episode17〜アンセクト族〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
カヌアは話がしたいと、コクシネル族のライにお願いした。
ライが仲間に合図を送る。
すると、周りに輝く無数のコクシネル達が、自身の光を使って、ある場所へと導いてくれた。
全ての光がそこへ集結し、ランタンが無くとも明るい場所ができた。
「素敵! なんて美しいの! それに… 団結力がすごい! あなた達にもっと早く出会いたかったわ!」
カヌアは褒めちぎった。
本人は単に口から思った事が出ただけだったが、彼らにはそれがとても嬉しかったのだ。
彼らの誇りに触れたのである。
少し段差のある石段へと、カヌアを案内してあげるコクシネル達。
そんな彼らを横目に、更に口から出る。
「可愛いね、君達」
うん、ちょっと怖い。
しかし、彼らはまだカヌアの独特な怖さを知らない。
「改めてご挨拶するね! 僕はアンセクト族のコクシネル類のライ」
「ライ、よろしくね! ほんと可愛いね!」
「え? あ、うん? ありがとう? えと、君達がここに来たのは、何か目的があってのことだよね?」
「そうなの、私達、最初はルー族のいる谷を探してたんだけど… ここまで一緒に来た仲間と、途中で逸れちゃって… ねぇ、君達、十歳くらいの男の子と、色黒の目つきの悪い大きな男の子見なかった?」
(え? 男の… 子? ワ、ワイムが?)
ヴァスカは沸々と来るその笑いを、堪えるのに自身の唇を少しばかり噛んだ。
何も知らないライが応える。
「男の子二人? 見てないかな。でもここは君達の探しているルー族も住んで居た谷だよ」
「住んで… 居た?」
「うん… 今はもう居ないから… 」
ライは悲しそうに俯く。
「えっ!? 居ない!? それってやっぱり滅び… 」
「…… 」
ライの小さな小さな瞳から、一筋の涙が流れる。
その涙を止めるように、カヌアは言った。
「… びてない… 滅びてない、ルー族の生き残りがいるのよ! ライ!」
「え… ? どういう事?」
「今、私達が探してるって言ってた男の子の一人に、ルー族の生き残りがいるの! だから、私達は真実とその仲間を探しにここまで来た! でも途中で変な奴らに襲われて、逸れちゃったんだけど… だからっ… 」
「ほん… とに? 滅びてない? 生きてるの!? 良かっ… 良かったぁぁあ! うわぁぁあん!」
ライが嬉しく泣き喚く中、周りに居たコクシネル達も一斉に泣き、そして喜んだ。
「ふふ、それと… あなた達もね」
「うっ… ひっぐ… 僕達?」
「そう、私達はここから南東にあるアルデリア国から来たの。君達、多種族を探しにね。アクセント族もその一つよ。だから、ここであなた達に会えたのはとても幸運で、嬉しかった! こんなにも生き残りの子達が居たなんて!」
カヌアは周りを見渡しながら言う。
「そうだったんだ! アルデリア国からか… 光の国だね! でも… 僕達は、まだまだこんなもんじゃないよ?」
「え? それってどういう意味?」
「僕達アクセント族は、二つの種類に分かれるんだ。一つは僕達、コクシネル。もう一つはエルフ。性別はバラバラだけど、どのように交配しても、どちらが産まれるかはわからない」
「え? エルフって妖精… よね? 昆虫類に入るの?」
「そうだね。見た目は確かに妖精。だけど、その血と、羽根はアクセント族に属するんだ。とても… 綺麗だよ」
「エルフ… 会いたい… 会いたいわっ! 今どこに居るの? この場には… 居ないみたいだけど」
「… 今、月華山に居ると思うけど… 長い間会えてないから… 」
「月華山? そこって月華の泉がある所かしら?」
「うん、そうだよ! ここから山脈を越えた、更に北西にあるんだ。月華の泉に行きたいの?」
(月華の泉… ウィルとの待ち合わせの場所… 山の中にあるのか)
カヌアはウィルと別れ、再会を誓い合った出発の日を、一瞬思い出した。
「そうなの、二手に分かれてる仲間と、そこで落ち合うって約束してるから」
「そうなんだ。月華の泉…僕達も一緒に行けたらいいんだけど… 」
「えっ! 一緒に行こうよ! ライ達が居てくれれば、私達もとっても心強い! それに… そのエルフの家族にも、長い間会えてないんでしょ? それってどのくらいになるの?」
「最後に会ったのは、百年くらい前だったかな… 」
「えっ!!? ひゃ、百年っ!? 何でそんな長い間!? 会いに行こうとか、来てくれたりとかは? えっ!? ちょっと待って! その前にあなた達一体いくつなっ… 」
カヌアが自身の常識の範疇を越えてしまったので、ヴァスカがすかさずフォローに入った。
「カヌア様、この世には様々な種族がいます。様々な形態をしていて、生き方、考え方もそれぞれ違うのです。そして各々与えられた寿命を持っています。ユマン族の常識に捉われてはなりません」
(与えられた?)
「確かに… その通りだわ。ヴァスカ、ありがとう」
カヌアは真っ直ぐな目をして、ヴァスカへと礼を言った。
「え? あ、いえ… 」
(こんな事で、礼を言われるとは…)
するとライが俯いた顔を少し上げ、重々しく口を開く。
「… 行けないんだ」
「行けない?」
「そう、行きたくても… この深い谷が… 奴がそうさせてくれないから」
「この谷に、何か居るの? 奴って? 本当にルー族は居ない?」
「ルー族は居ない… でも… それを待つ者が居るんだ」
「アンセクト族の他に? 待つ者… ?」
「そう… それは… 」
すると、その場にいたコクシネル達が一斉に震え出した。
その光も弱々しくなっていく。
「え… ? ちょっ! 何っ!? 大丈夫!? 落ちっ、お、お、落ち着いて! ね! ね! 落ちっ落ち着っ…」
動揺の連鎖に引き摺られていた、カヌアの肩を優しい手が包む。
「カヌア様… 落ち着いて下さい。あなたまで引き摺られてどうするんですか?」
「はい… すみません… でもっ… この子達がこんなに怯えてるなんて… 一体何が… 」
「先程、コクシネル達は、ルー族を待つ者と仰っておりました。恐らく、人… もしくは何らかの種族。私に心当たりがあります」
「コクシネル達、落ち着きなさい。我々は、それなりに訓練を重ねて来た。この、カヌア様も、アルデリア国… いや、その近隣の国の中でも一、二を争うほどの腕の持ち主。だから案ずるな… 大丈夫だから」
(えっ!!? ちょっ… 確かに… 武道大会では二位だったけど、そんな大袈裟に言わなくても… あれ? でもこの子達何だか… )
しかし、コクシネル達はヴァスカのその言葉で落ち着きを取り戻し、少し安堵した表情になった。
「ほっ、ほんとっ!!? カヌアさんが!? すごい! それならきっと… 」
「ライ、俺達がここへくる途中、何者かに襲撃され、それによって共に居たルー族の子と逸れたと言ったのを覚えているか?」
「あ、うん… 」
「その者は、狼の面を被っていた。人数は二人以上。一人はおそらく男。人間のような容姿をしていた。この者に心当たりは? 先程言っていたルー族を待つ者… そして、君達をそんなにも脅かす存在… それがこの面を被った者なんじゃないのか?」
その言葉に再び、コクシネル達が震え出す。
「大丈夫だ。俺達がついている。ゆっくりでいい、話してくれ」
ライはゆっくり頷くと、その小さな身体から声を絞り出した。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
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