彼はヴァスカの姿を見ると、即座に厳戒態勢に入った。
それを制するように、アディは弟の手をそっと下ろす。
「大丈夫だ… 後で説明する」
フレールはこちらを少し睨むようにしていた。
(あれ? あの女の人… )
カヌアに見覚えがあるように見るフレール。
そして、カヌア達はその気配を感じ、小屋の奥へと入る。
「ロキッ!」
ギュッと力一杯抱きしめる。
「カヌア様っ! 無事だったんですね!」
「それはこっちのセリフ! あぁ… 本当に良かった! 怪我はない? ちゃんと食べてる?」
「はい! とても良くしてもらって、この通り元気ですよ、ふふ」
しかし安堵したのも束の間、そこにはロキの姿しかないのに気が付いたカヌア。
「良かっ… ん? あれ? ワイムは?」
「あ、ワイムさんなら… 川で… 」
「えっ!? か、川で!? そんな… ワイム… 」
「ん? あ、いや、ワイムさんなら川でお魚捕ってますよ?」
そう言われ、川へと行くカヌア達。
そこには手慣れたように、川で魚を捕るワイムの姿があった。
鍛え上げられたその身体は、その無数の傷達がこれまでの彼の生活を物語っていた。
カヌアはワイムの方へと走り出す。
「ワイムッ!!」
叫びながら嬉しさのあまり、問答無用で抱きつくカヌア。
「っんな! カ、カヌア様!?」
「あぁ、無事で良かったぁ!! ロキの事もちゃんと守ってくれてたんだね! ありがとね!」
「い、いえ。カヌア様もご無事で良かったです。… それより、離れて下さい。今すぐに」
そう言いながら、カヌアを引き離すワイム。
これまでの事を簡単に話しながら、小屋で待っているアディ達の元へと引き返すカヌア達。
その大量の食料を手に持って。
小屋へ入ると、大量の魚を持ったワイムを見てアディは思った。
(黒い種族の青年… 彼は一体何の… )
カヌア達が川辺へと行っている間、アディは弟のフレールにも幽谷での出来事を話していた。
それでも尚、警戒心が拭えないのか、まだヴァスカを少し警戒して見ている。
しかし、信頼の意を込めて、二人の兄弟はその面をゆっくりと外した。
「改めて紹介する。弟のフレールだ」
カヌアはその顔を見て近づいて言った。
「か… 可愛いっ!!」
「カヌア様… 心の声がだだ漏れです」
ワイムがすかさず言う。
「漏らしてるのよ! 可愛いね! フレールだっけ? 私はカヌア!」
カヌアの生態を初見のフレールは、思いっきし引いていた。
そう、彼のその身は獲物に狙われているかの如く、怯えていた。
少し、兄アディの方へと身をずらす。
「… さて、これからの事を話そう」
アディの言葉に皆が頷く。
「あと半月ほど先に、フルムーンが現れる。それまで、どうする? 俺達は目的を果たしたから、ここで留まっているが… まぁなんだ… 色々恩もある、それまでここに居てもらってもい… 」
「えっ!? いいの!? ありがとう! では遠慮なく!」
間髪入れずに応えるカヌア。
そしてフレールの近くにより更に言う。
「… 遠慮なく! ねっ! ふふ」
(本当に遠慮ないな)
アディは、そう思いながら頷いた。
フレールはというと、今度はロキの元へと身を隠した。
(満月か… その刻は俺も危険だからな… 近くなったら少し距離を置くか… )
ヴァスカは何か勘ぐると、自身の行動も考えていた。
カヌアはワイムの方へと向き、尋ねた。
「ねぇワイム、ウィル達はまだ到着してなさそうかしら?」
「そうですね、度々見回りを兼ねてこの辺りを探索してますが、ウィル様達はまだお見えになられていないようです」
「そう… 入江からは少し距離がありそうだものね」
カヌアが少し心配するような顔をして言う。
「カヌア様! ウィル様ならきっと大丈夫ですよ!」
そんなカヌアを見て、ロキが光る黄色い瞳を真っ直ぐに向ける。
「そうね、ありがとう! 待ってる間も、私たちの出来ることをしましょう!」
するとその会話を聞いていたアディが、ある事が気になり口を開いた。
「先程から気になってきたのだが、カヌアは王族である、そのウィルという者を敬称無しで呼んでいるな? 何か特別な関係なのか?」
「あ、えぇと… うん… まぁその、えへ、えへへへへへへへへ」
「カヌア様、お恥ずかしいのはわかります。しかし、今後もこのような機会もよくございましょう。ここはきちんとご自分の言葉で申すべきかと… 」
「… はい。こ、こ、こんっ… 」
(狐か?)
(ぎゃー恥ずかしすぎるー! 言葉にして言うのヤバし!)
「… 婚約者… でし」
((噛んだ… ))
従者二人はその様に、目を細めて見ていた。
「… そうか」
(冷めてるー)
そう思いながら、カヌアは恥ずかしさのあまり話を変えた。
「それにしても、ロキとフレールって… 」
「あ、はい! 僕達よくよく聞いたら、同じくらいの歳みたいなんです。だから、一緒に話してるととても楽しくて… へへ」
二人は照れるように笑い合う。
(ギャーーーーッ! 可愛すぎる!)
カヌアは史上最恐のニタニタ顔をぶちまけた。
それを呆れたような顔で見ていたヴァスカが、口を開く。
「ではその間、カヌア様達をここにお願いさせてもらおう」
「え? ヴァスカは?」
「私は少し調べたい事がございますので、周りの護衛をしつつ、探索をさせていただきます。それに… 」
と言いながら、フレールの方を見たヴァスカ。
(あぁ、そうか、ヴァスカなりに気を遣っているのかな?)
そう思い、カヌアがまた余計なことをし始めた
ヴァスカの腕を取り、フレールの方へと近づく。
少しビクッとしながらも、その場に留まるようにした彼の足は、まだ少し怯えていた。
「ルールルルルルル… 」
(ん?)
「ルールルルルルル… フレール? ほら、怖くないよ?」
カヌアは、ヴァスカのその腕を低く前に出しながら、フレールに近づいた。
「カヌア様? 何ですか? その奇妙な掛け声は… 」
「しっ! いいからやって!」
(えっ!? やだ! 絶対にやりたくないっ!)
「ほら! ヴァスカ! 仲良くなるチャンスよ! 命令!」
(横暴だ… )
「ル… ルールル… 」
「いい感じいい感じ」
(俺は一体何をやらされているんだ… )
ワイムが物凄く気の毒そうな顔をして、ヴァスカを憐れむように見ていた。
その視線が逆に痛い。
ロキは笑いの蓋が、今にも外れそうだった。
しかし、それを見ていたフレールも沸々と笑いが込み上げてきたのか、ついには吹き出した。
「ふふふふふ! カヌアは面白いね! それを素直にしているヴァスカも面白い! ふふ」
(素直ではない、決して)
フレールの笑みに、何よりカヌアの笑顔が満面に溢れていた。
「へへ! ヴァスカは顔は怖いけど、とってもいいやつよ! 私が保証する! もし、意地悪なことされたら私に言って! めっ! ってするから、ねっ!」
その言葉に、コクリと頷くフレール。
(まぁカヌア様のおかげとしておこう… 一応)
フレールの反応に、ヴァスカは少し胸を撫で下ろした。
(ヴァスカさん… よく耐えましたね… 俺にはわかる、それはあなたの努力ですよ)
そうワイムは思った。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。
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