episode11〜ケーフ北西部・山道にて〜
初連載の二部幕、開始しました!
お初にお目にかかってくださる方も、心の奥底で待っていてくれた方も、緩く読んで頂けると嬉しいです。
初めての方は、一部から読んで頂けると、話が繋がり読みやすいかと思います。
一部とは少し異なり、冒険感のある二部となっております。
毎日の更新を心掛けております。
青々と茂る森を歩く四人の影。
先頭には、ワイムがいた。
その後ろにカヌアとロキが、楽しそうにお喋りしながら歩いている。
(元気だな… 中々の獣道だぞ? 女性ともあろうお方と、子供がこの道を息も切らせず… 更には話しながら歩くとは… )
そう思うのは、二人を見守りながら最後尾にいたヴァスカであった。
ここは、ケーフ山脈の更に奥にある山の中だ。
ケーフ山脈はアルデリア国から北にあるが、その山脈は北西から北東の方に長く連なっている。
今カヌア達は、その山脈の北西部に居た。
その四人で、手掛かりを求めながら、とても緩やかとは言えないその山道を歩いていた。
もちろん、アルデリア国から一行は馬に乗って来た。
しかし、山道が険しいと知っていたヴァスカは、事前に提案をしていたので、ケーフ山脈の入り口からは馬を降りていたのだ。
そして、今に至る。
本来大人の男でも体力を取られるような険しい時間を、カヌアは楽しい時間として過ごしていた。
ロキと楽しくお喋りをしながら、歩いている。
彼ももうすぐ齢十二となるであろう少年だが、さすがはルー族の生き残り。
今となっては納得のいく足取りだった。
他二人も体力がある方の部類だ。
しかし、カヌアは思っていた。
(ロキとのお喋りは楽しいけど… この人達… )
そう、この従者二名は、基本無口なのである。
まぁ性格上という事もあるが、重い護衛という任務を担ってここにいるのだから、それも仕方ない。
しかし、その事実を深く知りもしないカヌアは、その二人に指を差して言い放った。
「つまらない… ! つまらないつまらないっ! もっと話してよー! ウィル様ならたくさんコミュニケーションとってくれるのに! 無口っ無口っ!」
その言葉を聞いて、変な汗を滴せる従者達は思った。
(いや… 知らないかもしれないけど、ウィル様こそ一番無口だぞ?)
(殿下はカヌア様だから、話してるだけで… )
そう思う二人は、無言で顔を見合わせた。
ひとため息を吐くと、ワイムが口を開く。
「カヌア様… お言葉ですが、私は護衛です。任務中です。楽しくお喋りするような… 」
「え? じゃあ何? これが遊びだったら、お喋りしてくれるの?」
(何で若干キレ気味… ?)
「………… ハイ」
(嘘だな。フラフィーが動揺してる)
カヌアはその返事に、目を据えた。
(いつからだろう… 彼女がこんなにも悪魔に見えるのは… )
ワイムはそう思いながら、背中に視線を突き刺しながら足を進めた。
次に、カヌアの悪魔のその目は、ヴァスカへと向いた。
カヌアは足を少し緩め、ヴァスカの元へと近づく。
「ねぇヴァスカ? あんた強いの?」
「え? 何を急に… 」
(あ、これは… )
それを後ろ目に見ていたワイムが思う。
「ねぇ? 私より強いの?」
(え? え? 一体何なんだ? 何がしたいん… )
その謎の圧力の問いに、ヴァスカは混乱した。
先頭の方から、こちらを見るフラフィーが視えた。
(ワイム? 何だ?)
しかし、まだあまりカヌア慣れしていないヴァスカは、正直に応えてしまった。
「まぁそれなりかと… 」
「カヌア様いけません。目的外ですから」
「?」
ワイムのその言葉に、ヴァスカは言葉を止めた。
まだ状況を読めないでいたが、次の言葉でさすがに察した。
「えぇ… 手合わせしたかったのにぃ」
「なりません」
「ね? ちょっとだけ? お願い」
「ダメです」
(何だこの… 狂犬を宥めるようなこの… )
「チッ… ケチ… 」
(舌打ちした… )
「どういうことだ? ワイム?」
「まぁ… そういうことです。カヌア様は強そうな者を見ると、腕試しとして手合わせしたくなる衝動に駆られるんですよ」
「人を獣みたいに言わないでくれる?」
「え? 違うんですか?」
カヌアが睨みを効かせた。
「あ、すいません、つい…」
(口から出てしまった)
ワイムはスンとした表情のまま前を向き直し、その足取りを早めた。
そして、理解したヴァスカが口を開いた。
「はぁ… そうなんですね… でもウィル様の婚約者に、手を出す事は… 」
「関係ないよ! 武の心に、男も女も関係ないっ!」
(なんか、言ってる事は正統的だが… 少し違う気が… 自分の欲望を満たしたいだけなんじゃ?)
「まぁウィル様の許可次第で、機会があればよろしいですが… 」
「え!? ほんとっ!? やった! ワイムは断固として相手してくれないからなぁ… 」
カヌアは前方に聞こえるように、大きな声で言った。
(あ、やべっ… まずい事言ったかな… )
ヴァスカは少し困ったように頭を掻いた。
「ップ… ッ… フフフフフフッ… あ、ご、ごめんなさいっ! でも何だかおかしくって… プフッ… だって、こんなに見た目の怖い二人が何だか… フフ」
そのやり取りを見ていたロキが、思わず吹き出してしまった。
(可愛い… キュン)
((え? 見た目の怖い?))
カヌアはそんな二人の気も知らずに、ロキに寄り添うと足を進めた。
(怖い… ?)
(そんなに怖いか?)
それよりも、何気無いロキの言葉は、従者達の心にダメージを与えていた。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
またまた突っ走って書きたいように書いてしまっているので、文章が乱れていることもあるかと思います。
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