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プロローグ

「あなたのことは私が守る、だから、そこから安心して見ていればいい…大丈夫、必ず、役割は果たす。」


そう言って、その人は私の身体の自由を奪っていった。

そして、意識だけは残って、私はただの傍観者になった。

とてもリアリティのある舞台を、遠く離れた特別席からただ独り観ているような…



ーーーーー



そこはただ白い世界だった。

白い、という表現が正しいのかもわからない。色の無い世界、何も無い世界。

音もなく、匂いもなく、そして、私の身体も無かった。

ただ、意識はある。我想う故に我有り。だからきっと私は存在している。


どのくらい時間が経ったかわからないけれど、気が付くと目の前に光があった。

ぼんやり眺めていると、その光は男か女かわからない中性的な声で光は話をし始めた。


「ようこそ!君を待っていたんだ!何事もなくここに来てくれて良かったよ!」


唐突過ぎて理解出来ないけれど、話は止まらない。


「実はね、僕はある世界で“神”って呼ばれる存在なんだけど、て言うか、自分で神とかちょっと恥ずかしいよね!でもさ、一旦“神”って事でよろしくね?でね?実は困ったことになってて、僕の世界で所謂“悪役令嬢”って役割をしてもらってる娘が何人かいるんだけどさ、その1人がとても、すごく、ものすごく、ものすごーく気が弱くてさ!どのくらい気が弱いって(あの人気が弱そうだな…)って思った10倍気が弱いんだよ。困るだろ?でも素質は十分なんだ。プライド高いし、嫉妬深いし、根に持つタイプだし、でも気が弱いせいで自分の婚約者に近付くヒロインに対してギッタンギッタンのケッチョンケッチョンに虐められないんだよ、見てるだけだよ、何なら見ることすらできないんだよ、マジかよって思うだろ?だからさ、僕は考えた。代理人に頼もうって。もう、僕、天才!君もそう思うだろ?でさ、薄々わかってるかもだけどさ、その代理人を君にお願いしたいんだ!いいよね?もちろんいいよね??」


自称“神”は怒涛のごとくしゃべった。

全く理解が追い付かない。

しかも、何か知らない間に決定事項になっていそうな勢いだ。

とりあえず、理解を深めるべく、私は確認してみることにした。


「えっと、なんで私なんでしょうか…?」

「あ~、うんうん、そうだよね、なんでぇ!?ってなるよね!それはさ、魂がこうファ~って流れてるとこにキラキラ~って見えて、これだ!!!みたいな感じで網ですくったんだよ!」


ダメだ、余計にわからない。


「それで、代理人というのは…」

「うんうん、気になるよね!悪役令嬢のね、なんとかって伯爵令嬢だよ、その中にね、入って欲しいの、意識をね、チェンジするんだ!そして君が悪役令嬢としてヒロインをギッタンギッタンのメッタンメッタンにして、この世界に華を添えるんだよ!」


…ダメだ、この人感覚で話をするタイプかもしれない。


「悪役令嬢のなんとかさんに成り代わって、ヒロインって人を虐めればいいんですかね…?」

「そうそう、なんか、こう、ググッとね、よくあるテンプレのアレでね!!できるかな?いけそう??」


たぶん、これ以上説明聞いても無理な気がしてきたし、拒否も出来なそうだ。


「ちなみに、代理人って何か報酬が得られるのでしょうか。仕事、みたいなものですよね?」

「わぁぁ~、それは考えてなかった~!だってさ、受肉出来たらみんな嬉しいもんだって思ってたから…でもそうだよね、何か欲しいよね、何かな?お金?美貌?能力?あっ、お金と美貌はもう搭載してあるよ!気が弱すぎるせいで美貌の方は台無しになっているけど、磨けば、うん。そしたら、能力かな?魔法?魔法の能力爆上げしちゃう??」

「えっと、はい、可能な限り長生きしたいので、役立つ魔法が良いです。治癒とか浄化とか、あと自分に危害が加わりそうなのをはね除けたいので…重力とか万有引力とか自由自在に出来たりとか…あと、それを自由に無尽蔵に使える魔力とか…」

「いいよ!御安い御用だよ!じゃ、それでよろしくね!はーい、行ってらっしゃ~い!!」


そう言って、自称“神”は私をどこかに飛ばした。




「は~、これで一安心だよ!僕って天才な上に仕事も早いなんて最高オブ最高じゃない!?」


神様は知らなかった。

この時“代理人”にした者が乙女ゲームがなんたるかを知らず、さらには恋愛オンチだということを…


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