episode13〜前進の心〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
カヌアは、その場で立ち尽くすしかなかった。
何者かに投げられた謎の煙によって、ロキとワイムを見失ってしまったのだ。
どんなに叫ぼうが、辺りを探そうが、二人の姿も気配すらもしない。
「ヤバい… どうしよう… どうしよう… 連れ去られた?ヴァスカ! どうしよう!! 二人はどこに… っ」
「カヌア様、落ち着いて下さい! 二人のことは心配ではありますが… ワイムが必ずついてるはず… カヌア様を連れ出す際、一瞬ですが、ワイムがテントの中からロキを抱えて出るのを見ました。おそらく… いや、必ず二人は一緒にいます」
「… そ… うなの? なら大丈… っじゃあない! だったら二人はどこに行ったの!? 二人ごと連れ去られた!? もしあの大きなワイムを連れ去ったのなら、大男に違いないわ! あぁぁぁあーー! 心配過ぎるぅ!! 許せないっ! 絶対にこの手で取り返してみせるっ!!」
いつもながら男前な台詞である。
カヌアはその心配を、勇敢にも闘志へと変えた。
「カヌア様、おわかりだとは思いますが… 決め事の手順を踏みます」
「うん、わかってる… 」
カヌアはヴァスカのその言葉に、重く頷いた。
(一日だ。約束通り… 一日だけ)
カヌアは祈る気持ちと、腹立たしい気持ちが混ざり合って、獣のようにテントの周りをウロウロしていた。
カヌア達はケーフ山脈に着いたすぐの道のりで、お互いが逸れた際の手順を決めていた。
それは…
『もし万が一、逸れた場合の事を決めておきましょう』
そう言う、ワイムの言葉を思い出す。
『大きく分けて、ロキが居る方と居ない方です』
『ロキが… なの?』
カヌアはその持つ意味を聞いた。
『はい。ロキは鼻が効くので、嗅ぎ分けて必ず私達を探してくれます。ロキが居ない方は、逸れたその場から動かない事。もちろん、身の危険を案じて、安全な場所に少し移動するのは可能とします。しかし、期限を決めます。一日です。一日その場で待っていても、合流できなかった場合、それぞれ目的の道を進みます』
『合流出来ない時って… ?』
(かなり遠くまで逸れた場合って事かな?)
『はい、それは… 例えばの話ですが、ロキの鼻が何らかの影響で効かなくなってしまった場合、もしくは何か行けない事象が起きて、その場から動けなくなった場合… です』
『ん? なんか煮え切らない言い方ね?』
(フラフィーが変… )
カヌアが目を細めて聞いた。
するとヴァスカが口を開いた。
『カヌア様、万が一ですが、ロキが重傷を負った場合、もしくは命を落とした場合も、それに当てはまります』
ヴァスカが淡々と応える。
『んなっ!! そんな事になる前に、あんた達がロキの事、何が何でも絶っ対に守りなさいよ!!』
カヌアは一気に殺気立ち、ヴァスカの胸ぐらを掴んだ。
『ゔ… ぐ… あ、はい、それ… は、もちろんです』
(ぐ、苦しい… この人ほんとコワイ)
ロキが咄嗟にカヌアの腰にしがみつく。
『カヌア様! だ、だ、大丈夫ですからっ! 自分の身は自分で守れます!』
『ロキッ! 私が何が何でも守るから安心して!!』
そして、それが今、実際に事が起きてしまったのだ。
(ロキ… あんなに啖呵切っといて… ごめん… 守れてない… ぁあ… どうか無事でいて… )
するとウロウロしている、そんなカヌアの腕を掴んだヴァスカ。
「カヌア様… 落ち着きましょう… 落ち着かせるように努力して下さい。この先の道のりも長い。体力を消耗しては元もこうもないです」
「わかっ… てる。… っはぁぁぁあっ心っ配っ! 心配心配!」
(わかってくれ…たのか?)
「でも… ヴァスカの言う通り… 心身ともにここで疲れたら、この先には進めない… 」
「はい。一日は待って、もしそれでも来なければ… 私達だけで先へ進みましょう。それでよろしいですね?」
カヌアはカタツムリの如く、ゆっくりと首を縦に下ろした。
(これは了承してくれたと、捉えていいのか?)
ヴァスカは少しだけ首を捻った。
(一日もあるんだもの、ロキならすぐに… )
カヌアは軽く目を瞑り、祈った。
しかし、カヌアの願いも虚しく、状況は予想だにしない方へと向かった。
まだ薄暗い中、弱々しく陽の光が森の中へと所々に線を成す。
カヌアには、それが痛みにも感じた。
夜が明けたのだ。
一日だったはずの約束を、朝の方が動きやすいと判断したヴァスカが、朝方まで延ばしたのだ。
それはそれは重い足を、交互にゆっくりと前に出すカヌア。
一時も眠っていないので、目が少し開きづらい。
テントを片付けた後のその場所には、焚き火の跡しかなかった。
カヌアはその足を無理矢理進ませながら、何度も後方を見る。
(結局… 戻ってこなかった… ロキ、ワイム… 一体どこに… ?)
カヌアの歩みがあまりにも遅いので、ヴァスカが思わず腕を引っ張った。
「ヴァスカ?」
「……… 」
無言で引っ張るその腕は、前に進める為の手段でしかない。
その腕は、力強いがとても優しかった。
(ヴァスカ… ごめん、不安なのは私だけじゃないのに)
気持ちを前に進めるには、自分しかいない。
カヌアは顔を上げた。
そして、突然ヴァスカの目の前に、飛び出て言った。
「ヴァスカッ、ごめん! あの二人ならきっと… ありがとう! 先を急ごう!」
その言葉に驚いたヴァスカは、目を見開き頷いた。
(謝った… ? そんな簡単に… 俺なんかに)
そうして、カヌアとヴァスカは、目的地のルー族がいるであろう谷へと向かった。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
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