episode16〜光るモノの正体〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
カヌアの奇行によって、滝の流れが止まり、そこから現れた先の見えない谷。
二人は今、その入り口に立っていた。
「あぁ… 近くに来るとバカでかいわね… これ、こんな暗くてちゃんと進めるの? 大丈夫? 怖… くは無いけど… スン… 」
(ん?)
「やっぱり灯りがないと… ね、ほら、ね、スンスン」
(また髪の匂い嗅いでる)
「あ、そういえばカヌア様、先ほど、水中で気になる物を発見しました。これです… 」
そう言い、ヴァスカはカヌアにソレを見せた。
しかし、カヌアはソレを観た瞬間、身体中の細胞までもが絶叫していた。
飛び出たかもしれない眼球を引っ込めて言う。
「ギャアッ!! 何これ? 何!? 何何!?」
「…… えと、何かの身代わりの類? とか… ?」
「いやいやいや! これ! 人形でしょ!? どう見ても! 何でこんなドロドロなの? ずっと水の中にあったの? それにしても… 」
「そうですね、少し藻が付着してますね。一応拭き取ったのですが… 」
ヴァスカは優しい手つきで、その人形らしき物を撫でた。
「え? これ、どうするの?」
「えと… 一緒に連れ… 」
「元の場所に返して来なさい」
カヌアは子犬を拾った子供に、諭すように言う。
「あ、いや、でもあんな所にあるのは不自然です。何かの手掛かりかと… それに… 」
「… はぁ、確かにまた薄暗い水の底に戻すのは… 可哀想ね」
「え? あ、はい!」
「ヴァスカが… 面倒見なさいね、ちゃんと」
カヌアの謎の親心が垣間見えた。
ヴァスカは嬉しそうに頷くと、その人形らしき物をじっと見つめた。
(可愛い… )
ヴァスカの可愛いの概念は少し… いや、だいぶ他の者より広かった。
(ふふ、意外だな、ヴァスカ)
そしてカヌアは気を取り直して、再度先の見えない谷の方へと向いて言った。
「じゃぁ! 入るわよ! 入るっ… わよ?」
「えぇ、参りましょう! あ、不安でしたら手でも繋いで差し上げましょうか?」
「いっいらない!」
「そうですか?」
ヴァスカのその揶揄うような発言を、突っぱねたカヌア。
二人は意を決して、その谷へと足を踏み入れた。
ヴァスカのランタンの灯りを頼りに、暗い谷を進む。
後ろを振り返ると、入り口の細い光は、既に針のように小さくなっていた。
どのくらい進んだであろうか。
何の手掛かりも、距離感もわからない。
真っ暗な闇を進むその足は、進んでいるのかも、わからない感覚に陥っていた。
(あれ? この感じ… 何だか… あの時の… )
カヌアは、少しふらついた。
そう、あの時の現実のような夢を見た時だ。
王宮地下からの帰り道に見たあの光景。
気配のない王宮。
クロノスの塔で、蛇から地下への鍵の一部を受け取った後、辺りが一気に暗闇へと化した時だ。
その時の光景を今、急に思い出したのだ。
「カヌア様!? 体調がよろしくないのですか!?」
咄嗟に、カヌアの肩を支えたヴァスカ。
「あ… ううん、大丈夫、ちょっと思い出した事があって… 大丈夫! 大丈夫よ! この場にいる方が不安だわ、進みましょう!」
「そうですか… しかし何かあれば、すぐに仰って下さい」
しかし、それから幾許か進むと、少し開けた場所に出た。
(あれ? 何だろ? 風の流れが変わった? 少し広い… ような)
すると、足を止めたヴァスカは、少し驚いたような声色で呟いた。
「カヌア様… これは… 上… いや… 一面が… 」
カヌアはその声の言うように、ヴァスカの前方、上を見た。
「… っ! すごい… 何これ… まるで… 」
そう、そこには四方八方と、空間一面に無数の光の粒が散りばめられていた。
(星空の中にいるみたい… あぁ、なんて素敵なの… )
カヌアが思わず、ヴァスカより前に出る。
それはまるで、星空の中を歩いているかのようだった。
しかし、その歩こうとしているその部分の光達が、道を作るかのように捌けた。
「え? 動いた? これって、王宮地下道の時に見たやつと同じじゃない?」
声を顰めてカヌアは言う。
「そうですね… まさかここに ’居た’ なんて」
「え? 居た? ヴァスカ、これが何か知ってるの? … これは蓄光石に似てるけど、生き物? 蛍… とか?」
(でも、何故こんな所に蛍? それも無数の… )
「ホタル? いや、この者たちはおそらく… アンセクト族かと」
「えぇっ!? … あ… 」
カヌアが驚いたあまり、大きな声を上げてしまった。
そのせいで、周りの光達は一斉に蠢き始める。
(昆虫族? まさかここで会えるなんて!)
カヌアはゆっくりと近づきながら、腰を低くした。
「ご、ごめん… 驚かしちゃったよね… えと… 」
(何て声をかけたらいいの? 私達の言葉通じるのかしら?)
すると、カヌアの耳元から小さな声が聞こえた。
「そう、僕達はコクシネル、ようこそルーの幽谷へ、ラジェット」
「え… 」
カヌアはその声がする、自身の左肩を見た。
すると、そこには背中と臀部が光るてんとう虫がいた。
(かっ! 可愛い!!)
「あ、えと、こんにちは! 驚かせてごめんなさい! 私達、今… ん? えっ!? 今! ラジェットって言った!? えっ!?」
「うん! だってそうでしょ? そして、そこに居るのがスラーだね? ふふ、二人が揃うなんて珍しいね。また姿を変えて… でも僕達にはわかる… あれ? ハルス様のお姿が見えないけど?」
(ぇぇええ!? え? どゆこと!? 何で知ってるの!?)
カヌアの頭が混乱の渦に陥っていると、ヴァスカが口を開いた。
「カヌア様… 彼らユマン族以外の種族は、かなり敏感です。それに歴史も深い。私達のことなど承知の上かと… 」
「そうなの? お見通しなの?」
ヴァスカは軽く頷くと、そのてんとう虫の方へと話しかける。
「… アンセクト族の、コクシネルに属する者達とお見受けする」
「うん、そうだよ。名前はライ。君達の今の名は?」
「こちらがカヌアーリ様で、私がヴァスカだ」
(ヴァスカ? あれ? 以前もそのような名前だったような… )
そう思いながらも、ライは二人を見る。
「カヌアでいいわよ? ライ… 素敵な輝きね。色々聞きたいことがあるんだけど… 」
ライはニコッと笑うと、その身体を光らせ合図を送った。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
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