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それはスパダリ攻めと誘い受けですね(1)

 とうとうやってきてしまった学院の卒業パーティ。これで、ジーニアの運命が決まるといっても過言ではない。学院の卒業パーティであるため、面倒くさいエスコートなどは不要。ジーニアは、この卒業パーティのために新しく仕立ててもらったドレスに身を包んでいた。


「ジーン、そのドレス素敵ね」

 そう声をかけてきたのはもちろんヘレナ。

「ありがとう。この日のために、お父さまが新しく仕立ててくれたみたいで」


「ジーンのお父様って、あれよね。花形の第一騎士隊の元隊長」


「すごいわね、ヘレナ。よく知ってるわね」


「それがね、騎士団の入団試験で、歴代の隊長の名前って聞かれるのよ」


「えー。歴代の? よく、覚えたわね」


「えぇ、簡単よ。カップリングにしていけばいいのだから」

 なぜかヘレナは楽しそうに笑っていた。歴代の隊長をわかっていないジーニアには彼女がなぜ楽しそうなのかがよくわからない。だがカップリングという時点で、隊長と副隊長あたりで受け攻めを設定しているのだろう。


「ああ、ヘレナ。私、緊張してきたわ」

 会場に向かいながら、ジーニアはつい心のうちを漏らしてしまった。


「大丈夫よ、ジーン。私がついているから」


 けしてGでLではない。ここにあるのは女の熱い友情である。BでLという魅力に捕らわれた女性同士の。


「いい? ジーン。わかっているとは思うけど。まず、あの方にあのグラスのものを飲ませてはだめよ」


「だけど、私。どれがどのグラスかっていうのを覚えていないのよ」


「大丈夫よ、私は覚えているから。とにかく、シリル様が持っているグラスの中身は安全なのよ」


「すごい、ヘレナ。よく覚えているわね。そうね、シリル様ね」

 ジーニアは頭の中でメモメモと呟く。

「あの扉をくぐったら、あの中は戦場なのよね。私が生きるか死ぬかですもの」


「ええ、だけど絶対にジーンは死なせない」

 そのヘレナの熱い思いだけでうるっと涙ぐんでしまいそうになる。だから、急に声をかけられて思わず全身を震わせてしまった。


「おい、ジーン。……。何もそんなに驚くこと、無いだろ?」


「あっ。お兄さま」

 ジーニアがあまりにも激しく身体を震わせてしまったため、声をかけた当の本人も驚いてしまったようだ。

「急に声をかけられたら、誰だってそうなります」


「すまない、すまない。ジーンを見つけて、つい、嬉しくて。そのドレス、とてもよく似合っている」


「ありがとうございます、お兄さま。そうでした、紹介が遅れました。こちら、私の大親友、心の友のヘレナです」

 突然、話を振られたヘレナも少し動揺したが、これは名前を売るチャンス、ではなく、あのカップリングに近づくチャンスだと思い、簡単に名を名乗る。


「ヘレナ嬢の噂は聞いている。今までの入団試験の女性のトップの記録を塗り替えたとか……。ぜひとも、我が第五隊にとも思っていたのだが、やはり優秀な人間は第一にとられてしまう。恐らく、ヘレナ嬢はアマリエ様付きの護衛騎士だろうな」


「そうなんですか」

 と声をあげたヘレナは少しがっかりした様子。

「ですが、ジェレミー様と共に仕事をできる日を楽しみにしております」

 ヘレナが言えば、ジェレミーも照れたかのように「お、おお、そうか」なんて言っているのだが、ジーニアはこんな兄を見たことがない。

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