episode3〜ある種族の生存者〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
「簡単な説明になりますが…ご存知の通り、現在この世は人間で溢れています。これが ‘ユマン族‘ という総称が付いております。つまり人間の事です。このユマン族、彼らは五つの時代に応じて種族が変わりました。よってそれぞれの時代にはそれぞれの種族が存在しており、それがユマン五種族となります。
まず第一の種族ですが、それがドレ族です。彼らは全てのはじまりである種族で、太陽を司っていました。
そして第二の種族、アルジャン族。これは月を司ります。
第三の種族はブロン族。
さらに第四の種族である、デュー族。この種族は風雲児として存在しておりました。
最後にフェール族。この種族がいわゆる現代の私達のことになります。
この五種族がユマン族であることは、文献にも記されている事実ですね」
そう口を開くのは、種族を探しべく、その説明をするヴァスカであった。
「あぁ、これは有名な話だな。しかし順番的にいうと最後のフェール族である以外は、すべて絶滅しているのではないか? つまり俺たち以外の種族は既に… 」
(え? 有名な? 話? え? えぇ?)
それを聞いていたカヌアは、変な汗をかき始めた。
「さすがはウィル様。その通りでございます。確かに滅びた種族もおります。第二のアルジャン族と第三のブロン族のこの二種族が、絶滅しているとの事ですが… 」
カヌアの様子がおかしいことに気が付いたヴァスカは、少し話を止めた。
カヌアの頭の中には、これ以上の情報は入らなかった。
もう一ミリの隙間もない。
というか何分も前から、既にパンク状態であった。
「ん? どうした? … カヌア? 大丈夫か?」
「……… はい」
(え? 本当に大丈夫か?)
カヌアの視点が定まっていないのを心配して、ウィルが声をかける。
(本当にこの方が、ウィル様の婚約者で大丈夫なのか? この聡明なウィル様の… 本当にいいのか… ?)
ヴァスカは、この先が思いやられる気がしてならなかった。
「あ… 大丈夫です… 続けて下さい」
しかし力なく不気味な笑みを浮かべて、カヌアは促した。
「あ、はい… この五種族の中の、はじまりのドレ族と風雲児のデュー族、この二種族に関しては、滅びていない可能性が高いことがわかりました」
「… っ! 誠か!? それが先程、陛下に申していた生き残りの事か?」
「いえ、私が発見した生存者は、少し異なります」
「ん? でもそれはヴァスカが、その生き残りの可能性もあるってことよね?」
「… あ、いや、どうですかね?」
「なんか煮え切らない答えねぇ」
「………… 」
ウィルが疑問を口にする。
「ヴァスカが見つけた種族は、この中にはいない… ? ということは、人間ではない種族を見つけたということか?」
「左様でございます。私が見つけたのは、ユマン族ではありません。先程も申し上げましたように、この世に存在する種は、人間だけではないのです。生きるもの全てがあってこその、この世の摂理。ここからが世にあまり知られていない事実。それでは他の種族についてお話し致しましょう」
カヌア達は、頭の中の準備をした。
「私が現在わかっている種族は、先程も申し上げたとおり、五種です。一つ目は、我々ユマン族です。もちろん現代の人々は滅びていない。そのうちのドレ族とデュー族は ‘可能性が高い‘ に過ぎませんが…
そして二つ目は、シレーヌ族。三つ目は、ルー族。
四つ目は、アンセクト族となります」
「意外といるな? いや、この世の生物達となると、少ない方か… 確かにユマン族以外は、聞いた事がない… そして、この中にその生き残りがいると?」
「はい。それはシレーヌ族と、ルー族の一名ずつです。その者というのは、御二方もよく知るお方です。特にカヌア様の… 」
「え? 私の知り合い? それは… 誰?」
カヌアが生唾を飲む。
「シレーヌ族の一人、地下街の住民である、ノゥリア・シアン・オミロス。そしてもう一人、ルー族であるのは、リヴール家に仕えております少年、ロキです」
「「……………っ」」
それを聞いた二人は、驚愕のあまりに声が出なかった。
二人の声が聞こえてこなかったので、ヴァスカはもう一度口を開いた。
「ん? あ、えぇともう一度申し上げ… 」
「ぇぇええええええっ!? 嘘でしょっ!? ノゥリアとロッ、ロキが!? 嘘嘘嘘嘘っ!!」
カヌアが突然絶叫しながら、渾身の力を込めてヴァスカの肩を揺らした。
彼の首はもげそうだった。
(なん… って力だ… 首が持ってか… )
「カヌア… 落ち着け… ヴァスカが、虫の息寸前だ」
ウィルのその言葉で、カヌアの我が返ってきた。
「ごごごごごごめんっ! 大丈夫!?」
そう言ってカヌアは、彼の背中をさすった。
「ゔぅ… はい、何とか… 」
そう言うヴァスカの目は、焦点が定まっていなかった。
「それにしても… 驚いたな。まさかノゥリアとロキが、各種族の生き残りだったなんて… 」
「あの、すいません。その二人は、何の種族なんですか?」
「ノゥリア殿がシレーヌ族で、ロキ殿がルー族です」
「えぇと、それは ‘何の‘ 種族? えへへ」
(あ、語彙の問題か… )
「カヌア、ノゥリアが人魚であるシレーヌ族で、ロキが狼であるルー族だ」
今度はウィルが、丁寧に解説してくれた。
「え? 人魚と狼… ?」
再び、カヌアの思考は停止した。
しかしすぐに我に返ったと思ったら、今度はぶつぶつと何かを呟き始めた。
「本当に? 人魚と、狼… 人間? 人狼ってこと? え? でも二人ともそんな素振り、微塵も感じなかったわよ? … いや待てよ… ノゥリアは弓技場と地下でしか会った事ないから、まだそんなにわからないけど、ロキは… ? ロキは、鼻が効く… あの黄色の飴を言い当てた時といい… それに何より… あの可愛い子犬のような笑顔… っ!」
(子犬のような笑顔は、関係ないのでは?)
カヌアの独り言を、終始聞いていたヴァスカはそう思った。
「ヴァスカ、その二人は自分が、その生き残りだと言うことを知っているのか?」
ウィルの問いに、応えるヴァスカ。
「いえ、おそらくご存じないかと… それに私も知らせておりませんので」
「そうか… カヌアどうする? これから二人の元へと…ん? カヌア?」
何かを考え込むようにしていたカヌアの顔を、覗き込んだウィル。
「そうですね… 少し、考えさせて下さい」
「わかった」
(珍しいな? てっきりすぐにでも、伝えに行くかと思ったが… )
ヴァスカが部屋を後にした後、ウィルはずっと気になっていたことをカヌアに聞いた。
「カヌア… 先程ヴァスカに何を言ったんだ? その… 耳元で… 」
「あぁフラフィーについてです。他の者に聞かれてはと思ったので。でもカブラ様も何だか察してるようでしたから、あまり意味なかったかもしれなかったですね」
「……… 」
「ん? えぇと、他にも何か… ?」
「… 何だか、ヴァスカには砕けた喋り方だななと… 」
「え? そ、そうですか? ほら、やはり身分の違いってものが… 」
カヌアのその言葉に、すかさず反応したウィル。
「おかしいな? カヌアは王太子妃になるんだろ? それなら、それ相応に…… 」
(ん?)
ウィルは一瞬、何やら考えるようにして、止まった。
「それにだ、この間から練習してるはずのその… 名で呼ぶと言うのが、全然進んでない気が… いや、夜の時だけは呼んでくれてるが… その違いは? ん?」
そう詰め寄るウィル。
カヌアの顎に手を触れ、今にも口づけしそうな距離だった。
(なっんで… 今、夜の話なんか… )
「よっ… ! よ、夜の時は… その…… わ、わかりましたっ! 頑張りますっ! ウィ… ルっ」
「はい! もう一度っ!」
満面の笑みで促すウィル。
「ウィル… 」
「ふふ、よろしい」
と言って満足そうに、ニコッと笑う。
カヌアは頬を赤く染めながらも、話を戻した。
「それにしても、三人ともフラフィーが見えなかったから、集中して話せましたね! 何だか不思議な感じ」
「そうだな… 確かに」
「あの… ヴァスカってどのような人物なんですか?」
「そうだな… あまり人とつるまないな。よく一人で居るのを見かける。行動しやすいんだろうな… でも」
「でも?」
「何だか彼は、自ら人との関わりを持たないようにしている気がする。たまに思い詰めたように… 」
「ふふ、よく見てらっしゃるんですね。優しい… そうだ! ウィル様、ノゥリアとロキ以外のもう一つの種族なのですが… 」
「………… 」
(あれ? 聞こえなかったのかな?)
「ウィル様? あと一つの種… 」
(ん? 何だ? 反応がないな… はっ!)
「ウィル… ?」
「なんだ? カヌア?」
と満面の笑みで振り向くウィル。
(… そういうこと… そっちがその気なら… )
「あのね… 教えて欲しいんだけど、ウィル」
カヌアは、その袖を少し引っ張りながら言う。
その声色と甘えたような表情に、ウィルの顔がみるみるうちに真っ赤になった。
「反則だ… 急に飛び越えすぎだろ… 」
「ん? ウィルが言ったのよ? もっと砕けた接し方にして欲しいって。ね?」
少し意地悪をしたくなったカヌアが、上目遣いで攻める。
顔を真っ赤にしたまま、咳払いをしてウィルが口を開いた。
「ゔぅん… で? 何かな? もう一つの種族が?」
(ふふ、頑張って耐えてる)
「ヴァスカが言ってた、五種のうちの一つが何族かわからなくて… アンセクト族って?」
「あぁ、虫だ。もっと言うと昆虫か?」
「こ… こんちゅう… !? 出来ればお会いしたくない所存ですな… ちょっと苦手だなぁ… 虫… 喋るのかしら… まさかっ! ヴァスカがその昆虫族って事は… !?」
「いや… わからない…… うん、可能性はある… のかもしれないが… でも昆虫っぽくないよな? あいつ… 」
「そうですよね… 羽根… とかも無さそうでしたし… 触覚… とかも… 」
二人の頭の中には、ある創造物が浮かんでいた。
「「………… 」」
カヌア達は黙り込んだ。
そして二人は顔を合わせて気分を変えた。
「よしっ! これから少し走りにいくか!」
「そうしましょう!! アルとヴェガ! 久しぶりに! ふふふふふ」
二人は考えるのをやめた。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。
また、心ばかりの評価などして頂けると、励みになります。何卒よろしくお願いします。




