episode2〜種族〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
王座の間を後にし、ウィルの自室へと向かったカヌア達。
一度話の整理をしようと思ったその時、部屋にヴァスカが訪ねて来た。
「ウィル様、先程は急な事を申し上げてしまい、失礼致しました。改めまして、わたくしヴァスカ・クラー・テーリスと申します。カヌアーリ様、以前何度かお会いしましたね? その時は大変なご無礼を… 」
と言ってヴァスカは、丁寧にお辞儀をした。
「っ… はぁ、カヌアでいいわ。確かにびっくりしたわ。いんや! 超絶驚いた! まさかこちら側の人間だったなんて… でも、良かった。あなた、かなり強そうだもの。味方だと心強いし。それにフラフィーが視えなかったのは、そういう事だったのね。 ‘同じ仲間‘ だったから… 」
「フラフィー?」
「あぁ…えぇと…ほら…」
近くにカブラがいるので、あまり大きい声で言えない。
カヌアはヴァスカに近づき、そっと耳打ちをした。
「人の横にふわふわと飛んでる妖精… あなたにもそれが視えてるわよね? どんな風に視えてるの?」
その行動に、ウィルは少し怪訝な顔をしたが、顔色変えずに応える。
「あ、はい。視えております。その話は、後ほどにでも… 」
しかしそんなカブラは言わずもがな、とても優秀な側近である。
「カヌア様、大丈夫ですよ… 既に承知の上でございますので」
「え!? いつから?」
その言葉に、ただニコッと笑ってだけ答えるカブラ。
「それで? 先程の話は誠なのか? もう少し詳しく聞かせてもらおうか?」
ウィルが少しムッとしながら、ヴァスカに問う。
(ん? なんか怒ってる?)
カヌアはそう思ったが、ウィルのその言葉にヴァスカは改まって話し始めた。
「はい。先ほど申し上げた事は、すべて誠の事でございます。しかし、まだわかっている事は、ごく僅かです。それで、その種族達を探すのを御二方に、ご協力願いたいのです」
「その種族 ‘達‘ って言うのが、少し引っかかるのだが… 」
「はい… さすがはウィル様、鋭いですね。探している種族は、一種ではございません。今わかっているだけでも五種。おそらくその他にも存在するかと」
(結構いるんだな… )
「そんなに居るのか? その種族を探してどうするんだ? 先程は、 ’取り戻す’ と申しておったな? 何か奪われたものでもあるのか? 一体何の目的で… 」
「ご存知の通り、私達三人は ’例の力’ を持っています。しかしそれは、この国の民である ‘人間の中’ での話でございます。この国は、生き物を含めての ‘世界‘ になります。その生き物の、各々の頂に立つ種族がいるのです。それが何百年か前には多く存在しておりました。しかし今はその影もない。いやあるのかもしれませんが、影に隠れて出てこない。まるで何かを恐れているかのように… 」
(一体その種族達に何が… )
ヴァスカは続ける。
「そして種族によっては、既に滅びてしまっている可能性さえもございます。しかし、私の独自の調査では、ある種族の生き残りが数名いると判明しました。その者達の力があれば、世界の均衡を保つ事ができます。それを ’取り戻す’ のが目的です」
「ん? 今も均衡が崩れているとは、思えないのだが?」
「いえ… 少しずつですが、綻びが見え始めております。いや、それは既に百年前から…近日では何ヶ月か前の、トゥバンの遺跡での出来事を覚えておられますでしょうか?」
(… クーロス叔父様)
二人は深く頷いた。
時間もさほど経ってはいないこともあるが、その出来事はこの先何年経っても忘れられないほどの衝撃だった。
「それに民達が地下への入り口を塞いでいた時、黒くなっていたのを見ておられませんか? その例の… フラフィー… が」
ヴァスカのその言葉に、ウィルとカヌアは顔を合わせた。
しかし、カヌアが不思議な顔をして言う。
「でもあれは、黒の女神のヘィラさんが作り出した黄色の飴のせいでしょう?」
「ん? いえ、黒の女神はその飴によって、入り口を塞ぐように操っただけです。それだけでは、人の心は黒くなったりしません。それに元々あれは、トゥバンのために作ったはずのものですので」
ヴァスカの応えに、更に首を傾げ始めるカヌア。
「え? なら何で… ?」
「…… それとサルミニア国殿下達のフラフィーの件もです。社交界の際に黒くなったのを覚えておられませんか?」
(何で? その場にいなかったはずなのに…知ってるの? あ、そういえば… )
カヌアは何かを思い出したようだったが、その事はとりあえず後で聞こうと思った。
「そうなのか? カヌア?」
「確かに… あの時、黒くなってました。しかし、和解した後すぐに白く戻ったので」
「なぜサルミニアの殿下達は、何もされてないのに黒くなったのでしょう?」
「何もされてない?」
「はい。黄色のあの飴を舐めてもないのに」
「… っ! 確かに… 」
「心の黒さに飴は関係ありません。私もまだ確信は持てませんが、おそらく、ある条件が関係しているかと… 」
「ある条件って… ?」
「それは不安や恨み、憎悪、そういったことです。誰しもが持ち得るモノ… しかしその人の心を蝕む何かが起こっているのではないでしょうか? そのせいで、様々な種族達に異変が起こった… のではないかと… 」
(すごい推察力だな… ここまで調べ上げるのにどのくらいかかった…? こいつ何者?)
カヌアは少しの警戒心と驚きが相まった、何ともいえない感情になった。
「そうか… しかし、人の心はどうやっても、憎しみを抑える事ができない。それをどうやって止めるっていうんだ?」
「仰るとおりでございます。その憎しみを憎悪に変えるまでの抑制力が、徐々に失われているように感じます。その原因を突き止めるためにも、各種族達を探す必要があるかと… 」
(むむ… 難しいな… )
「そうか… では、とりあえずその種族達を集めれば、世界の均衡を整える事ができるんだな? でもどうやって探すんだ?」
「それは… 申し訳ございません。私にもまだすべてはわかり兼ねます。これからその者達を探し、見つけ出します。そして、その原因や手段を突き止めていきます。殿下… ご婚約したばかりなのは重々承知です。しかし、これは御二方にしかお願いできません… ご協力を賜りませんでしょうか?」
そのヴァスカの強い眼差しは、何よりも世界を見据えていた。
少し眼の色が、紅く光ったように見えたカヌア。
(ん? なんだ? 今一瞬だけ… )
しかし、ウィルはその言葉に間も開けずに応えた。
「この世界に関わる事はこの国に関わる事。そういうことであれば、もちろん協力する。カヌアは… それで大丈夫か?」
「もちろんですっ! あの、一つ宜しいでしょうか?」
「ん? 何だ?」
カヌアはヴァスカに向き直って言った。
「ねぇ… さっき、陛下から言われてたわよね? あなたと ‘同じ種族か‘ って… てことはあなた自身もその ‘滅びゆく種族‘ って事… なの?」
「はい、その通りでございます。私はギリギリ滅びていない種族の一人です」
「そうは見えないわね。何の種族なの?」
「わかりません」
「え? わからない… ? って自分の… 」
「はい。わかりません、全く」
(一体どういうこと? こいつ… じゃあ何で… あぁ頭が混乱してきた)
「つまりわかっているうちの、その中にないのです。私はそのどれにも当てはまらない。一体この身体が何の部類なのか、さっぱりです!」
ヴァスカは言い切った。
「そう… なの… か? でも少しは手掛かりのようなものはあるんだよね? ほら、特徴とか… 」
「そうですねぇ。太陽… 満月… 食事… 睡眠… 」
(クイズかよ)
「さっぱりわからん… 」
カヌアは本音が漏れていた。
「とりあえず、ヴァスカの種族はのちに考えるとして、今わかっている種族とその生き残りを把握したい。説明してくれヴァスカ」
「御意。まず、この世の人間の種族についてです。文献にも何種か載っているものもあるので、既に知っている種もあるかもしれませんが… 」
(文献… ? 人間は ’人間’ だけじゃないのか? あ、黒の女神と呼ばれていたヘィラさんは、何かの種族っぽかったけど… )
カヌアは自分に質問が来ないように、祈る生徒のような心情だった。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
何かお気づきの点があれば、いつでもメッセージお待ちしております。
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