なろう系は難解
喧嘩は売ってませんよ!!
ごきげんよう、由良 十矢と申します。
挨拶の文言を「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」のどれにするか迷って、ごきげんようにしました。
本題にはいります。
「なろう系はテンプレばかりで頭が悪くても読める」
「幼稚で稚拙、擬音ばかりつかってる」
や、
「なろう系は量産できる」
というような論旨のエッセイを、幾つか見かけました。
そういうエッセイを読んで思ったことをだらだら書きます。
・「なろう系」ってそもそもなあに?
まずは「なろう系」の定義です。
なろうに二年近く投稿していますが、この言葉には困惑させられてきました。
上記のようなエッセイや、「なろう系」批判をしているひと達の記事なんかを読むと、
・主人公が反則級に強い
・ヒロイン含め主人公以外の登場人物の頭が残念
・主人公が冤罪やなんらかの策略によって共同体から追い出される
・ヒロインが沢山出てきて例外なく主人公に惚れるが、どうして惚れるのかの理由がうすい
・主人公がスキルや能力を悪用して悪びれない
・設定が粗い。もしくは設定について細かい描写がない
・ご都合展開
・描写が粗い。擬音を多用している
などの要素がある、もしくはこのすべてを兼ね備えているものが「なろう系」と呼ばれるようです。
二次創作に慣れ親しんだかたは、「最低系」に近いのでは? と思ったのではないでしょうか。
わたし自身は、最近「最低系」という言葉を知ったのですが、「最低系SS」そのものは二回くらい読んだことがありました(あまり口に合わないのでそれ以降触れていない(__;))。
「最低系」というのは、「二次創作にオリジナルの最強キャラを出す(或いは、既存のキャラを改変して最強にする)」「その他の登場人物を明らかに原作よりもあほにする」「オリジナルの(もしくはオリジナル要素の強い)キャラが好き放題する」などの要素がある二次創作……らしいです。この辺り、くわしくは知りませんが、そういったものを読んだことがあるのでなんとなく、あーあれねと理解しています。
前々から考えていたことですが、「最低系」という括りを知った後、「なろう系」はそもそも二次創作からの流れでは? という思いを強くしました。
設定が粗い、設定の説明が少ない、というのが、二次創作からの流れだからなのではないでしょうか。
たとえば、「人魚姫」という共通認識があって、「人魚が人間の足を手にいれる代償として声を失う」という展開を知っていれば、人魚姫の二次創作で(オリジナルのキャラでも既存のキャラ(人魚姫のお姉さん達など)でも)そういったシーンがあった時に、
「どうして足の代わりに声?」
「声と足って、全然違うじゃん。代償として成り立ってない」
「声と足をこーかんは幾らなんでも笑」
といったご意見は戴かないと思います。寧ろ、「原作にもあった設定をうまくいかしている」「原作を読み込んでるね!」と評価するかたが多いのでは。
「なろう系」に多くある(らしい)、「設定のうすさ」「説明不足」は、すでにある作品の設定に近いものが作者のなかで醸成されていて、それを書いていないから、だと思います。
・擬音ってなにがだめなの?
結構擬音をつかっている自分は、擬音批判はよく解りません。
擬音を批判するエッセイでは、「剣がぶつかって「キンキンキン」はおかしい」というような書かれかたがしていましたが、多分そういうふうに聴こえると思います。だったら別にそう書いても問題ないのではないかしら、という意見です。ちなみに、日本刀が宙を舞う音は「ひゅっ」、木材に刺さる音は「とん」ですよ! 実際に聴いたことがあるので誰にも反論させません。
擬音が槍玉に挙がるのはよく解りませんが、擬音を多用する作者さまは、「まんがや映画のように場面を思いうかべている」のではないかしら、と思っています。
それが悪いとは思いませんし、擬音をつかわなかったら上等なのかといえば違うといいきれます。そもそも美醜と同じで、こういう文章なら高級、と判断できる絶対的な基準はないでしょう。炭素の数でも数えますか?
・ところで、「なろう系」ってそんなに簡単?
ここまで読んでくれてありがとうございます。
「うるせー、なろう系なんてIQ10くらいでも読める低俗な読みものだ!」
と思っているかたもいらっしゃるでしょう。別に意見を翻してくださいとはいいません。
ただ、わたしにとっては「なろう系」は読みづらいものです。皆が皆、あなたのようにテンプレにくわしいと思わないで戴きたい。
自分はファンタジーは好きですが、指輪物語は読んでいませんし、エルフもドワーフもよく解っていません。「エルフ」をはっきり認識したのはキングスフィールドというゲームだったと思いますが、それだと特に長生きみたいな描写はなかった……筈。
なので、当然のように「エルフとドワーフの仲が悪い」「エルフは長生き、美男美女」「ドワーフは工芸が得意」という設定の説明なく話を進められると、とても読みづらいです(キングスだとエルフのおじさんが武器つくってくれるのですよ(^_^;))。
ついでに、この辺の設定もなろう近辺で読んだ小説から吸い上げたものなので、本来のエルフやドワーフは違うものなのかもしれません。それくらい理解していません。
ゴブリンとかオークとかも、なろう近辺で読んだ小説ではっきり認識しました。特にオークに関しては、まったくといっていいほど知らなかったので、説明なく出てきて説明なく行動しているのを読んで、しばらく頭がまっしろでした(その後ウィキペディア見ました。でも頭に定着してない(__;))。
ゴブリンも、わたしがゲームで親しんでいたのはかなり可愛い見た目だったので、緑だったり醜悪だったり、ついでにお喋りしていたりすると、やっぱり思考停止します。
「なろう系は頭つかわなくても読める」というひとは、そういったテンプレにくわしいかたなのでしょう。
わたしはまったく解らないので、度々ウィキペディアとにらめっこしながら読んでいます。
もっとくわしく書け、設定説明しろ、という批判は解らないでもないのですが、ベクトルが違います。単純にわたしは、「オークって樫の木のこと?」くらいの頭で読んでいるのです。
あ、「エルフとかドワーフはトールキンのパクりだ!」というご意見も度々目にしますが、「ぬらりひょんは妖怪の総大将」だと水木先生のパクリなのに誰も指摘しない不思議。
・じゃあ量産できるのか
できるひとはできるでしょうがわたしは無理です。
ふぁんたじー的な設定が理解できていないですし、ほんとによく解らないので、寧ろそういったのにくわしくて書けているかた、読んでいるかたは尊敬します。皮肉でも嫌味でもなく。
・はたして「なろう系」は簡単でお手軽な読みものなのか?
わたしにとってはまったく、お手軽でも簡単でもありません。
ウィキペディアや、個人作製のファンタジー用語辞典的なものと首っ引きで読みます。それだけでなく、登場人物の見た目の描写などを省いている(種族ごとのテンプレがあるのでしょう)作品もあるので、想像力も相当に必要とされます。
なので、読むひとを選ぶジャンルだとは思います。
・そもそも簡単に読めるものなら低級なのか?
わたしにとっては、「一から十まで説明してくれる」小説が簡単な読みものなので、本格ミステリなんかは本当に簡単でありがたい読みものです。
でも、簡単に読めるからといって低級だとは思いませんし、面白くないとも思いません。
難解なものだったら高級というのも違うと思います。
・結局なにをいいたいのさ?
「なろう系」批判は個人の意見だからいいし否定しませんけど、
「なろう系なんてIQ10でも読めるもん垂れ流すなよな!」
は「なろう系」をすらすら読めないひとの心を抉ります。わたし、IQ10以下だったのか。
ファンタジー好きだけどエルフとかドワーフとかとあんまり関わってこなかったんだよ(´;д;`)
あ、それとすぐIQを持ちだしてくるのはよく意味が解りません。
だらだらと失礼いたしました。ごきげんよう。
2021/09/04追記
こちらのエッセイについて伝わりにくかったかなと思ったものの。本文をいじりたくないので追加します。
私自身は「難解=高級、平易=低級」とは思っていません。
あくまで、「なろう系はIQ10でも読める落書き、駄文、小説とも呼べない低級なもの」というような意見に対して、じゃあわたしはIQ低いんやね知らんかったわ、という意味で書きました。
要するに、なにが難解でなにが平易かは個人差が大きいので、その「なろう系みたいな誰でもすらすら読めるような文章は低俗低級、もっと文学的で難解なものが高貴高級」理論が正しいのならわたしにとってはなろう系が難解だからなろう系が一番高級ということになるよ、という。
ところで、「最低系」について触れましたが、たまに見かける
「○○はクズ、だから××は素晴らしい!」
みたいな評論・批評もある意味最低系ですよね。
誉めてるつもりなのかもしれんが、マイナスよりましってゼロも含まれますからね。
感想戴けると喜びます(*- -)(*_ _)