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結局スパダリと元腐女子ですか(8)

「そうそう。ジュード様って結婚されていたんだけど、あの偏屈であんな感じだったから、こちらに泊まり込みで家には戻ってなかったみたい。つまり、別居婚っていうやつ? だけど、ジーンとクラレンス様のことを見て、一年ぶりに家に帰ったらしい。で、元鞘におさまったというわけ」


 元鞘におさまったならいい。だけど、ジーニアには気になることがあった。あのジュードの結婚相手だ。

 恐らく、それも顔に出ていたのだろう。ヘレナは最後の一口のワッフルを口の中に放り込み、紅茶を飲むとジーニアを見つめてくる。


「姐さん女房」


 ヘレナのその一言でジーニアは悟った。

 ジュードの結婚相手が、彼より年上の女性という意味だ。


 ――まさかの年上女性。あのジュード様で女性上位。


「で、ミックは? ミックはどうなったの? ジュード様に捨てられた?」


「ミックはね、昔からの幼馴染と付き合ってるらしいわよ。ジュード様に付き合って、ミックもなかなか家に帰れない日が続いたんだけど、ミックの着替えを持って来てくれた女の子がいてね。その子が彼女らしい」


「もしかして、ミックの相手は年上女性ではなくて……」


「そうそう。ミックより三つ年下らしい。意外よね~。ミックの方こそ年上の女性から可愛がられていそうだと思ったのに」


 さすがヘレナ。ジーニアと同じことを思っていたようだ。


「ということで。一件落着。めでたしめでたし」


 無事、あの六人が幸せになるルートを選んだとヘレナは言いたいのだろう。


「も、もしかして。この結末が究極のプレミアム裏ルートっていうもの?」


「じゃない? 私が卒業後に騎士を目指すという異色の選択をしてよかったわぁ。あ、ジーン、結婚式には呼んでね」


 というこれは、中の人が何度も聞いたことがある言葉だ。


「あ、うん。もちろん、ヘレナには友人代表のスピーチをやってもらいたいくらいよ」


 その言葉を聞いたヘレナはニコニコと笑っていた。


◇◆◇◆


 後日。ジーニアはクラレンスと共にジュードの元を訪れていた。

 最初に会った時よりも、ジュードの表情が穏やかになっているのは、姐さん女房とうまくいっているからだろう。彼の話に、どきどき惚気が混じっていることに、ジーニアは気づいた。


「で? 呪詛返しの効果は?」

 色呆けしているジュードに、クラレンスは腕を組みながら尋ねた。


「出てるだろう? はっきりと。アレを見て、お前は何も気づかないのか?」


「いや……。触れてはいけない話題だと思っていたんだ……」


 ジーニアの呪いが解けた時、ジュードは犯人を捕まえるためにも呪詛返しをしてはどうかと提案してきた。解けた一日以内であれば、それが可能であると彼は口にした。

 呪詛をかけた相手とそれを依頼した相手に対しての呪詛返し。本来であればかけた相手だけであるのに、依頼した相手にまで返すことができることがジュードの凄いところなのだ。もしかしたら、また背景にお花畑が流れてしまうかもしれない。


 だが、ジーニアとしては、クラレンスも無事であったし自分の命も助かったから、面倒くさいことには足を突っ込みたくないという気持ちの方が大きかった。それでも、あのまま真犯人を野放しにしておいて、またクラレンスの命が狙われるのも避けたい。そして、それに巻き込まれるのはもっと避けたいと思っているジーニア。

 とのことで、彼女は呪詛返しに協力した。


『犯人にどのような呪いを望む?』


 ジュードに尋ねられ、ジーニアは悩んだ。別に、犯人の命を奪って欲しいとは思っていない。犯人が犯人とわかり、きちんと罪を認め、悔い改めてくれればいいと思っていた。


『そうですね……。本当は格好よく「爆ぜろ」と言いたいところですが。「禿げろ」でお願いします』


 そんなジュードとのやり取りもあり、ジーニアは犯人の頭髪が寂しくなることを望んだ。ただ、この呪い。人によっては大してダメージを受けない場合もある。むしろ、それが似合ってしまう場合だ。なので、できれば落ち武者風を望んだ。

 犯人も徐々に頭髪が寂しくなれば焦ってくるだろうし、それによってこちらも犯人を見つけることができるだろうと思っていた。


 その効果が今、じわじわと表れ始めていた。

 最近、頭髪が寂しくなっているのは国王の弟であり宰相の地位についている男。つまり、クラレンスの叔父である。


「まさか、あの伯父が。まあ、私が亡くなれば、王位継承権は伯父にうつるが……。そういえば、財務大臣のペトルは昔から伯父の腰ぎんちゃくだったな」


 ペトルという名を聞いて、ジーニアは思い出した。あの禿親父を。そして、呪詛返しによって、次第に額が後退しており、おろおろし始めている宰相。あれならば頭髪が寂しい者同士、もっと仲が深まるかもしれない。


「まぁ。後は、お前たちに任せるが。オレの役目は呪詛返しまでだ。おっと、時間だ。悪いがオレは帰るからお前たちもさっさと戻れ」


 ジュードによって追い出されたジーニアとクラレンス。二人は、並んで歩く。

 じっとジーニアはクラレンスの顔を見上げた。


 結局。

 BでLなモブ令嬢に転生しまったジーニアだが、同時に転生していた同士であるヘレナによって、未来の王太子妃という座を手に入れてしまったというわけ。


 クラレンスも微笑みながらジーニアを見下ろしてくる。そして、すっとジーニアの手を握る。


 ジーニアもそれに応えるように、ぎゅっと握り返した。


【完】

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