episode29〜月華山〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
(風が気持ち良い〜こんな世界があったなんて… 前世なら絶対にできなかったわ… ドラゴンの背中に乗るなんて)
そう、カヌアは今、トゥバンの背に乗っていた。
狼の幽谷にて、面を被った謎の男、その名もアディティア。
彼との和解によって、コクシネル達と共に、月華山へと向かっていたのだ。
コクシネル達も自身の羽根では飛べないような高さから、下界を見渡す。
あちらこちらで感嘆の声が聞こえてくる。
大きな身体のゾルは、もっとすごかった。
大粒の涙を流し、感動のあまり咽び泣いている。
そのせいで折角の視界も見えにくくなっていた。
それを見た仲間達が笑顔で見守る。
生まれつきなのか、自身の羽根では飛べないという事を周りもわかっていた。
数時間ほどで、一際目立つ山のような形のものが遠くに見えた。
「え? あれは何? ここからでもわかるくらいにわかるわ。とてつもなく大きい… ピンク色した山… よね?」
カヌアが疑問を投げかける。
「あれが目的地の月華山だ」
アディが見慣れたように、そう言う。
「とても綺麗… 目立つからわかりやすいわね。ウィル達はもう着いてるかしら?」
「ん? ウィル?」
アディが聞き慣れない名の登場により、聞き返した。
「うん… ここから南の方にある国、アルデリアの第一王子よ」
「王族? そのアルデリアの殿下がなぜ、月華山に?」
「今探しているという種族は、ルー族やアンセクト族だけじゃないの。出来れば、生存している限りの種族を、全て探し出したいんだけど… 今わかってるのは数種。私達は、それを二手に分かれて探しているの。ウィル達はシレーヌ族のいるという、ある入り江の方に向かっているわ」
(種族を探している? 何のためにだ? もしかして… いや、まさかな… )
「そうか… でも何故、王族自ら足を運んでいるんだ?」
「あ、えぇ、うーん… 色々あって」
(ハルスの事、ライ達は知っていた… もしかしてアディも知ってるのか?)
カヌアは正直に聞くという選択をした。
アディへと少し近づき尋ねた。
「ねぇ… ’ハルス‘ という名を聞いたことはある?」
「何故その名を… っ!? まさかお前… 」
「やっぱり知ってるのね?」
「お前… ハルス達が今何処に居るのか、知っているのか!?」
(うーむ、どこまで話そう… あれ? でもライみたいに私がラジェットって、気付いてない?)
「えと、なんとなぁくあっちの方?」
カヌアはヴァスカがいる方を指さしながら、遠くを見た。
「… ? 近くにいるとしたら話をしたい。彼らならおそらく… アレも」
「アレ?」
「… いや、まだいい。時が来たら話す」
「… ? そう?」
(何だろ? じゃあ私もその時とやらが来たら話すか)
「とりあえず近くまで行くが… 今は中には入れないぞ?」
「えっ!? 何でっ!?」
「月華山はある条件下の時にしか開かない」
「開かない? 扉がなんかあるの? 山ってどこからでも入れるんじゃないの?」
「どこからでもは、入れる」
「ん? ん?? どゆこと?」
「フルムーンの時にしか、それは開かれない」
(何を言っているのか全くわからんっ)
するとライがゾルの後方から、顔をひょっこりと出して、何か言いたげな顔をしていた。
山の麓まで来ると、全員がトゥバンから降りた。
「山に入れないとなると、月華蝶様にも会えないのよね? 泉にも行けないし… 困ったわね… 何より… 」
「え? 月華蝶様なら目の前にいるよ?」
「ん?」
カヌアは後方を振り向いた。
しかし、その目には鮮やかなピンク色の山が佇むだけだった。
首を傾げながら、ライを再び見るカヌア。
ライがカヌアの後方を指をさしながら、見上げた。
「え? ライ? 何を言っ… 」
「カヌア、今背にしているお方こそが、ロクサーヌ女王様だよ」
「… えっ!!? こ、これが!? え? でも月華山… 山って… 」
「月華山でもあるし、月華蝶様でもあるんだよ。山を覆っているのがロクサーヌ様なんだ」
(でかっ!! いや、大きいとは確かに言ってたけど… それにしてもデカすぎでしょ!?)
カヌアは驚愕のあまり言葉を失った。
それを代弁するかのように、耳元に顔を寄せたアディ。
「ふ… 尻込みしたのか? 驚きのあまり… 」
カヌアは身を離して慌てるように、目を見開いた。
「月華蝶はフルムーンの時のみ、その姿を現す。そうだな、あと十数日ほどか? それまでは中に入れないぞ? しかも、運悪く天候によって月が姿を現さなかったら、またひと月待たなければならない」
「なんてこったい… 」
「とりあえず、俺は弟のところへ行く。お前も… っ!?」
カヌアがアディの両肩をキツく握る。
「ロキ! ワイム!! 二人は月華山に居るんじゃないの!?」
「い、いや… この近くの… 」
「早く連れてって!!」
カヌアは力を制御するのも忘れ、力一杯アディの両肩を掴んだまま圧をかけた。
(力強っ… こいつ、本当にユマンの民か?)
「あ… あぁ、わかってる。最初からそのつもりだ… 」
「早くっ!」
カヌアがアディに詰め寄っていると、フワフワと浮かびながら、可愛いコクシネルが近づいてきた。
「カヌア! 君達は、これから仲間に会いに行くんだね?」
二人の会話を聞いていたライが、そう話しかけてきた。
「うん、えと、皆はどうする?」
「僕達は、久しぶりにこの辺を探索してみるよ! 仲間がもしかしたら、この辺にまだいるかもしれないしね!」
「そ? そしたら、満月に日にこの場所で落ち合いましょ?」
「うん! 月が満ちるその日に! またここで!」
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。
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